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09

ウソだウソだウソだ…!
昨日雅さんやカルロに言われた言葉が頭の中でずーっと繰り返されている。
俺が、名字さんのことが、好き…?
1日経った今でも信じられない。


「おはよう。」
「お、おおう。」


そんなことを考えながら教室に入ったら今日は名字さんの方が先にいて、挨拶をされた。
たった一言だったのに、俺はなんだか変に意識してどもってしまった。


「成宮くん…」
「何!?」
「寝ぐせ、ついてるよ。」
「!!」


今朝カルロにも指摘された寝ぐせのことを言われた。
くそっ、ちょっと笑いながら言うとか反則!
いつもだったら悪態ついてるところだけど、今の俺にそんな余裕はなかった。










今日は一日ずっと変に意識してしまって、名字さんとまともに目も合わせられなかったし、何の話したかも覚えてない。
あーもう意味わかんない!もう何も考えたくない!早く投げたい!


「…今日大人しいね。体調悪い?」
「悪くない!」
「ならよかった。」
「!」


何それ!俺の体調が悪くなければ名字さんは嬉しいわけ!?
それってつまり心配してくれてるわけ!?


「成宮顔赤いぞー。」
「赤くねーし!」


顔に熱が集中してることなんて俺にしかわからないはずなのに!
それを指摘したのは国木だった。


「名字さん、これヒッティングマーチの一覧表ね。」
「うん、ありがとう。」


何しにきたのかと思ったらまた応援団の打ち合わせかよ。
必要なことだとわかっていてもイライラする。


「成宮くんのヒッティングマーチはサウスポーなんだ。うん、似合う。てかまんまだね。」
「まーね!」
「サウスポー?どんなんだっけ?」
「わーたしピンクのサウスポー……ってやつ。」


歌った!何それ可愛すぎかよ!
話し声とはまた違った名字さんの声にドキっとした。


「名字さん歌うまいね。」
「そんなことないよ。」
「俺も今思ってたし!」
「え…ありがとう。」


俺も思ってたことを国木に先に言われたことにイラっとした。
やっぱ吹奏楽部だから歌うまいのかな。どんな歌、歌うんだろ。


「…じゃあ、私部活行くから。」
「うん、頑張ってねー。」
「じゃーな!」


もっかい歌ってくれないかなーってじっと見てたら、部活に向かってしまった。
…俺も部活行こーっと。


「なあ成宮!」
「…なに。」


練習着の入ったエナメルバッグを持ち上げたところで国木に声をかけられた。
なに。国木と話すことなんて別にないんですケド!


「俺、協力してやろっか?」
「は?何を?」


意味わかんない。国木に協力してもらわなきゃいけないことなんてないし。


「何をって…名字さんのことだよ!」
「は?何で名字さん?」
「成宮、名字さんのこと好きなんだろ?」
「…はああ!?」


国木にも言われた。何なんだよみんなして!
例えそうだとしても何で決めつけて言ってくんだよ。
俺がいつ名字さんのこと好きだって言ったわけ!?


「え、違うの?」
「………違わない。」
「だよなー!」


ここまでみんなに言われたら…ここまで今日一日、名字さんを見てたら……そりゃ嫌でも自覚するっつーの!


「成宮ほんっとわかりやすいもんな。」
「わかりやすいってどういうこと!?」
「だっていつも名字さんにちょっかいだしてるし、俺が名字さんといると明らかに不機嫌になるし。」
「……」
「うんうん、野球部のエースだってフツーの男の子だよなー。」
「うるさい!!」






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