other | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



18

「頑張れーーー!!」
「頑張れ高瀬くーーん!!」


テストが終わった後は体育祭!
只今高瀬くんはクラス対抗リレーに出てて、大活躍中だ。かっこいいなあ。


「あーーーあっちィ。まだ6月だってのにこの暑さが異常っスよー。ねェ名前さん?」
「え?うん日焼け止めなら塗ってきたよ。」
「ちょ、名前さん俺の話全然聞いてねーじゃん!」
「それよりジャンジャン写真撮っちゃおー!」


いけないいけない、高瀬くん見てたらうっかり写真撮るの忘れてた上に健ちゃんの言葉も頭に入ってこなかった。
今日は運動部大活躍の体育祭だけど、私達写真部は一生懸命みんなの活躍をフィルムに収めるのが仕事だ。もちろん体育祭自体には参加してるけど、私は運動苦手だからあまり出番が無い。
司は運動神経抜群だから大忙し、奈美ちゃんは調子悪いみたいでお休みということで、今日は私と健ちゃんと梅ちゃんで2人の分も頑張るのだ。


「つか、マジ名前先輩色白いっスねー。」
「そうかなあ?まだ6月だからねえ……これからだよ。」
「名字!」
「あ、高瀬くん!」


たった今短距離走を終えた高瀬くんがこっちに来てくれた。それだけですごく嬉しく思ってしまうけど顔には出さないようにしなければ。


「おめでとう!一番だったね。」
「おー、ありがと。……そっちは?」
「あ、写真部の健ちゃん。1年生だよ。」
「ども。」
「今日は私と健ちゃんと梅ちゃんで写真撮るの。」
「名字は何に出んの?」
「私はボール投げさっきやって、あとはムカデだけ。」
「ふーん……応援すんね。」
「えっ……ありがとう。でも私運動苦手で……」
「そんなん関係ねーって。頑張れよ。」
「うん。高瀬くんは後何に出るの?」
「俺はこの後中距離と借り物競争とスウェーデンリレーと、あと部活対抗リレーだな。」
「わ、大活躍だ。写真いっぱい撮るね。」
「ん、よろしく。じゃなー。」
「うん、バイバイ。」


いっぱい話しちゃった。嬉しいなあ。
さっきは撮り損ねちゃったけど、まだまだ高瀬くんは活躍するみたいだからその時にいっぱい撮ろう。もちろん他の人も撮るけれども!3年生の写真もいっぱい撮らないと。


「今の人野球部のエースの人っスよね?」
「うん、高瀬くんだよ。」
「へーえ?ふーん?」
「な、何健ちゃん……」
「あーあー結局可愛い人はかっこいいヤツに取られるのが世の常だなー」
「え、何言ってるの健ちゃん意味わかんないよ。」




















「次何?」
「ムカデ。」


お、じゃあ名字を応援しなきゃな。
名字は何走目なんだろ?偶数だったらこっからじゃ見えねェな。


「じゅーんーサン!」
「何だよ利央うぜーから自分のクラス戻れよ。」
「ひどっ!!せっかく名前サン情報持ってきたのに!」
「……何?」
「名前サン2番だって!こっからじゃ見えないから向こう行こ〜。」


少し癪だけど利央のおかげで助かった。けど何でコイツが名字の走る順番知ってんだ?
「ここがベストポジションっス」と言って利央が立ち止まった隣に俺も並ぶ。
名字は足の紐を確認したところだった。利央が名前を読んで大きく手を振ると小さく手を振り返した。


「準サンも手ェ振ればいいのにぃー。」
「うるせェ。」


別に羨ましくなんかねーし。
名字は3番目で丁度真ん中らへんだ。つか、ちょっと待て。ムカデって男女混同だっけ?名字のうしろのヤツ……澤口じゃねーか。いつぞや名字が肩にもたれてきた時に鼻の下を伸ばしていた澤口じゃねーか。


「わー名前さん白ーい!つか潰されちゃいそぉ〜。」


そうだよ万が一転んだ時どうすんだよ。ムカデってぶっちゃけ転ぶモンだよな?大体前に倒れこむよな?
後ろが男だったら利央の言うとおり、名字なんて潰れちまうぞ。


「おっ、準太と利央も名前の応援か?」
「ちっス。」


和さんに慎吾さんに山さん、3年生が揃って俺たちの隣に並んだ。「も」ってことは、和さんたちも名字の応援に来たんだろう。


「名字にはいつも世話になってるからな。」
「名前ちゃん頑張れ〜。」
「うわ、男女混合か。」


思うことは同じらしい。俺たちいつも名字には応援してもらってるもんな。こういう時くらいお返ししないと。男達の野太い声援が嬉しいかどうかは置いといて。


「お、名前さんトコ2番だ!頑張れー!」
「がっ、頑張れ名字!」


名字のクラスの1番グループは2着で名字のグループにタスキを渡す。出発する前に声出したら、名字がこっち見て笑ってくれた気がした。
いや、野球部のヤツらいっぱいいるし、別に俺に笑ってくれたわけじゃない。舞い上がるな俺。


「おっ!もうちょいで抜けるぞー!」
「頑張れーー!!」
「うわあっ!?」
「!?」


あと少しで1番のグループを抜けるっていうところで名字のチームが転んだ。前のめりに倒れこんだから後ろの澤口が名字に覆いかぶさる感じになってる。ちゃんと名字が潰れないように地面に手ェついてるけど、それが逆になんか嫌だ。
落ち着け、これは事故だ。ムカデはそういう競技だ、仕方ない。
名字たちはすぐに体勢をたて直したおかげで3番のグループには追い越されなかった。そしてそのまま2番のまま3組目にタスキを渡した。澤口の顔がなんとなく赤いのが気にいらねェ。


(準サン顔こわっ!)


その後のグループも転んだり躓いたりを繰り返して、結局名字のクラスは3番だった。
転んだ時怪我とかしなかったのかな。いくら下はジャージはいてても砂利の上に転んだらそれなりに痛いはずだ。声をかけようとしたけど、丁度名字は澤口と話してたからやめた。多分「さっきはごめん」「いいよ」っていうやり取りをしてるんだと思う。


「準太ー、次部活対抗リレーな。」
「っ、ス。」





next≫≫
≪≪prev