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「ナベちゃんお誕生日おめでとー!」
「ありがとう。」


今年同じクラスになった名字は野球部のマネージャー。
第一印象は明るくて元気な子。人懐っこくてコミュニケーション能力が高い。
俺の名前もすぐ覚えてくれてあだ名で呼んでるし、先輩とも分け隔てなく接することが出来るのは一種の才能だと思う。
名字は100人以上もいる部員の誕生日をこうやってしっかり祝ってくれる。


「ナベちゃんにはフィナンシェだよ!」
「美味しそう。」


名字のもう一つの才能がこれだ。お菓子作り。
毎回誕生日の人にいろんなお菓子を作って渡している。
今月の小湊先輩にはマカロン、樋笠にはザッハトルテ、丹波先輩にはどら焼きだった。
…どれも気軽に作れるようなものではないと思う。すごいなぁ。


「お菓子作りって時間かかるんでしょ?夜更かししてない?大丈夫?」
「大丈夫だよ!さすがナベちゃん、細かいとこまで気付くね。」


すごく嬉しいけど、これも練習が終わった後に作ってるんだよな。
名字の負担になってなきゃいいけど…。


「…名字はさ、何でこれ始めようと思ったの?」
「これって…お誕生日係?」
「そう。」


名字がこうやって部員の誕生日を祝うようになったのは去年の夏大が終わった後くらい。
それ以来、名字は自分のことたまにお誕生日係と言う。


「…夏大で負けて、悔しくて…それでも選手のみんなは前を向いててかっこよかった!私は応援とかサポートしかできないけど、もっとみんなの力になりたいって思って。」
「…そっか。」
「私にはこれくらいしかできないからさ。」


そうだったんだ。
普段能天気に見える名字がそんなことを考えてたなんて知らなかった。


「力になってるよ。十分。」
「えへへ、だといいな。ナベちゃんは優しいなぁーこのこの!」


照れ隠しで小突いてくる名字はちょっと可愛いと思う。容赦無く鳩尾なのは気になるけど…


「お誕生日は私がきっちり祝うから、ナベちゃん達は練習に集中してね!」
「…うん、ありがとう。」


少し違った方向性だけど、これが名字のサポートの仕方なんだ。
それでも十分選手達の力になっていると思う。





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