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11

「成宮、俺からひとつアドバイスだ。」
「お、おう!」
「名字さんはお前の好意に全然気付いてない。」
「んなっ!?」
「もっと露骨に特別アピールした方がいいと思うよ。」
「特別…」
「あと………」
「ん?」
「…何でもない。(好みのタイプのことは黙っておこう。)」









名字さんに探りを入れたらしい国木に言われたこと、「特別アピールをしろ」。
特別アピールって何!?具体的に何をすればいいわけ!?てか、この俺があんな構ってるのに全然気付いてないってどーいうこと!?あー腹立つ!


「お、鳴どこ行くの?」
「ジュース買ってくる!」
「じゃー俺ファンタ!」
「俺ぐんぐんグルト!」
「買わねーからな!?」


なんか無性に炭酸飲みたくなってきたから買いに行くことにした。友達に言われた注文は無視!何で俺がパシられなきゃいけないのさ。


「!」


自販機まで行くと先客がいた。名字さんだ。
真剣な表情で自販機と睨めっこしてる。…何飲むか迷ってんのかな。


「何飲むの?」
「! 成宮くん。」
「俺コーラ〜。」
「あっ。」


名字さんはまだ決まってないみたいだから俺が先にお金を入れてボタンを押した。


「で、どれ?」
「…いちごオレ。」
「はーい。」
「!」


500円入れたからそのままいちごオレのボタンも押して名字さんに渡した。
名字さんは目を丸くしてそれを受け取った。この表情を見るのは2回目だ。


「え、いいよ。」
「何で!?」


せっかく俺があげたいちごオレを突き返された。
ほんっと、可愛げない!ここは素直にありがとうって受け取ればいいのに!


「だって悪いよ。」
「いいの!この前俺、飲み物もらったし!」
「あれは…」
「いーから!」
「…ありがと。」


半ば無理矢理にいちごオレを押し付けるとようやく受け取った。
あーもう!国木が言ってたことマジじゃん!全ッ然わかってない!この俺が飲み物奢ってあげる女子なんて名字さんしかいないんですケド!?


「あ、そうだ。」
「?」


すると何かを思い出したようにスカートのポケットをごそごそしだした。
…名字さんってあんまスカート短くしないよな。まあイメージ通りだけど。
太ももとか見たことないかも。あ、体育の時なら見られるか……って変態かよ俺!


「はい、飴あげる。」
「!」


ポケットから出てきたのは飴。そう、ただの飴。


「ありがと!」
「……こちらこそ。」


ただの飴のはずなのに、名字さんから貰ったそれがすっげー嬉しくてつい全力でお礼を言ってしまった。





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