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16

"ゴールド金賞。県大会進んだよ。"


「!!」


準々決勝に勝ってそっこー携帯を開いたら、名字さんから今日の結果が届いていた。
ゴールド金賞っていうのは、県大会に進める金賞のこと。前に名字さんが言ってた。
そっか…そっかあ!名字さんも次に進んだんだ!
自分が勝つのはもちろん嬉しいけど、好きな人が勝つのはもっと嬉しい感じがした。今すぐ会っておめでとうって言ってあげたい。
俺たちはこの後学校戻るけど、吹奏楽部も戻るかな?あーもういいや直接聞こう!


"俺たちも勝った!今日学校で会える?"


…送信ボタンを押した後に恥ずかしさが込み上げてきた。
こんなの会いたいって言ってるようなもんじゃん。でもここで意地になっても仕方ないもんね。俺ってば大人!


"16時くらいに学校ついて、17時くらいに解散予定だよ。時間合うかな?"


思いのほか早く返事がきて驚いた。普段はもっと遅いくせに。向こうの帰りのバスの中で暇なのかな。
会えるか聞いたことに対してはっきりYESがきたわけじゃないけど、これは会えるってことだ。俺も速攻返事をした。


"俺達も17時解散!野球部のグラウンド側の倉庫で待ち合わせね!"


なんかこれ、デートの打ち合わせしてるみたいだ。ニヤニヤが止まらない。


「ニヤニヤするなー鳴。」
「してねーし!」










「お待たせ!」
「おー。」


17時を少し過ぎたところで名字さんが走ってきた。
いつもならこの俺を待たせるなんて!って小言を言ってるところだけど、名字さんの嬉しそうな顔を見たらそんなのどーでもよくなった。


「「おめでとう。」」


ハモって、2人して笑った。
やっぱり嬉しいんだろうな、名字さんのテンションが高めに感じる。
目元がちょっと赤くなってる…泣いたのかな。


「県大会いつなの?」
「2週間後の日曜日。」
「その頃には甲子園行ってるな。次は?」
「!」
「全国大会。」
「…10月。」
「え、遠!」


へー。夏に代表決めて、全国は秋にやるんだ。本当に1年に1回の、大きな大会なんだな。


「成宮くん…ありがとう。」
「…は!?」


急に名字さんにお礼を言われて意味がわからない。特にお礼を言われるようなことをした記憶はないんだけど。
でも名字さんの表情が真剣だったからワンテンポ遅れて反応してしまった。


「野球応援、参加してよかった。」
「!」


あーーもう何その殺し文句!
最初は全然ノリ気じゃなかったくせに!これが俗に言うツンデレか!とんでもない破壊力だな!


「準決勝も、決勝も応援来て。」
「うん。」
「甲子園にも来て。」
「うん。」
「…来年も、その先も…応援して。」
「え…あ、うん。」
「…じゃーね!」


名字さんには来年も…いや、それだけじゃ足りない。この先俺がプロ野球入りした後もずっと応援していてほしい。
気付いたら思ってたことが口から出てきていてものすごく恥ずかしい。
赤くなった顔を見られたくなくて走って逃げた。






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