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「#エロ」のBL小説を読む
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05

ザァー


「雨……」
「雨かー……」


今日は午後から雨が降ってきたせいでグラウンドが使えないから校内走って終わり。いつもより3時間も早い。


「名字帰ろーぜ。」


俺が名字を送るのも、ありがたいことにもう日課となっている。ちなみに利央は今日車だから名字と2人きりだ。


「んー……19時には止むみたいだからそれまでアルバム作ってるよ。」
「……傘忘れたの?」
「う……はい。」


名字って利央同様からかい甲斐があるんだよな。名字はちょっとすねたように口を尖らせた。そんな顔しても可愛いだけなのに。


「じゃあ俺も手伝ってく。」
「いいって!せっかく早く終わったんだからゆっくり休まないと。」
「手伝うって言ったじゃん。」
「でも……」
「はいはい行くぞー。」
「もー……」


心配しすぎなんだよ名字は。それを言うなら名字だって同じじゃん。どんなに遅くなっても毎日ちゃんと残ってるし、マネジの仕事もやってくれてるし。
まだ納得いかないっぽい名字をおいて、俺は勝手に写真部の部室に向かった。そうすれば諦めて、名字は俺のあとを追ってきた。
















「ごめん、散らかってて。」
「いーよ。俺らの部室より全然マシ。」
「ああ……あれは確かに……うん。」


そこは否定しない。まあ男所帯の部室だから当然だけどな。さすがの名字もお世辞の言いようがなかったようだ。


「何すればいい?」
「じゃあ使う写真選んで。同じ野球部員の方がいろいろわかると思うし!」
「うース。」


ということで、写真部部室という個室で名字と2人きりの作業が始まった。個室に2人きりっていう状況から、こう……なんか、いい感じになったりするのを少なからず期待した俺だけど……


「ぶっ!!慎吾さんこの顔やべーって!」


その最高の状況をぶっ壊したのは紛れもなく俺自身だった。
だ、だって写真面白すぎる……!
鼻の穴までくっきり写ってるドアップの慎吾さんの顔、本山先輩がドリンク噴く瞬間、利央が山さんにからかわれてるとこ……これを笑わずに見られるわけがない。写真が好きというだけあって名字のシャッターを押すタイミングの良さはなかなかのものだと思った。


















「ねぇ高瀬くん、こっちとこっちだったらどっちが……」
「……」


ってあれ、寝ちゃってる?
そういえばいつからか高瀬くんの笑い声聞こえなくなってたな。写真のレイアウト考えるのに夢中で気づかなかった。やっぱり疲れてるのに……高瀬くんは優しい人だ。


「……」


カシャ


自分でも何を思ったのかわからないけど、気づいたら高瀬くんの寝顔を撮っていた。


「……」


な、何をしてるんだ自分!これ盗撮だよ!最初の日に高瀬くんに怒られたのに……いや、そのときは勘違いだったんだけど。


「名字……」
「!?」
「……」


高瀬くんの口から名前を呼ばれてびっくりしたけど、どうやら寝言だったみたい。私が高瀬くんの夢の中に出てるのかな………もしそうなら、それってすごく嬉しい、かも……


「……」
「誰かいるのかー?」
「はぃいっ!た、高瀬くん起きて!」


高瀬くん寝顔可愛いなーなんて見つめてたら戸締りの先生が見回りに来た。別にいけないことしてるわけじゃないのに心臓がバクバクとうるさい。私は急いで高瀬くんを起こして校舎を出た。寝起きの高瀬くんは可愛かった。
外に出てみると雨はすっかりあがっていた。やっぱり待ってて正解だった。


(相合傘、ちょっと期待したんだけどな……)





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