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「#エロ」のBL小説を読む
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09

「やあ。」
「ひっ……いらっしゃい…ませ…。」


いきなりですが、私は池袋にある薬局店で働いています。
今日は平日だけど授業がなくて、一時から七時までたっぷりバイトです。ここんとこ何故か大学でまでずっと折原さんに会っていたから、最近バイトは唯一私の心安らげる時間です。
そんな癒しの場所にもついに…ついに折原さんがいらっしゃいました…。何で私のバイト先知って……え?偶然、なのかな…?


「ん?偶然だよ偶然。ここで働いてたんだねー名前ちゃん。知らなかったよー。」


折原さんが言えば言うほど胡散臭く聞こえてしまう…。
だって折原さんは情報屋で、教えてもないのに私の名前とか学校とか知ってたし……いや、深くは考えないようにしよう。お客さんはお客さんだから、接客しないと……


「え、と……何かお求めでしょうか…?」
「ああそうそう。探し物があるんだけど見つからなくてさあ。店員さん案内してくれない?」
「わ、わかりました。何を…」
「コンドーム。」
「……!?」
「もしかして場所わかんない?店員なのに?」
「……こちらです…。」


折原さんがサラっと言ってのけた探し物はとんでもないものだった。
そりゃあ……、薬局だし、置いてありますけど……普通聞かないよね!?ていうか、そもそも場所も知ってるよね!?絶対、私に意地悪して楽しんでるんだ…!


「ここです。では……」
「ちょっと待った!店員さんはどれがいいと思う?種類がたくさんあってどれ選んだらいいかわかんないんだよねえ。」
「なっ…!?」
「やっぱりコレって避妊するための道具だから強度が大事だと思うんだー。」
「え、と…」
「店員さんもさあ、嫌でしょ?ゴムつけたのに破れて妊娠とかさあ。」
「う…あの…」


案内したらさっさと帰りたかったのに帰してくれない。そして答えにくい質問をズバズバしてくる。そんなこと私に聞かれても、困るのに…!
からかわれてるんだってことはわかってるけど、こういう時どうやって言い返せばいいのかわからない。


「臨也お前……訴えられるぞ…。」
「あれ、ドタチンだ。」
「いらっしゃいませ門田さああん!!」


今までの人生で一番反応に困っている私を助けてくれたのは門田さんだった。


「え、知り合い?」
「静雄繋がりでな。こっちもお前らが知り合いだとは思わなかった。」
「俺もシズちゃん繋がりでさ。癪だけど。」


どうやら門田さんと折原さんは知り合いらしい。
そういえば門田さんは静雄さんと同じ高校だったらしいから、必然的に折原さんとも同じ高校になるのか。なるほど。


「やっかいなのに捕まっちまったな、お前も…。」
「あー、楽しかった。」
「ったく……静雄が見たら暴れるぞ。」
「シズちゃんには内密に頼むよ。じゃ!」


それだけ言って折原さんは物凄く清々しい笑顔で去っていきました。
案内までさせといて結局買ってないし…!私の羞恥心を返してほしい…!


「悪かったな。臨也の奴が。」
「いえ…、門田さんが謝ることじゃないです。」


門田さんが来てくれて本当に良かった。あのままだったら私、一つ一つ説明書きを読まされていたかもしれない。


「あ、門田さんは何かお探しですか?」
「ああ、のど飴をな。昨日カラオケでアホが喉を壊しちまって。」
「わかりました!案内しますね。」





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