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10

成宮が恋をした。

最近そんな噂が流れているが、そのことにいち早く気付いたのは多分俺だと思う。
相手は同じクラスの名字さん。
目立つタイプではない。というか、どちらかというと地味に思われがちかな。
意外に思った。だって成宮は野球の名門であるここ稲実で1年の時からエースをはって甲子園にまで行ってる有名人。
もちろん女子人気も高い。まあ…本人の性格があんなだから、半分マスコットキャラ的な可愛がられ方をしてるって感じ。
でも投げてる時の成宮はめちゃくちゃかっこいいし、そのギャップにやられる女子は少なくない。

そんな成宮が選んだ女の子、名字さんはというと一見大人しそうで目立たない女の子。
俺も応援団になってから意外と普通に喋るし普通に友達もいることを知ったけど、名字さんを知らない奴は何で?って思うだろう。
まあ正直…俺も少し思ってる。
でも俺ら男子としては好感持てるんだよな。だってこれで学校のマドンナと付き合ったりしたら出来過ぎかよって思うし。
あの成宮が同じクラスの女の子の行動に一喜一憂してる姿は面白くて仕方ない。
名字さんが笑うと嬉しそうにするし、俺と名字さんが一緒にいるだけで嫉妬してくる。
本当わかりやすくて笑っちゃうよな。
でもそこまで真剣なんだって思うと、不思議と協力してやりたくなってしまう。これが成宮の魅力なのかもしれないな。


「最近成宮と仲良いね。」
「…確かに、隣の席になってから喋るようになったかな。」


名字さんは成宮と違って表情豊かな方ではないからいまいちよくわからないんだよな。


「誰かが付き合ってんじゃねーのって言ってたけど。」
「私と成宮くんが?ありえないよ。」


あれだけわかりやすいアピールされたら少しくらい意識してると思ってたけど、間髪入れずに否定の言葉が返ってきた。
……うん、ドンマン成宮。


「成宮くんは誰に対してもあんな感じでしょ?別に私だけが特別仲良いわけじゃないよ。」


更に可哀想なことに、名字さん全然気付いてない…!


「えと、名字さんもやっぱ成宮のことかっこいいって思うの?」
「うん、思うよ。」
「!」


お、意外にもここは肯定した。


「やっぱ投げてる姿は真剣だし…」
「あれ、試合見たことあるの?」
「うん、去年の野球応援で。」


野球応援、あんま乗り気じゃなかったのに去年はちゃんと行ってたんだ。


「野球のことはあんまわからないけど…強い人だと思う。」
「!」
「1年生でエースなのに堂々としてて……そういうところは、尊敬するかな。」


…よかったな成宮。ちゃんと見てくれてるぞ。


「あ、成宮くんには言わないでね。調子乗りそう。」
「だな。」


今はまだ気付かれてなくても……成宮はかっこいいんだ。まだまだチャンスはある!


「あ、好きなタイプは?」
「え……んー…真面目でクールな人かな?」
「……」


ドンマイ成宮。





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