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17

「あー終わったーーー!」


怒涛のテストも今日がラスト。俺は最後の数学が終わると同時に思いっきり腕を伸ばした。
みんなで勉強したおかげで今回はなかなか自信がある。赤点はないと、思う。数学のテストにこの前名字に教えたとこ出たけど、名字はちゃんと書けたかな。


「高瀬ー、サイゼ行かねェ?」
「行く!」


午後からの部活までの時間はサイゼに行くことにした。サイゼが学校から歩いて行ける距離にあるってありがたい。ミラノ風ドリアは学生の味方だ。




















「それでね、高瀬くんが教えてくれた問題が今日テストに出たんだよ!」
「へー。」


こんにちは。名前の友達、司でーす。
今日でやっとテストが終わり、お互い午後からの部活の前にサイゼで昼食をとっている。名前とこうやって外で食事するのは久しぶりだ。最近は平日も休日も野球部のやつらにとられてたから。
最近の名前は口を開けば野球部のこと……とりわけ高瀬準太が話題に出てくることが多い。本人は気付いてないんだろうけど高瀬のことを話してる時の名前の顔ったらもう本当可愛いんだから。


「名前はさ、高瀬のこと好きなの?」
「へ!?」


正直私の名前に好きな人ができるなんてちょっと寂しいんだけど……名前の幸せのためなら私は協力してやりたいと思ってるわけよ。聞くと顔を赤くして視線を泳がす名前。うん、わかりやすい。


「う……うん……。」


そして恥ずかしそうに、でもはっきりと頷いた。
あら、自覚済みなんだ。この前見た感じでは高瀬の片思いって感じだったのに。


「どこが好きなの?」
「え、と……優しくて、野球に対して真剣で、練習熱心で……」
「あー、もういいわ。」


なんか高瀬に嫉妬してきちゃった。
嫉妬といえば、高瀬のヤツは私が名前の可愛さのあまり抱きしめてたら割って入ってきたことがあった。明らか嫉妬してるなと思ったら、私のことを男だと勘違いしたらしくい。失礼なヤツだ。思い出しただけでも腹がたってきた。いくらイケメンだからって、そう簡単に名前はあげられないんだから。


「告白は?しないの?」
「高瀬くんモテるし……」
「モテるならなおさら早くしないと!」
「でも、今は大会もあるし……邪魔にはなりたくないし……」


なるほどねぇ。もう……なんて健気で可愛いんだろう!この言葉、高瀬ファンの女子たちに聞かせてやりたいわ。あの子たちは大会っていうイベントにかこつけてこぞって狙ってくるからねえ。
まあ、高瀬を見る限り他の女の子の告白にOKしちゃうってことはないだろうからそこらへんは心配しなくていいだろう。


「高瀬とは普段どんな感じなの?」
「どんな感じって……普通だよ?」
「デートとかは?」
「そ、そんなのないよ〜。」


練習に集中したいのはわかるけどデートの1回や2回行ってもいいだろうに。高瀬もモテるだろうけど、名前だって同じくらいモテるんだから引け目を感じる必要はないと思う。


「いらっしゃいませー。」
「4人っス。」
「!」



















「た、高瀬くん!」
「名字!?」


クラスの友達とサイゼに行ったら名字がいた。
一緒にいるのは司ってヤツだ。勘違いして以来こいつとは少し気まずい。敵視されてる気がするし。


「おっ、司じゃん。」
「よー。」


木村はどうやら司ってヤツと知り合いらしい。そういえばコイツバスケ部だったな。


「隣座っていー?」
「しょーがないなーいいよ。」
「失礼しまーす。」


木村、グッジョブ。
木村は司の隣に座って、俺はすかさず名字の隣へ。野球部もいねーし変な意地は張らない。佐々木に名字の隣を譲るのはなんか癪だし。


「何頼む?」
「俺ミラノ風ドリア。」
「司たちは何頼んだ?」
「私はカルボナーラ。」
「私は明太子スパゲッティだよ。」
「明太子好きなの?この前明太子パン食べてたよな。」
「うん。あ、あの時はありがとうね。」
「いや別に……」
「あ!あのね、今日数学のテストで高瀬くんが教えてくれたところ出たの!」
「そーそー俺も思った!名字ちゃんと解けたかなーって。」
「解けたよ!高瀬くんのおかげだよーありがとう。」
「どういたしまして。」


よかった、ちゃんと解けたんだ。
少し興奮気味に話してくる名字がすげー可愛い。先生、出してくれてありがとう。












−帰り道の男子たち−


「高瀬マジ何なの!?」
「は?何がだよ?」
「名字さんとだよ!付き合ってんの!?」
「くっそーいつの間に……!」
「これだからモテるヤツは……!」
「ちょ、おい待てよ、付き合ってねーって!」
「あんな仲良さそうにしといて今更言い訳すんなよなー。」
「いっそ自慢してくれ……!」
「いいなー名字さん超可愛いもんなー。俺もあの笑顔でありがとうとか言われてーよ。」
「だからァ、違うっつってんだろ!?」
「……マジで?」
「え、でも好きなんだろ?」
「……まあ。」
「じゃーさっさと告白しろよ!ぜってーいけるって!」
「お前なあ……そー簡単に言うなって。」
「野球部エースのモテモテ野郎が何弱気になってんだよ殴るぞ。」
「今は夏大に専念するって決めてんだよ。」
「そんなこと言って、手遅れになっても知らねーぜー?」
「そーそー。俺とかとっちゃうかもよ?」
「……」
「じょ、冗談だって。睨むなよ……」






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