other | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



04

「ニャンコ先生。」
『ん?』
「今日来た名字だけど…何か変な感じとかしなかったか?妖怪に憑かれてるとか、呪いを受けてるとか…」
『そんなもん感じなかったぞ。ただ…』
「ただ?」
『…普通の人間より妖力は強いな。』
「そうなのか!?」
『と言っても田沼くらいだぞ。』
「………」


それでも…妖力が強いってだけで、妖怪に狙われる理由としては十分だ。











「あ…おはよう、夏目くん!」
「…おはよう。」


次の日、家を出ると丁度名字さんと出くわした。
挨拶はしたものの…この後どうしようか。おれも名字さんも同じ高校に通ってるんだから行き先は同じだ。
一緒に行って、いいのかな……


「一緒に行ってもいい…?」
「…ああ。」


どうやら考えていたことは同じだったようで、名字さんが遠慮がちに聞いてきた。
おれが肯定すると、にっこり笑った。
…昨日も思ったけど、名字さんはいろんな笑顔を持ってるんだな。
嬉しそうな笑顔に、楽しそうな笑顔……そして、悲しそうな笑顔も。


「昨日はスイカありがとう。とても美味しかった。」
「ううん。昨日は迷惑かけちゃってごめんなさい…。」
「迷惑だなんて思ってないよ。」
「……夏目くんは優しいなあ…。」
「…名字さんは……」


「どうしてこっちに来たんだ?」…そう聞こうと思って、やめた。
塔子さんから聞いた話だと、今名字さんが住んでいる家には彼女と彼女の祖母しかいないらしい。
おれがしようとした質問は彼女の家庭事情の核心をつくものだと思ったから。
もしかしたら辛い思いをしてきたのかもしれない。そんな過去を昨日知り合ったおれなんかに知られたくないはずだ。


「なに?夏目くん。」
「あ…えっと……畑仕事とか、するの?」
「うん、するよ。おばあちゃん一人じゃ大変だから手伝ってるの。」
「へえ。」
「それに私、ずっと東京にいたから畑仕事とか新鮮で。すごく楽しいよ!」


畑仕事が楽しいなんて、今時珍しい女子高生だな。東京から来たっていうからなおさら意外だ。
名字さんは「あの畑がウチの」とか「今はじゃがいもを育ててる」とか、嬉しそうに話してくれた。
そういえば、おれが初めて名字さんを見たのはこの辺だったな。


「夏目くんも最近ここに来たんだよね?」
「ああ、そうなんだ。」
「ここは…すごくいいところだね。」
「…そうだな………!?」


なんとなく空を見上げたら、木の上に鎌を持った妖が視えた。こちらをじっと見ている。
落ち着け…、おれが動揺を見せなければ飛びついてくることはない。まずは名字さんを逃がさなきゃ……


「おーい夏目ーー!」
「!!」


やばい、西村と北本だ…!


「夏目お前…!もう昨日の子と一緒に登校するとは…なんてヤツだ!!」
「い、家が隣だったんだよ!」
「マジで!?」


首をしめようとする西村の腕を払いのけて木の上を見たが、さっきまでいた妖はいなくなっていた。
帰ったならいいけど……どこかに身を潜めてるんだったら名字さんだけじゃなくて西村と北本も危険だ…!
何とかしなきゃ………


「!!」


妖の気配を探って周りを見渡していたら、昨日の子どもの妖が名字さんの後ろに立っていた。
子どもはおれと目が合うとニヤリと笑った。しまった、名字さんに何かする気だ…!


「名字さっ……!?」
「な…」
「おおお…!」
「え……え!?えええ!?」


おれも含めて西村、北本、そして名字さん……この場にいた全員が固まった。
何故なら子どもが名字さんのスカートをめくったから。
おれ以外には名字さんのスカートが急に浮かび上がったように見えただろう。
もちろんその…スカートの下も見えてしまって……


「ごっ……ごめんなさいい〜〜〜!!」
「あッ!!」


名字さんは顔を真っ赤にして走っていってしまった。
追いかけようとしたけど、見てしまった手前気まずくてやめた。
それよりさっきの妖は………いない。逃げられたか…。でも顔は覚えた。次見たら絶対止めてやる。











−その後の1組−

「ううう……」
「どーしたんだ名字。顔真っ赤だぞ。」
「田沼くん……私……ああああ……」
「?」







next≫≫
≪≪prev