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05

6月に入り、いよいよ夏の大会の予選が近づいてきた。
練習も調整中心のメニューに変わり、みんなの闘志もムンムン。
学校中も甲子園頑張れムードで、廊下を歩いてると女の子達が声をかけてくれる。


「成宮頑張れよー!俺、応援団なったから!」
「国木が?腹から声出せんのー?」
「出せるわッ!」


教室に入っても俺の周りには人が絶えない。ほんと、人気者は困っちゃうなー!
チラリと隣の席の名字さんを見たら相変わらず楽譜と睨めっこしてた。むかつく!
そんなに部活が大事なわけ!?俺は部活が大事だけど!!


「てか!吹奏楽部って野球応援いつも来るじゃん!」
「…ん?何か言った?」
「ほんとむかつく!」


イヤホンをしてた名字さんに俺の言葉は聞き取れなかったみたいだ。
悪気はないんだろうけどほんとむかつくよね!


「名字さんも野球応援来るんでしょ?俺の勇姿見られるじゃん!」
「あ、私は行かないつもり。」
「何で!?」


あっさり行かないと言われた。意味わかんない!!


「…私の楽器、外で吹いたら壊れちゃうから。」
「何で!?弱ッ!」
「木製は熱に弱いの。」


オーボエは外で吹いちゃいけない楽器らしい。
でも、それでも…嫌だ。名字さんに俺のかっこいいところを見せたい。


「楽器吹かなくてもいいじゃん!来れば!」
「…正直言うと、こっちもコンクールの時期だから少しでも練習したいかな。」
「うぐぅ…!」


そう言われると、ワガママ言えないじゃん…!


「で、でも!みんな来てんじゃん!」
「うん。だからありがたく思ってよ。」
「!」
「みんなコンクールの練習もしなきゃなのに、野球応援に行ってるの。」


考えたこともなかったけど…言われて初めて気付いた。
吹奏楽部のコンクールっていうのは、野球部にとっての甲子園をかけた夏大と同じなんでしょ?
その練習を中断してまで応援に来てくれてるんだ…。


「…それでも応援したいって思うのは、野球部が頑張ってるのをちゃんと知ってるからだよ。」
「!!」


な…んだよ、それ…!なんか、めちゃくちゃ嬉しいんだけど…!


「じゃあ名字さんも…」
「私は行かないけど。」
「何で!?」





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