銀魂 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



09



「ねえ名前……いい加減抱かせてよ。」
「えっ、ちょ、あの、神威くん!?」


神威くんを拾って16日目の夜。ついに私は本格的に貞操の危機に陥っていた。










今日の神威くんは帰ってくるの遅いなー、なんて思いながら人参を切っていると丁度神威くんが帰ってきて、
おかえりーと出迎えたらその場で押し倒されました。つまり、意味がわからない状態です。
目の前の神威くんはやっぱり笑顔を浮かべてるんだけど、それがいつもの笑顔に見えないのは気のせいじゃないと思う。
いつもの悪ふざけだと思って逃れようにも、神威くんの半端ない力が私の両腕を押さえつけて動かせない。
冷や汗をかきながらなんとか平和的な解決を模索していた私に、神威くんが決定的な爆弾を投下したのがさっきのこと。


「名前を抱きたい。」
「いや…あの、ちょ、ちょっと落ち着いた方がいいいいいと思う…っ!」
「俺は落ち着いてるヨ。」


だって、「抱きたい」って…!!単なるハグじゃなくて、そういうことでしょ…?
この状況で神威くんがしたいことがわからない程鈍くはない。
今までも散々なセクハラをしてきたけど、今回は本当にやばい。神威くんは本気だ。
でもつっこむべきところはたくさんある。
冒頭の「いい加減抱かせてよ」って、まるで私たちが付き合っててそういうことするのが当たり前みたいな言い方!


「神威くん話し合おう。まず話し合おう。ここ、玄関なんですけど。」
「………」


とりあえず時間稼ぎのつもりで言ってみたら、神威くんはキョトンと私を見つめてから、ひょいと私を抱き上げた。
まったくその細っこい体のどこにそんな力があるんだか……じゃなくて何で!?


ボフッ


「はわっ」


神威くんは抱き上げた私をベッドの上に落として、逃げる隙も与えず上に覆いかぶさってきた。
えっと……おかしな状況が更におかしくなってるよ!?
問題なのは玄関だからとかそういうんじゃなくて、もっと根本的なところだよ!気づいて神威くん!


「きゅ、急にどうしちゃったの神威くん!?」
「急でもないよ。ずっと抱きたいって思ってたし…」
「はっ!?」
「それに、そろそろ股間爆発しそう。」
「………」


一瞬でもときめいてしまった私の馬鹿野郎。
単刀直入に言って、欲求不満だと。そういうことですね。
つまり私を抱きたいんじゃなくて、女を抱きたいっていうことだ。
ただの欲望のはけ口にされるなんて絶対に嫌!ああもう神威くんって顔はいいけど中身は本当に最低だな!


「名前は俺とシたくないの?」
「したくありません!どいてよ、ご飯作らなきゃ…」
「……何で?意味わかんないヨ。」
「いやいや神威くんの方が意味わかんないから、絶対!」


何この、するのが当たり前でしょみたいな口ぶり。
絶対私が正しいはずなのに、神威くんが本気で意味がわからないという顔をするもんだから考えちゃうけど…いやいや私が正しい!
流されちゃいかん!ここで流されたらこの後の人生に響いてくる気がする!


「いいですか、神威くん。その、そういうことは、恋人同士がすることであって…」
「恋人なんていらないよ。ヤりたい時にヤりたい女とヤれれば、俺はそれでいい。」


こいつ……!20代にしてなんて荒んだ考え方を持ってるんだ……信じられない!
私が思っていたよりもずっと神威くんは最低クソヤローだったみたいです。本人には絶対言えないけど。


「神威くんがよくても私がよくないの!」
「名前は処女?」
「なっ……」
「処女はめんどくさくて嫌いだけど、名前だったら優しくしてあげるよ?」
「っ、ご心配なく!違うんで!」
「……へえ…。」


神威くんの言い方があまりにも高慢で、ついカッとなってしまった。
まあ言ったことに偽りはないんだけど、それを聞いた瞬間、また神威くんの雰囲気が変わった気がした。
私の顔の隣についていた神威くんの腕が曲がって、ぐっと神威くんとの距離が近くなった。


「なんかそれ、むかつくなァ…」
「え……あっ…!」


そして神威くんの顔は私の肩に埋まって、そこを唇で挟まれた。
私は必死で神威くんの胸板を押すけど、何これびくとも動かない!少しくらい動いてもいいじゃないか…!


「ッ、つ…!」


か、かかか噛みやがったーーー!!
さっきから吸ったり舐めたりしてて必死に感じないように意識をずらしてた私にいきなりすぎる衝撃。
甘噛みってレベルじゃない…本当に噛みつきやがったよこの男!痛いもん!絶対血出てる!


「名前…おいしい……」
「……!」


やっと顔を上げた神威くんの口の端には私の血がついていて、神威くんはそこを扇情的な表情で舐め取った。
やだ、こんなの…私が知ってる神威くんじゃない…!


「や…やだぁ…っ…」
「……」
「…?」


若干諦めかけてきたその時。神威くんが私の上で動かなくなった。
重い体を少しズラして表情をおそるおそる覗いてみると……なんと寝ていらっしゃるではないか。


「……このアホ毛引っこ抜いてやろうか。」


本人に聞こえないことを承知で呟いた。






■■
SPはとりあえずここまで。
閲覧ありがとうございました。



end≫≫
≪≪prev