銀魂 | ナノ
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04



「でね、その橘さんっていう人がまた親切で!」
「そうか、近いうちに俺も挨拶に行こう。」


犬威族の大使館からホテル池田まで、名前は銀時を挟んでずーっと桂と談笑していた。
銀時も話に入ることがあったが、またすぐに2人だけの会話に戻ってしまう。というか、名前が桂にしか話しかけないのだ。
それは後ろを走る新八と神楽が見ても明らかだった。


「…ついたぞ。ひとまずここに身を置こう。」
「そうそうそれから私の行き着けのおそば屋さんがあるんだけどさー…」


バタン


ホテル池田の個室に入ってもなお会話は止まらず、なんとなくその勢いで桂と名前は襖の向こうに消えてしまった。
……銀時たちをほったらかしにして。


「……」
「……銀さん……昔からこうなんですか?」
「……。」











「嬉しいなあ!この前は銀時に会えたし、今日はコタロー!やっぱ2人とも変わんないね。」
「名前も変わって…………いや、変わったな。」
「あはは、胸が?」


銀時たちがテレビを見ているころ、襖の奥で桂と名前はお茶を飲みながらやはり談笑していた。


「桂さん!」
「ああ、来たか。」


その時コンコン、と窓が叩かれたと思ったら、そこから男たちが大勢中に入り込んできた。
桂がごく自然に対応しているところからしておそらく仲間だろう。全員が腰に刀をさしていた。


「友達?」
「同志だ。」
「……」


桂の言葉を聞いて、さっきまで始終笑顔だった名前の表情が少しだけ変わった。
一応桂が今何をしているかは日頃のニュースで知っていた。


「名前。」
「…なに?」


いつになく桂が真剣に名前の名前を呼んだ。その手には刀が握られている。


「また俺と共に闘わないか?」
「……」
「天人に侵食されたこの江戸を変えようではないか。」


名前は無表情で桂を見つめた。
そしてその後、少しだけ笑って瞼を伏せた。


「天人は嫌い。…幕府も嫌い。」
「……」
「………でも、私は今楽しいし…幸せだよ。」
「…そうか。」


再び瞳を開けたとき、名前の顔はいつもの笑顔に戻っていた。
それを見ると桂は刀から手を離して、少し切なそうに口の端を上げた。


「じゃーあたし配達があるから!今度同窓会やろーねー!」
「…ああ。」









「いやだからアレだって。名前にとってヅラはお母さん的な存在で…」


ガラ


「あ、名前さん。」
「よォ名前母ちゃんとの話は…」
「私これから配達だから!またね!」


バタン


「……」
「……」
「……」


やっと桂との話が終わったかと思えば、名前は銀時を綺麗にスルーして部屋を出ていってしまった。
どこまでも相手にされていないように見える銀時に、神楽と新八は軽蔑を通り越して同情し始めた。










「今日は確かっ、すまいるにドンペリ届けてー、笹中さんちに何だっけ……そうだ、腹筋マシーン!………あ。」
「……へ?」


銀時が軽く項垂れてるとき、名前は今日の仕事を指折り数えながら階段を3つ4つ飛ばしながら下りていた。
しかし配達物を思い出すのに必死で周りを見るのを忘れていた。
全段飛ばしをしたまさにその瞬間、自分の真下に人がいることに気付いたのだ。


ズザーッ


もちろん飛んでからはどうしようもない。
その全く知らない人を巻き込んで盛大に転んでしまった。


「ごっ、ごめんなさい大丈夫!?私3階の階段は全段飛ばしって決めてて…」
「あ、いや、大丈夫…」


名前はすぐさま男の上から体を起こして謝った。
男の方は戸惑いがちに返事をしたが、目が泳いでいる。というか、どこに視線を持っていけばよいのかわからない様だ。
…というのも、転んだ拍子に名前の胸が男の顔面に思いっきり接触したためである。


「あー鼻血!ほんとごめんなさい!これ使って!」
「そっそんないいですって!」
「あー時間が……すいません、私飛脚で行かなきゃなんで…あ、よかったらこれどーぞ!じゃ!」
「え!?あの………」


名前は自分のハンカチと、帯にさしてあった桐を男に渡して行ってしまった。


「名前……」


男はハンカチと桐を握って呆然と梨子が行ったあとを見つめていた。





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