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13

「あのさ、司……」
「んー?」
「その……昨日、高瀬くんと何話したの……?」


朝のHRが始まる前、名前が私に聞いてきた。
顔を少し赤くしてしどろもどろに視線を泳がす名前はとても可愛い。……じゃなくて、これは面白い展開になってきたんじゃないか?





















結局教えてもらえなかった。
司は笑って「取るに足りないことだよ」としか言ってくれなかった。取るに足りないことなら教えてくれてもいいのに。
別に司を疑ってるわけじゃないけど、昨日高瀬くんに聞いても答えてくれなかったしどうしても気になってしまう。
そもそも疑うって表現はおかしいんだけど。別に司が高瀬くんのこと好きでも、私は何も文句を言える立場じゃない。
もし司が高瀬くんのこと好きって言ったら私どうすればいいんだろう。普通に考えれば友達として応援するべきなんだろうけど……どうしよう、嫌だと思ってしまった。


「はああ……」
「……こんにちは。」


野球部に行く前にカメラを取りに部室に寄ったら奈美ちゃんがいた。
久しぶりだ。前よりちょっと髪の毛伸びてる。そして相変わらず可愛い。写真部1年生の奈美ちゃんはものすごく美人さんでスタイルもいい。学年を超えて有名人なのだ。


「どうしたの?」
「これ……野球部ですよね。」
「うん、ごめんね散らかしちゃって。」


奈美ちゃんが見ていたのは私が今までに撮った写真だった。そういえば昼休み作業して広げっぱなしだった。


「今から野球部行くんですか?」
「うん。ごめんね、片付けるね。」
「別にいいですよ、見たいし。」
「そ、そう……?」


黙々と写真を見続ける奈美ちゃん。野球部に知り合いでもいるのかな?とりあえず奈美ちゃんがそう言うならいいか。カメラの準備をしよう。


「……で、名前さんの好きな人はどの人なんですか?」
「はい!?」
「あれ、野球部じゃないんですか?」
「えええ!?」

好きな人の話に繋がる前ぶりなんて何もなかったのにいきなり何を言い出すんだ。というか、何で私に好きな人がいるっていう前提なんだ。


「な、何で……」
「わかりますよ、好きな人いるかいないか。顔見れば。」
「そうなの!?」


私はわからないのに。奈美ちゃんの鋭さには感服する。
いやでもちょっと待って。私好きな人いるの?自分自身でよくわかってないんだけど。


「誰なんですか?この金髪の人?いやでも名前さんはもっと正統派かなー。」
「私、好きな人なんて……」
「ていうか後輩?先輩?同い年?」
「いませんっ!行ってきます!」
















……逃げてしまった。
なんだか頭がぐちゃぐちゃになって、これ以上考えたら爆発してしまいそうで。奈美ちゃんに悪いことしちゃったなあ。
そういえばこの前慎吾さん達にも唐突に好きな人聞かれたんだった。あの時は確か、丁度高瀬くんが来て反射的に逃げてしまった。今思い返してみると別に高瀬くんが来たからって逃げる必要はなかったと思う。
それに、奈美ちゃんに好きな人聞かれた時、真っ先に頭に浮かんできたのは……


「高瀬くんかっこいい〜。」
「クールだよねー。」


フェンス越しにいる女の子達が見てるのは、投球練習中の高瀬くん。私も同じように目で追って、そして同じことを思う。……かっこいい。


「……」


高瀬くんを見てるとドキドキする。これが好きってことなのかな。







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