06
「おはよう、夏目くん。」
「おはよう。」
名字さんが腕に怪我をしてからは一緒に登下校をするように頼んだ。
急に腕を引っ張って走り回ったという前科がありながら、名字さんは嬉しそうに笑って頷いてくれた。
「あ、西村、北本。」
「あ…」
「よ、よー夏目!と、名字さん…」
「はよー…」
途中で西村と北本に会った。
名字さんは2人が見えた途端おれより数歩下ってしまった。西村と北本も名字さんを直視できないみたいだ。
まあ……そりゃあそうか…。
「名字さん、こいつらは西村と北本。」
「あ…えっと……この前はご「「この前はごめん!!」」
名字さんの言葉を遮って2人が頭を下げた。
「不可抗力とはいえバッチリ見てしまいました!ごめんなさい!」
「えっ…」
「西村お前バッチリ見たとか言うなよ!」
「プッ…」
「あ、あの…!私こそ、急に逃げちゃって…ごめんなさい。名字名前です。」
西村の潔い謝罪がなんだか面白くて笑ってしまったけど、名字さんも…西村も北本も大丈夫そうだ。
「おれは西村悟。よろしくな!」
「おれは北本篤史。クラス一緒なんだけどわかるか?」
「え!?ご、ごめんなさい…」
「あはは、話したことないもんな。」
そっか、北本も1組だから名字さんとは同じクラスなんだ。
……名字さんは、クラスだとどんな感じなんだろう。ちゃんと…楽しく過ごせているのかな。
「1組も今日小テストなの!?教えてもらおうと思ってたのに…」
「おう。そーだよな、名字。」
「え!?うそっ、何の!?」
「何って…数学だよ。昨日先生言ってただろ?」
「……は、初耳です…」
「おれも初耳なんだけど…」
「夏目はどーせ寝てたんだろ。」
「赤点取ったらどうしよう…!」
「あー、おれが教えてやるから…」
「本当!?ありがとう!」
とりあえず…今おれの目に映っている名字さんは楽しそうだ。
1組には北本も田沼もいるし……もっと仲良くなってほしいと思う。おれの…自慢の友人だから。
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