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15

高瀬くんのことが好きなんだって気づいたはいいけど、今日からテスト週間で部活はない。つまり高瀬くんにはしばらく会えないってことだ。でも今会ったら緊張しちゃいそうだし丁度良かったのかもしれない。みんなで勉強するから放課後来れたら図書室来いって和さんが言ってたけど、私も行っていいのかなあ。


「名前サンめっけ!図書室いこー!」
「えっ?」


















結局利央くんに引っ張られて来てしまった。
流石テスト週間なだけあっていつもより混んでる。その隅っこの一角に野球部が集まっていた。和さんに慎吾さんに山さんに青木くんに迅くんに…高瀬くんもいる。利央くんが高瀬くんの隣に座って、私は利央くんの前に座った。高瀬くんと向き合ってるのってなんか恥ずかしい。


「よーし、今日は理系教科やるぞ。」
「うーす。」


理系教科……高瀬くんは数学が得意だって言ってた。わからない問題があったら聞いてみよう。大丈夫、教えてくれないとか、そんな意地悪高瀬くんがするわけないもん。
小さな決意を胸に、カバンから数学の教科書を出した。丁度宿題が出てるからそれからやっちゃおう。














「準サンここは〜?」
「あ?うっせーなァ、少しは自分で考えろよ。」
「考えてもわかんないぃー!」
「ったく……」


うーん……三問目でつまづいてるんだけど……高瀬くんはさっきから利央くんに教えるので忙しそう。邪魔したら悪い気がして、教えてもらうタイミングを逃している。


「名字、さっきから止まってるけど大丈夫?」
「あ、うん、ここがわからなくて……」
「これ?」


そうこうしてたら隣の青木くんが声をかけてくれた。
そうだ、みんないるんだから別に教えてもらうのは高瀬くんじゃなくてもよかったのに。私が高瀬くんに教えてほしいからって……こんなのただのワガママだ。


「んー……」
「連立方程式はたてたんだけど、変な数になっちゃって……」
(タケ……)
(うわ、準サンすげー見てる……わっかりやす〜。)
「悪い、わかんねェ。準太、お前わかるか?」
「え!?」


青木くんは一生懸命考えてくれたけどどうやらわからないみたいで、前の席の高瀬くんに教科書を回した。でも高瀬くんは今利央くんの勉強を見てるから割り込んじゃって申し訳ない。


「あ、これなら今日やったとこだ。」
「なら名字に教えてやってくれ。利央のは俺が見るから。」
「おー。」
(タケ、ナイス!)
(流石タケ……空気読めんなァ。)
「じゃー名前サン席かわろっ!」
「えっ……」
(利央まで空気読んだ!)
(ナイス連携プレー!)


確かに向かいの席だと教えてもらうには距離あるけど、そんなわざわざ移動しなくても。と思ってる間に利央くんは自分の荷物を抱えて私の隣に来てしまった。私も自分のノートと筆箱を持って高瀬くんの隣に移動する。


「えと……よろしくお願いします。」
「あ、うん。どこまでやった?」


隣に座るとなんだかすごく近く感じて変に緊張しちゃう。ダメだ、今は勉強してるんだから目の前の問題に集中しなきゃ。


「ここまで計算したんだけど……」
「ん……あー、ここ。計算ミスしてる。」
「え、どこ?」
「ここ。xの割り算のとこ。」
「……ほんとだ!ありがとう!」
「!!(か、かわ……!)」
(……準太が悶えてる。)
(今の準サンの顔ちょー面白い!)


なんだ、ただの計算ミスだったのか!こんな凡ミスひとつのために席をかわってもらったなんて、なんか申し訳ないなあ。戻った方がいいのかと思ったけど利央くんはまだ青木くんに教えてもらってるみたいだし……席、このままでいいのかな。


「他にもわかんない問題あったら聞いて。」
「……うん!」



















「うーし、そろそろ切り上げるか。」


18時半。校内の施錠が始まる時間に和さんがしめた。約2時間ずっと勉強してたから一気に肩の力が抜ける。隣の名字も腕を伸ばしてる。
最初は利央がうざかったけど、その利央とタケのおかげで名字に教えてやることができた。名字が数学苦手なのは本当みたいで、あの後も3問くらい俺に聞いてくれた。普段名字とは部活でしか会わないから名字と勉強するってなんか新鮮だ。隣に座るのって思ってたよりも近くて変に緊張しちまった。名字に伝わってなきゃいいけど。


「あーー俺数学ダメかも。」
「テスト来週だろ?間に合う気がしねェ……。」
「明日土曜か……一人でいたら漫画読みそうで怖ェ……誰か一緒に勉強しねェ?」
「俺も!一人じゃ絶対無理!」
「じゃー俺も!和己も来てくれ!」
「いいけど……どこでやるんだ?学校使えないし、図書館じゃうるさいし……」


確かに休日一人で勉強してると必ずと言っていい程気がそれるんだよな。漫画読み返してみたり急に部屋の片付けとかしちゃったり。部活がない土曜日っていうのは時間がすげー長く感じるからつい。
俺も一人じゃちゃんと勉強できる自信ないから、またみんなで集まるのには賛成だ。でも和さんの言うとおり場所が無い。


「山ちゃんちは?」
「ダメ。親がリビング占領してる。」
「利央んちは?」
「ウチそんな入んないっスよ〜。」
「ウチも無理だしなァ。」
「あの……」
「ん?」
「私の家でよければ……」
「なっ……」
「まじ!?」
「ほ、本当にいいのか?」
「はい。親は出かけてるので。」
「じゃー名前サンちで決まり〜!準サンも来るでしょぉ?」
「……おー。」


利央のニヤニヤした顔はむかつくけど、俺は素直に頷いた。




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