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「#エロ」のBL小説を読む
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07

「あの…ありがとう、ございました…。」
「どういたしまして。これでまた貸し一つだね。」
「っ……!」


非常に腑に落ちない。
だって私がお詫びしようと思ったのに、いつの間にか折原さんにいい感じなカフェにつれていかれ、いつの間にか折原さんがお金を払ってしまっていた。そして今笑顔で折原さんに言われた言葉が重くのしかかる。
あんな高いケーキをご馳走してもらって私はいったいどうすれば…!そもそも奢ってもらうつもりなんてサラサラなかったのに…!おいしいはずのケーキの味も緊張しすぎてよくわからなかったし…。
うう、考えすぎて気持ち悪い……とりあえず帰って、静雄さんがいたら相談しよう…


「じゃ、じゃあ私はこれで……」
「送っていこうか?」
「結構です!」
「即答?傷つくなあ。」
「あ、いえっ私、自転車なので……」
「あれ、そうなの?」


自転車通学っていうのは本当で、折原さんと遭遇する前に寄っていた100均にとめてある。
お金の節約っていうのもあるけど、一番は満員電車に乗りたくないから。知らない男の人と密着するくらいなら体力削った方がマシだもん。


「では………!」
「ん?」


ど…どどどどうしよう…!?私の自転車の近くで大学生くらいの男の人たちが屯してる…!
折原さんから遠ざかろうとした足がたった一歩で止まってしまった。


「……もしかしてアレが怖いの?」
「……」


折原さんが不思議そうに私を見てくる。
男の人が怖いなんてなんとなく折原さんには知られたくない。けど、私は即座に首を振ることができなかった。


「ふーん…。名前ちゃんってさ、ただ単に男に慣れてないだけだと思ってたけど……もっと深刻な問題?」
「っ…!」
「尋常じゃないよね、その避け様。過去にあったことが原因?気になるなあ、教えてよ。」
「……か、えり…ます…。」
「あれ?自転車はいいの?なんなら俺が……」
「結構です!」


私はそれ以上折原さんの言葉を聞きたくなくて走った。
自転車はもういい。最初から言うつもりはないけど、過去のことを詮索されるくらいだったら電車で帰った方がマシだ。自転車は明日取りにくればいいだけだもん。
折原さんにはまた酷いことしちゃったけど……静雄さんの言うとおりあの人には関わらない方が良さそうだ。これから新宿に行く時は細心の注意を払おう。




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