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03:酒は飲んでもぶっかけるな



「でさぁ、そのお妙さんがまるで菩薩のように俺のケツ毛を……」
「それはよかった。今度こそ成功するといいねー。おかわり。」
「…名前…お前何本近藤さんに奢らす気だ。」
「いーんだよトシ!名前だけが俺の話を真剣に聞いてくれんのさ…!」
「さっき言葉の途中で返事してましたけど。」









真選組の局長である近藤は女にフられ続けるという記録の持ち主だ。
そんな近藤がまた恋に目覚めたという。その相手はスナックで知り合ったお妙という女性。
どうやらとても濃いらしい近藤のケツ毛を愛してくれたらしい。嘘くさいが。
それで舞い上がった近藤は名前と土方と沖田と山崎を飲み屋連れ込んだ。奢ってくれるとのことで。


「お妙さんの微笑みはまさに天使の微笑みでさぁ…」
「それはよかった。おかわり。」
「オイ、名前そろそろ止めとけ…」
「いーじゃねーかトシ!俺の奢りなんだからよ!」
「そーいう問題じゃねーよ!あんた名前が酔ったらどーなんのか知ってんだろ!?」
「名前さん、お酌しますぜ。」
「あら、ありがとう沖田。」
「って言ってるそばから何やってんだ総悟ー!!」
「別にいいじゃねーですかィ。杯の1つや2つ。」
「明らかに1つや2つじゃねーだろコレェ!!」
「あんたに私の酒を権限する権利なんてないでしょー。」
「後々が面倒なんだよ!!片付けんの絶対俺だろ!?」
「そんな事は息をするが如く当たり前じゃないの。」
「そこまで当たり前になっちゃってんの!?」
「まァまァ。トシ、お前も飲めって。」
「私が酌してあげるよ。」
「ったく…」


呆れながらもお猪口を構える土方。なんだかんだ言いいながら、自分も飲む気は満々のようだ。


「ほーーーら残さずお飲みなさい。あはははは!」


ビチャーー


「テメ…!やッやめろォォオ!!」
「あははははー」
「「………」」


しかし名前は酒を差し出されたお猪口には注がず、土方の頭に思いっきりぶっ掛けた。
時すでに遅し。名前はもうバリバリ酔っているのだった。


「沖田も飲む?」
「いや、俺ぁぶっ掛ける側がいいですねィ。」
「よし、じゃあ景気良くやれ!」
「やんなァァア!!おま…コレ…!どーすんだよ!?勿体無ッ!!」
「土方が全部飲めば問題無し。それいけ沖田。」
「愛と勇気だけが友達ですぜ、土方さん。」
「やめろ!頼むからやめろ!つーかテメーも酔ってんだろ!?」
「往生際がわりーぞムッツリ土方。」
「(ブチッ)いい加減にしろよテメーらァァァ!!」


ついに土方がキレた。そりゃあもうちゃぶ台返しをしそうな勢いで。
実際、その拍子に酒が思いっきりこぼれてしまった。


「あーあ…」
「……そう…。土方は私の酒が飲めないっていうのね…」
「は…?」
「いいの…わかったから……いいのよ…。どーせ私の淹れる酒なんて土方にとってはマヨネーズ無しのマカロニサラダ程価値がないのよ……」
「だ、誰もそんな事言ってな…」
「可哀想に名前さん。」
「うぅ……」
「よしよし。」


いきなり泣き上戸に豹変した名前。そして沖田に泣きついてしまった。
土方は少し戸惑う。女の涙には弱いタイプらしい。


「……オイ近藤さん帰……っていつから寝てたんだテメー!!」
「がーーー」
「フン!フン!」
「山崎何ミントンしてんだーーー!!」
「私の酒が飲めないのね……飲みたくないのね……」
「最低でさァ、ムッツリ土方。」
「うっせー!ンな事一言も言ってねーだろ!普通に猪口に入れろ!!」


そう言いながら名前に再びお猪口を差し出した。
名前はそれを見ると嬉しそうに笑って、土方のほうに酒を持って歩み寄る。


「…あ……」
「!」


ビチャッ


「ぶっ!!」


が、今度は何もつまづくものは無いのだが、こけて土方に向かって倒れていった。
もちろん持っていたお酒もこぼれた。…見事土方の顔面に。流石にこれは苦しい。


「ゲホッ!この…どーしてくれんだコレェ!!」


もう土方は髪も顔も服も酒まみれ。再び名前に怒鳴るが、名前はというと……


「…かーー……」


この通り。暴れ疲れて土方を押し倒したまま寝てしまった。
いつの間にか沖田も、ミントンをやっていた山崎もぐっすり。


「……オイ、まじでどーすんのよ、コレ。」


土方の言葉が虚しく響いた。






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