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「#エロ」のBL小説を読む
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02

名字名前。それが昨日、シズちゃんと一緒にいた女の名前だ。何でわかったかって?それは俺が情報屋だからさ。
彼女は新宿の国立大学に通う3年生……シズちゃんや俺より2つ下だね。実家は都内の上野だけど大学入学を機に、今は池袋で一人暮らしをしているみたい。
社会人が女子大生と知り合いなんてちょっと犯罪チックでワクワクしたけど、残念ながらそういう事実は出てこなかった。彼女はシズちゃんの弟と同じ高校に通っていたらしいから、その繋がりなんだろう。
それにしても昨日のシズちゃんの笑顔……気持ち悪かったなあ。本当に気持ち悪かった。でもそんな気持ち悪い笑みを浮かべちゃう程、彼女はシズちゃんにとって大事な人ってわけだ。
これを利用しない手はないよね。もし恋人だったらどうしようか?略奪してシズちゃんをどん底に突き落とした後で彼女に殺してもらうのもいいなあ。










池袋を歩いていたら思いのほか簡単に彼女を見つけることができた。
ああ、ワクワクするなあ。彼女はいったいどうやって動いてくれるんだろう。


「こんにちは。」
「……っ?」


真正面から声をかけると俯いていた視線が俺を見上げた。
俺と目が合うと彼女は吃驚して一歩下った。まるで怯えているような反応だ。もしかしてシズちゃんから既にあることないこと吹き込まれてる?


「君、昨日シズちゃんと一緒にいたよね?」
「シズちゃん……?」
「平和島静雄だよ。」
「そ、れが…、何か…?」


あれ、怯えられてはいるけど警戒はされてないみたい。この様子を見る限りシズちゃんから俺のことは聞いてなさそうだ。極度の人見知りとか?なかなか視線を合わせてくれない。


「俺、彼の同級生でさ。昨日久しぶりに見かけたら君と一緒にいてなんか声かけにくくて。もしかして君、シズちゃんの彼女?」
「え、と……あの……」


いたって好意的に話しかけてるつもりなんだけど、彼女は俺の話が頭に入ってるのか入ってないのかわからない反応だ。ていうか泣きそうなんだけど。いやいや何これ俺がいじめてるみたいじゃないか。


「あ、俺の名前は折原臨也だよ。」
「わ、私……その…っ…」


必死に言葉を紡ぐ彼女の大きな目には今にも零れ落ちそうな位の涙がたまっていた。
何で泣きそうになってるのか理解できないけど、俺はその表情に体の中心がゾクゾクした。俺の中の加虐心が煽られて、この子を泣かせてみたいという欲求が渦巻いていく。


「う……ごめんなさいいっ…!」
「あ。」


そんな俺の歪んだ感情を察知したのか、彼女は踵を返して逃げてしまった。
走れば10秒もしないで追いつける速さだったけどやめといた。今日はこれだけで十分楽しめたから。
名字名前……なかなか面白い子を見つけたな。感謝するよ、シズちゃん。




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