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「#エロ」のBL小説を読む
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01

情報屋、折原臨也は池袋を歩いていた。
新宿のマンションに住んでいながらも足繁くこの街に通うのは、この街を……いや、より正確に言えばこの街にに住む人を愛しているからだ。
人がいるところにはそれぞれの思想が入り乱れ、その結果様々な繋がりが生まれる。臨也はその様子を上から眺めるのが大好きだった。全ての人間の行動が彼を楽しませた。ボードの上で展開していくゲームを面白くするためには、彼は手段を選ばない。
全ては、彼が愛してやまない人間のために。


「おっ。」


人間を愛していると豪語している彼だが、一人例外がいる。
平和島静雄。高校時代の同級生で、今は池袋最強の男として首なしライダーという都市伝説と同様に恐れられている。
臨也は静雄が大嫌いだ。同じように、静雄も臨也が大嫌いだ。
そんな大嫌いな同級生が向かい側のケーキ屋から出て来たので、臨也は路地裏に身を隠した。今日は喧嘩をする気分ではなかったし、面白そうなものが見られそうな気がしたからだ。


「今日はありがとうございました。」
「いや、気にすんな。送ってくか?」
「いえっ大丈夫です!」
「そうか。気をつけて帰れよ。」
「はい!」


静雄がケーキ屋から出て来た時点で臨也にとっては十分ネタだったのだが、女を連れているとなるとまた格別に興味をそそられる。
彼女が静雄の恋人であれば、それは静雄の最大の弱点となって、これ以上利用価値のあるものはない。
路地裏から顔を覗かせてみれば、静雄は普段からは想像できないような優しい笑みをうっすら浮かべて、女の頭を撫でていた。
女は静雄よりは少し年下の、最近成人したくらいの年齢に見えた。隣に立っているのが静雄だからか、背も小さく見えて可愛らしい雰囲気だ。臨也は彼女の特徴を自身の目に焼き付けた。


「………」


ああ、これからまた楽しくなりそうだ――…。
腹に黒いものを抱えながら、臨也は歪んだ笑みを浮かべた。




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