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「#エロ」のBL小説を読む
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08

『貴様…この私のテリトリーに入ってくるとはなんと無礼な…!』
「ただいまー…って、この前の黒ニャンコじゃないか。」
『夏目気をつけろ、コイツは…』
『テメーに話があって来た、ナツメ。』
「………は!?」











家に帰って部屋に入ったらニャンコ先生が黒ニャンコに対してメンチを切っていた。
状況はよくわからないがその黒ニャンコは名字さんが可愛がっていたクロだとわかったから今度こそ撫でてやろうと思い一歩踏み込んだ時…そのクロの口から言葉が聞こえたのだ。


「お前…まさか妖か…!?」
『…フンッ、アホみたいに妖力垂れ流しておいてそんなこともわかんねーのかよ。』
「なっ…お前…!」


なんて口の悪い猫だと思っていたら、ボフンと音がして黒ニャンコの姿が変わった。
なるほど、先生みたいに黒猫は仮の姿で妖としての姿に戻ったのか。
煙が晴れて見えたのは、以前名字さんにちょっかいを出していた子どもの妖の姿だった。
え……つまり昨日名字さんに擦り寄ってきた黒猫と、名字さんに足をひっかけて転ばせていた子どもは同一人物ってことか…?


『夏目に話があると言ったな小僧。まさか友人帳をよこせとか言うんじゃないだろうな。』
「え!?」


先生の言葉を聞いてガバッと鞄を抱えた。
そういえば妖がおれを訪ねてくる理由って名前を返してもらいに来るか友人帳を奪いに来るかのどっちかだった。


『友人帳なんて悪趣味なモンに興味ねーし。』
「悪趣味……」
『忠告だ……アイツ…名前にはもう近づくんじゃねェ。』
「!」


名前…っていうのは名字さんの下の名前だ。
近づくなって……どういう意味だ?こいつは、名字さんにとって災いとなるんだろうか…?


「おれからも一つ聞きたい。お前は名字さんの傍で何をしてるんだ?」
『………別にお前には関係ねーだろ。』
「関係ある。彼女はおれの友人だ。」
『…!』


だとしたら、放っておくわけにはいかない。名字さんは俺の大切な友人なんだ。


「もし大した理由が無いんだったら彼女にいたずらするのはやめるんだ。」
『ッ、どこで何しようがおれの勝手だ!』
「でも、そのせいで彼女は傷付いている。」
『……』


そう言うと黒猫の妖は黙り込んでしまった。その表情はうかがえない。


『……テメーこそ、アイツを危険にさらしてんじゃねーか!』
「な……」
『お前がアイツの傍にいたら、妖が寄ってくんだよ!この前のヤツだってそーだ。とばっちりを受けんだよ!』
「!」


話が通じたのかと思ったが、逆におれが怒られてしまった。
逆ギレのようにも見えるが確かに黒猫の言ったことは事実だった。


『アイツは……昔からおれが守ってやってんだ。今更第三者が近づくんじゃねーよ!』
「あっ……」


最後にそう吐き捨てて黒猫は消えてしまった。






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