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08


「ねえ名前、最近何かあった?」
「え、何で?」
「なんかたまに全てを悟ったように遠い目してるから。」
「………」


大学の友達に言われた一言。間違ってはいないと思う。










異世界から来たらしい神威くんと同居するようになってもう2週間が経ちました。
最初は毎日がドキドキハラハラ(命の危険的な意味)だったけど順応能力が高い自分に拍手!なんか慣れちゃいました。
同居と言ってもいつでも一緒っていうわけじゃなくて、神威くんはよくフラフラ〜っとどこかに行ってしまう。
合鍵は(しょうがなく)渡してあるから私もこうやって友達と食事に行くことができる。


「しかも最近付き合い悪いよねー。」
「もしかして彼氏できた!?」
「滅相もございません。」


…といっても流石に何日も家を空けるまで神威くんを信用することはできないから、温泉旅行は断ったのだ。
本当はものすごく行きたかったけど…!お土産だけは頼んでおいた。
そ、それにね、神威くんってば私の作るご飯をいつも「美味しい」って食べてくれて……
必ず晩御飯は私の料理が食べたいって言って帰ってきてくれるの。う、嬉しいじゃないか…!
神威くん顔だけはいいからさ、私も気分が良くなっちゃうんだよ。ただし食べる量は半端ないけどね!
まあ栄養士になるための修行だと思えばむしろプラスになるのかも。
お金は神威くんが持ってるみたいだから心配ないし。(深いことは考えない。)


「ほんとにー?今日だって夜はカラオケ行けないんでしょ?」
「彼氏んとこ行くからじゃないのー?」
「違うよ……親と妹が来てるから。」
「ふーん?」


友達はなかなか信用してくれてないみたいだけど、悲しいくらいにそういうんじゃない。ほんとに。
むしろ彼氏だったら気兼ねなく話せるよ。しかし現実はそんな甘くないんだよ。
異世界から来たらしくて、コンクリートを素手で破壊できて、一回の食事で米10合食べちゃう…
そんな男の人と今同居してます☆なんて友達に言えるわけがない。


「…じゃーそろそろ私は……」
「ほんとに彼氏じゃないの?」
「違うって!」
「嘘ついてたら怒るよ?」
「嘘じゃないもん!」











「あ、お帰り名前。」
「ハーゲンダッツ食べてる!」
「食べる?」
「うん!」


え?すごいでしょ、私の順応能力。
帰ったら神威くんがテレビを見ながらハーゲンダッツを食べていた。空箱が10個以上積み重なってる。
ふふふ…こんな光景ももう見慣れたものよ。こんくらいじゃ私は驚かないね!
最初は怖くてしょうがなかったけど…神威くんは基本的に寛容だと思う。いつも笑顔だし。可愛いし。


「名前最近太ったんじゃない?」
「………」


ただし、こういうところはいただけない。
ご満悦な表情でハーゲンタッツを頬張る私に向けた神威くんの容赦ない一言に固まってしまった。
女の子になんてことを言うんだ!そこは見てみぬふり……をするよりは優しいのか?
いやいや、でもこうもズバって、単刀直入に言うことないじゃないか!
言い方があると思うの。例えばこう……「最近ふっくらしてきたね」とか……


「ほ、ほっといてよ!もうすぐダイエットするもん。」
「何で?俺は必要ないと思うよ。」
「えっ…」
「だってガリガリよりちょっとふっくらしてた方が抱いた時気持ちいいじゃん。」
「絶対ダイエットする!!」


こういうところもいただけない。是非改善していただきたい。
神威くんはせっかくのイケメンなのに、二言目には下ネタというか…。
本人そんなつもりはないんだろうけど、すぐに「一発ヤらない」だの「咲って意外と胸大きいよネ」だの言ってくる。
年頃の女の子にそんなことを笑顔で言っちゃう年頃の男の子を、私は初めて見た。
言葉だけならまだしも、実際に行動に移すからね、彼は!
お尻を撫でられたり胸を触られたり…そのくらいならもう慣れてしまった。
お母さん、私は女として確実に何か大切なものを失いつつあるようです…。


「ねえ名前、早くご飯作ってヨ。」
「……わかりました。」


だけどなんだかんだ憎めないのはやっぱり顔がいいからなのかもしれません。





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