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14

「テメーら……赤点なんて取ったら……わかってんだろうなァ?」
「「「「「は……はい!!」」」」」


そういえば明日からテスト週間だった。別に忘れていたわけじゃない。もうすぐテストかーなんて毎日思ってて、そしたらいつの間にか一週間前にまで迫ってきた。
やっべェ俺何もしてねェ。何からやりゃァいいんだ?つーか範囲さえ把握してねェんだけど。


「和己!頼む!!」
「和さん俺もォ!」
「山ちゃん英語教えて!」
「あー、わかったから。」
「どこでやるー?」
「トルファン?」
「いや、溜まるんだったらカストの方がいいぜ。」


どうやらみんな状況は同じらしい。

















というわけで、部活帰りにカストで勉強することになった俺達野球部。そういえば去年もこんな感じでみんなで無い知恵振り絞って凌いできた気がする。だけど今日はいつもと少し違う。


「ありがとう、高瀬くん。」
「おー。」


そう、名字がいるのだ。
部室から出たら利央がナチュラルに誘って、あっさり行くことになった。きっかけが利央っていうのがなんかムカつくけどとりあえず嬉しい。
名字はチャリ持ってねェから慎吾さんの提案で俺の後ろに乗ってくことになった。最高だった。名字が降りて、駐輪場に自転車を止めながら心臓を落ち着かせる。
控えめに俺の腰を掴んできたりブレーキかけるとちょっとその手に力が入って密着したり……とにかく最高だった。絶対今締まらねェ顔してる。


「準太ニヤニヤしてるー。」
「準太のむっつりー。」
「なっ……」


そして案の定慎吾さんと山さんにイジられた。まあ今のはイジられて当たり前だ。名字がいないところで言ってくれただけマシだし、慎吾さんのおかげで名字と二ケツできたわけだし、ここで大きな態度はとれない。


「おーい、入るぞー。」
「っす!」


結局今日勉強会に参加することになったのは和さん、慎吾さん、山さん、利央、名字、俺の6人。本当はもっといたけどあまり大人数で店に押しかけるのは迷惑になるからって3つぐらいのグループにわけた。流石和さん。


「よし、そんじゃーまず苦手教科と得意教科の確認からな。」
「俺全部ー。」
「俺もっすー。」
「おいおい!」


とりあえず腹ごしらえっつーことで注文して、料理が来るまでの時間は1週間という猶予をどうやって使っていくかと考える。
ちなみにこのメンバーで教える側といったら和さんと山さんだ。俺は数学は得意だけど他は全然だし、慎吾さんは言っちゃ悪いが頭良くないし、利央はもちろんアホだ。名字はどうなんだろ。そんな頭悪そうには見えねないけど。


「山ちゃんは英語得意だよな。」
「うん。でも漢文は無理。」
「準太は?得意なの数学だっけ?」
「はい。暗記ものは苦手っす。」
「慎吾と利央も、全部ヤバいってことないだろ。慎吾は英語だったらまだマシだろ?」
「んーまァ……。」
「利央は?」
「こいつはマジで全部やばいっすよ。」
「そっそんなことない!俺だって英語と世界史なら平均点ぐらい取れるもん!」
「ホントかァー?」
「名字は?」
「苦手なのは数学で……得意、ていうか好きなのは現社です。」


数学だったら教えてあげられる。心の中でガッツポーズをした。


「そんじゃー英語は山ちゃん、数学は準太、現社は名字な。国語は俺んとこに来い。」
「はーい。」
「これから放課後、来れる奴は図書室来いよ。」
「うーす。」


テスト前は部活なくなるから、放課後には十分勉強の時間がとれる。正直部活以外に名字との接点って無いからちょっと沈んでたけど、名字も図書室来てくれるかな。
















「和己ー、ここの訳なんだけどさー……」
「おー。」


飯も食い終わって片付いたテーブルの上に教科書を広げる。俺はとりあえず得意な数学からやることにした。暗記ものはこんな早くにやっても忘れるだけだし。


「名前サンこの問題わかるー?」
「えーっとこれは確かね……」
「アホ利央、数学は俺に聞けって言ったろ。」
「だって準サン俺のことイジメんだもん!」
「イジメてねーよ、からかってるだけ。」
「待って利央くん、私これならまだ覚えてるよ!」


利央の奴聞くのはいいけどいちいち近いんだよ!もっと離れろよ!さっき名字のオムライス一口もらったの、まだ許してないからな。


「あの、高瀬くん、私も教えてもらいたいところが……」
「あ、何?」
「あー!準サン名前さんだけヒイキしてるー!」
「ヒイキじゃねェ!大体利央は迅に見てもらえばいいだろ。」
「迅頭良くないし!」
「お前よりいーだろーが。」
「いってェー!」
「利央、静にしろ。」
「何で俺だけェ!?」




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