銀魂 | ナノ
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04:しつこい男は嫌われる


「ねえ、近藤さん見なかった?」
「そーいやァ朝からいねーな。」
「…来ましたぜ。」
「いや〜、わりぃわりぃ!ちょいと散歩に行っててな!」
「近藤さん……」










朝から姿の見えない近藤を心配していると、その本人が鼻血をたらしながらやってきた。
何故散歩(と書いてストーキングと読む)で鼻血が出るのか…。
この前スナックで一目惚れしたお妙の家にまで行って告白したところ、鼻にピンポイントで灰皿をぶち当てられたからだ。


「…またお妙さんすか……」
「いい加減諦めたら?」
「いーや!お妙さんはオレをケツ毛ごと愛してくれたんだ!」
「いや、明らかに愛してないってそれ。」


確かにお妙は「ケツ毛ごと愛します」と言ったが、それは近藤の事ではないうえにたとえ話なわけだ。


「頼むから勤務中にストーキングすんのはやめてくれ…」
「じゃあストーキングする時がないじゃねーか!」
「ストーキングしなきゃいいでしょ。」
「フ…人は皆愛を追い求めるのさ…」
「わかったからいい加減鼻血拭いてだらしない。」
「おう。」


近藤は名前からティッシュをもらうと、それを鼻に詰め込んだ。


「じゃあ私と土方は巡回行ってくるから。くれぐれも愛を追い求めないように。」
「総悟、テメーもサボんなよ。」
「土方、テメーも名前さんホテルに連れ込むなんて事すんじゃねーぞ。」
「…名前、先に行け。俺はこいつを斬ってから行く。」
「嫌よ私今すぐ午前の紅茶飲みたいの!」
「オレの金でか!!」


名前と土方がなんだかんだ言いながら屯所を出た後、近藤は仕方なく自室に戻り、沖田は休憩室に向かった。










「今回は今までになくベタ惚れだね…ありゃあ。」
「ああ。」
「お妙さんっていう人も可哀想に…」
「オレは近藤さんも充分可哀想だと思うけどな。」
「そう?女ってしつこい男嫌いなんだよ。」
「嫌いっつってもありゃーねーだろ…。毎回怪我してくるぜ、あの人。」
「私でもあれぐらいはするけど。」
「………」


町を巡回しながら名前と土方が話していると、橋の上にザワついているギャラリーを見つけた。


「オイオイ、何の騒ぎだ?」
「エエ、女とり合って決闘らしいでさァ。」
「女?」
「くだらねェ。どこのバカが…あ。」
「…うちの馬鹿だったみたいね。」
「近藤局長…」


ギャラリー達が言うには女をかけての決闘があったらしい。
それを聞いて土方は呆れるが、橋の下に倒れているフンドシ丸見え男…それは紛れもなく真選組局長の近藤勲だった。


「…頭部と頬を打ってる。」
「名前、もうちょい丁寧に診ろ。」
「大丈夫。こんぐらいで死ぬわけないってゴリラだし。じゃあ土方担いで。」
「(あれ?ゴリラ?)はいはいっと。」


二人は橋の下の近藤のもとに行って、土方が近藤を背負って屯所に戻った。










「沖田ー、ちょっと布団用意してくれる?」
「…どーしたんですかィ、それ。」
「決闘で負けたらしい。」
「近藤さんがですかィ?」
「相手が汚い手を使ったんだ。真剣勝負でこの人が負けるわけねェ。」
「でさァね。」
「…もうすぐ会議の時間だけど…どーする?近藤さん。」
「…今日の会議は局長抜きだな。」
「司会は俺にまかせてくだせェ。」
「ふざけんなよ総悟。」
「じゃあ私ね。」
「お前が司会なんてやったら会議が今日中に終わらなくなる。」


近藤を布団に寝かせて、10分後に会議室に集合になった。
この間に沖田はスピーカーで『局長が女にフラれて女を賭けた決闘で汚い手を使われて負けた』という事をふれ回っていた。








「副長オオオオ!!」
「局長が女にフラれたうえ、女を賭けた決闘で汚い手使われて負けたってホントかァァ!!」


そして10分後。沖田のスピーカーを聞いた山崎を始める真選組の者達が一気に土方に迫った。


「女にフラれるのはいつものことだが喧嘩で負けたって信じられねーよ!!」
「銀髪の侍ってのは何者なんだよ!!」
「会議中にやかましーんだよ。あの近藤さんが負けるわけねーだろが。誰だくだらねェ噂たれ流してんのは。」


