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乾青宗



 
お互いに合わせて連休を取った初日の今日、アウトレットで買い物をしてきた。明日はラーメン博物館に行く予定だ。ちなみにどちらも私のリクエストである。だって青宗に聞いても「名前の行きたいところでいい」って言うんだもん。そのくせレゴランドは拒否された。

「青宗寝ちゃったの?」
「……寝てない」

晩酌を始める前にシャワーを浴びてリビングに戻ったら青宗がソファに横になっていた。よくソファで寝落ちする人だけど寝てはいないみたいだし、なんだか様子が変だ。近寄って顔を覗いてみるとしっかり目が合った。

「……あ!これ飲んだの?」
「うん」
「こっち私のビールだよ!ノンアルはこっち」
「……どうりで美味いと思った」

買ってきたビール缶がひとつ開いてるのを発見して状況を理解した。
青宗はあまりお酒に強くないらしく、私の晩酌に付き合う時はいつもノンアルビールを飲んでいる。今日も私用のビールと青宗用のノンアルビールを買ってきたのに、青宗は間違えて私のビールを飲んでしまったみたいだ。

「大丈夫?」
「ん……ちょっと寝る」
「気持ち悪くない?吐く?いいよ!」
「頭いてぇ」

青宗のゲロなら受け止められるよと愛情アピールをしたけど残念ながら今はそれどころじゃないらしい。青宗が酔っ払ってるのを見るのは初めてだ。吐き気より頭にくるタイプなのかな。吐きそうなんだったら背中をさすってあげるのに、頭が痛い時はどうすればいいんだろう。生理痛の薬をあげるわけにはいかないよな。

「……あんま見んな」
「えっ」

じいっと見てたらそっぽを向かれてしまった。そうは言われても心配だよ。こんな状態の青宗をほっといて一人晩酌なんてできない。とりあえず私はビールを冷蔵庫の中へ仕舞った。

「ねえ本当に大丈夫?」
「……あちぃ」

寝ると宣言したものの青宗が寝付く気配は無い。10月に入り夜はクーラーなしで寝られるくらいの気温になった。お風呂上りの私でさえ涼しいと感じるんだからかなりアルコールがまわってしまってるみたいだ。実際青宗の顔は明らかに赤いし熱かった。

「寝るんだったら着替えた方がいいよ」
「やって」
「えっ」

ワイシャツにジーパンは寝るには窮屈じゃないかとアドバイスしたらまさかの「脱がして」ときた。
ソファに仰向けになった青宗はおそらく他の人から見たら目を疑う程に無防備だ。されるがままの青宗のシャツのボタンをはずしていく。露わになっていく肌を見てると邪な気持ちが膨らんできてなかなか振り払うことができなかった。

「青宗、ボタン外したけど……青宗?」

ボタン全てを外したところで声をかけたが返事が無い。このタイミングで寝ちゃったみたいだ。悩ましげに顰められた眉と赤みを帯びた顔は女の私よりずっと色気たっぷりで、邪心はどんどん大きくなっていくばかりだった。そもそも連休デートをする時点で今夜はエッチするものだと思って来てるわけだし。

「……」

ちゅーくらいいいかな。付き合ってるんだし……合法だし……え、合法だよね?捕まらないよね?あまりにも青宗の寝顔が美しすぎて不安になってきた。

「……!」

頭でいろいろ考えながらも気付けば私の唇は青宗に吸い込まれていって、3秒ほどで離した時青い瞳にガン見されていた。

「もっと」

こっそりキスしたうしろめたさで私が言い訳を口にする前に、手を掴まれ熱っぽい顔で要求された。
な、何そのテクニック。そんなあざとくて可愛いテクニック使ってくるなんてずるい。私そんなの使えない。
お望み通りもう一度触れるだけのキスをして頭を撫でる。本当はもっとたくさんしたいけど無理はさせられない。

「……そんな目で見んな」
「!」

青宗に言われて、いったいどんな目で見てたんだろうとハッとした。私が今何を思ってるか青宗にはバレてしまってるみたい。いやらしい女だと思われちゃったかなあ。

「明日、起きたら……」
「……青宗?」

言葉の途中で青宗は電池が切れたかのように寝てしまった。え、何?明日起きたら何をするの!?
それから青宗が起きることはなく、結局私は朝まで悶々とさせられた。


( 2022.11 )

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