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18

「クソッ…!!」


東京へ戻るバスの中は俺を含めてチームメイトの嗚咽で溢れていた。
去年みたいな暴投をしたわけじゃない。調子が悪かったわけでもない。全力でぶつかって、それでも敵わなかったんだ。
あの時ああしていたら……もっとバットを振っていたら……そんなこと今更後悔したところで結果は変えられない。
俺達は甲子園の決勝戦で、負けた。


「……!」


携帯が震えて、新着メールを見てみたら名字さんから「お疲れ様」の一言だった。


「…っ……」


それを見たらまた涙が溢れてきた。
何が「名字さんの分も気合い入れて投げる」だ。負けてんじゃねーかよ…!こんなんじゃ名字さんに会わす顔がない……はずなのに、何故か今無性に名字さんの顔が見たい。


カサ…


「…!」


足を組みなおしたらジャージのポケットから名字さんからもらった鶴が出てきた。吹奏楽部からの千羽鶴じゃなくて、名字さん個人からもらった特別な折り鶴。お守りとしてずっとポケットに入れたままだったそれはすっかりクシャクシャになってしまっていた。
羽に書かれた「必勝祈願」の文字を見てまた胸が苦しくなる。


「……」


クシャクシャになった紙の隙間から別の文字が見えて気になったから折り鶴を広げてみた。


「……!!」


折り鶴の内側には「必勝祈願」とはまた別の言葉が書かれていて、更に俺の胸をしめつけた。


"勇気をくれてありがとう。"


「なんだよ……!」


あー…どうしようもなく今、名字さんに会いたい。






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