一般の隊士達には知られてはいけないと思ったのか、土方は平然とした顔で聞き返した。


「沖田体長がスピーカーでふれまわってたぜ!!」
「俺は土方さんにききやした。」


が、その火種が結局自分な事が沖田の所為でバレてしまった。


「コイツにしゃべった俺がバカだった…」
「なんだよ、結局アンタが火種じゃねエか!!」
「偉そうな顔してふざけんじゃないわよ!!」
「って事は何?マジなのあの噂!?」
「うるせェェェぁぁ!!」


ガシャン


更に詰め寄る隊士達に対して土方は逆ギレて机を蹴り飛ばした。


「会議中に私語した奴ァ切腹だ。俺が介錯してやる。山崎…お前からだ。」
「え゛え゛え゛!?俺…何もしゃべってな…」
「しゃべってんだろーが。現在進行形で。」
「山崎、何か言い残しておくことは?」
「ぇえ!?名前さんまで…」


ガララ


「ウィース。おお、いつになく白熱した会議だな。」


山崎の命が危ないところに、丁度良く(?)思いっきり頬のはれた近藤が入ってきた。


「よ〜〜し。じゃあみんな、今日も元気に市中見廻りにいこうか。」
「「「「………」」」」
「ん?どーしたの?」


しかも近藤は自分の顔のはれように気付いてないようだ。
そんな近藤に一同言葉をなくし、土方は大きくため息を吐いた。









「土方〜、ちょっと出かけてくるわ。」
「どこにだ?」
「昨日雨漏りしてさァ。瓦交換頼みに。」
「わかった。早く来いよ。」
「……なんか夫婦みたいな会話ね。」
「ばッ!てめーの仕事がたまってんだよ!!」
「はいはいわかってるからいちいち焦んなくていいよームッツリ土方。」
「いつまでひっぱんだソレ!!」
「じゃあいってきまーす!」


数日前結構強めの雨が降った。決して頑丈とは言えない名前の家は雨漏りをしてしまったらしい。
それで今日屋根の瓦交換を頼みに行くそうだ。その依頼先は………









ピンポーン


「失礼するよー。」


…名前はいつもの着物で万事屋銀ちゃんを訪れていた。
またインターホンを押すが、返事が来る前に勝手に上がった。


「はーい…って…何勝手に上がってるんですか!」
「あんまケチケチしてるとハゲるよ。銀さんいる?」
「銀ちゃんの知り合いカ?」
「あ……!あなたはあの時の…!!」
「? 会った事あったっけ?」
「ありますよ!!」


中に入るとまず眼鏡の青年が出てきて、続いてチャイナ服の少女が出てきた。中を見渡しても銀時の姿は見えない。
一応眼鏡の少年と会った事はあるはずなのだが、あまり顔をはっきり見てないうえにその後すぐテレビに集中してしまったから記憶がないのだ。


「で、一応依頼に来たんだけど…銀さんは?」
「銀さんならジャンプを買いに……」
「あー、何ー?」


ジャンプを買いに出たはずだが……ふとソファーを見てみるとさっきまではなかった銀時の姿があった。
チョコレートをかじりながらジャンプを読んでいる。


「ただいまくらい言えよ!!」
「あ?何だ、お前は俺の母ちゃんか?ただいまなら言ったよ、ホラあの時……」
「……読みふけるなァァア!!お客さんですよ!!」
「そうヨ銀ちゃん。金ヅルアル!」
「金ヅルって神楽ちゃん…」
「悪いけど私一銭たりとも持ってきてないわよ。」
「はあ?じゃーさよーならー。世の中金で動いてるんでーす。」


相変わらず銀時はジャンプから目を離さずに答える。


「じゃあその言葉、そっくりあなたに返します。20万払えよ。」
「20万…?」


20万の単語に反応して、銀時はやっとジャンプから目を離して名前を見た。


「あー……で、依頼って?」
「うちの屋根の瓦交換手伝ってほしいの。もちろん業者は呼んであるわ。」
「じゃー30万ね。」
「ふざけんなよ。ちゃんとやったら3万チャラにしてあげる。」
「たった3万…」
「文句があるなら20万一括で払いなさい。」
「瓦交換頑張ります。」
「よし。やるのは銀さんだけで充分だからね。」
「…マジで?!」
「ええ。私に借金してるのは銀さんでしょ?」
「仰るとおりで…。」


完全に名前の圧勝。銀時も名前には逆らえないようだ。


「じゃあ案内するから来て。」
「…今から!?」
「そうよ。」


驚く銀時に対して名前は平然と答えた。


「まじですか…。」








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