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06


「はっくしゅん!」


くしゃみで目を覚ました。
そして思った。夢じゃなかったんだ、と………何で気付かなかったんだ、と。









「ちょっとちょっと少年ちょっといいかな少年!!」


いつもは起きた後しばらく思考は回らないんだけど、今日はすばらしく冴えている。
そりゃあね、朝起きてまず窓が外れてるのを見れば嫌でも目が覚めまくりますよ。
泥棒かと思ったけどいや違う。もっと厄介なものが昨日、うちにやってきたじゃないか。少し期待したけど夢オチはなかったのね。
数秒窓を見つめて固まったあと、私はソファの上で寝ているはずの少年のもとに急いだ。
「ちょっと」とか3回言ってるのはやっぱり寝起きだからと、テンパっているからだろう。


「ねえ神威くんちょっと起きてよ!」
「……」


ソファにはやっぱりまだ夢の中らしい神威がねっころがっている。
あーもう寝顔めちゃくちゃ可愛い!じゃなくて!


「ちょっと…!?」
「………」


ハラハラ…私のサイドにあった髪の毛が少し切れて、落ちた。
あは、あはははは………隣には神威くんのスラっとした腕。
もう、何なんだろうね!何で手刀で人の髪の毛が切れるんだろうね!


「………ああ…名前だっけ?あんま俺を起こさない方がいいよ。殺しちゃうから。」
「……以後気をつけます。」


こいつならやりかねない…!!
というか今まさに死にかけたよね私!うん、もう絶対寝ている神威くんには近づかない!


「それで何?」
「あああちょっとあの窓!!あ、その……外れてるんですけど……」


最初は勢いで言ったものの、途中から神威くんに怒鳴ってるという自分の行為が怖くなってだんだん弱腰になった。
だって怖いんだもん!変なこと言ったら殺されかねないもん!


「うん、俺昨日あそこから入ったんだー。」
「それはわかってますとも!!」


私が気になってるのはそこじゃなくてね!?
だってあんなとこから入るの、泥棒じゃなかったら神威くんしかいないじゃん!
そういえばおかしいと思ったんだよ!昨日ちゃんと鍵かかってたのに神威くんがいたから。何であの時気付かなかったんだ…。
それ以前に何でこの子は当たり前のように人んちの窓外して入ってきたんだろう…。


「あの、一応ここ借りてるとこだからね、壊すとちょっと困るんだけど…」
「………そう。じゃあはめとくね。」
「へ…」


控えめに弁償しろって言ったつもりなんだけど……あれ?はめとくって……そんなパズルのピースみたいなノリで……


ガタッ


「……」
「はめといたヨ。」
「……あ、ありがとう。」
「どういたしまして。」


……なんか直視するのは怖いから、やめた。
朝ごはんを作ろう。そうです、つまり逃げました。









「ねえ、神威くんがいたところってどんなところ?」


昨日のように炊飯器の中のお米をザーっと流し込む神威くんに聞いてみた。
うーん、我ながらね、順応力あると思う。なんかもう慣れた。
だって気になるじゃん。神威くんはどうやら異世界から来たらしくて、なんと宇宙海賊やってるって言うんだから。
けっこうSFとかが好きな私にはドキドキする話だ。


「いたところっていうか……宇宙飛び回ってるからいろんなとこ行ってるよ。」
「へーー…。」


そっか宇宙海賊だから定住はしてないんだ。
でもいいなぁ、宇宙旅行……私もいつか宇宙から地球眺めてみたいなぁ。それであの名言を言うの、地球は青かったって!


「ここと同じような地球にも行ったことあるよ。」
「どんな感じ!?」


そうだ確かに地球は通じてたもんね。向こうではどんな感じなんだろう!?


「飯がうまい。」
「………はい?」
「米がうまいんだ。」


いや……あの、神威くん、私が聞きたいのはご飯のことじゃなくてね…?
もっとこう、町並みとか、生活様式とか、どこでもドアがあるかとか、そういうことなんだけど……


「そうだ、買い物に行こうよ。」
「へ?」
「毎日こんな食事じゃ飢え死にしちゃうヨ。米を買いに行こう。」
「そ、そんないきなり…」
「それから炊飯器ももっと大きいのにしよう。あ、あとパンツも欲しいな。」
「いやいやいや申し訳ないけど私そんな大金…」
「こっちはカード使えないの?」
「………あはは?」


神威くん、その手に持ってる金色のカードは何ですか?






■■
トリップにおいて金銭事情はご都合主義でご容赦ください。




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