銀魂 | ナノ
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03


「ワレェェェェェ!!人の店に何してくれとんじゃアア!!死ぬ覚悟できてんだろーな!!」










万事屋メンバーがチョコをめぐって争っていたところ、下からものすごい音が聞こえたので見にきてみればどうやら事故らしい。
スナックお登勢にバイクが突っ込んで引き戸や壁が粉砕している。そしてお登勢は重症の男に殴りかかろうとしている。


「これを…俺の代わりに、届けてください……」


飛脚であるその男は震える声で銀時に1つの小包を手渡した。
何でも大事な届け物らしく、届けられなかったらクビになってしまうという。男はそれだけ告げて意識を失ってしまった。


「つっても……どこだよココ。」
「私知ってるよ!」
「名前!?」


小包を片手に立ち尽くす銀時の隣から、ヒョコっと名前が顔を出した。


「つれてってあげる!」










「ここだよ、犬の大使館!」
「いや、犬は犬でも犬威星の大使館ですからね。」


流石飛脚をやってるだけあって、名前の道案内は正確だった。途中屋根の上なんかも通ったがとりあえず正確だった。


「オイ、こんな所で何やってんだてめーら。食われてーのか、ああ?」


柵の周りを歩いていると警備の犬威族が出てきた。
犬威族といえば地球に最初に来た天人で、大砲を使って無理矢理江戸を開国させた恐ろしい天人だ。


「チッチッチッ。おいでワンちゃん酢昆布あげるヨ。」
「グラちゃん、犬はドッグフードだよ。」


怖いもの知らずな神楽と名前を、銀時が間髪入れずに叩いた。


「届け物がくるなんて話きいてねーな。最近はただでさえ爆弾テロ警戒して厳戒体制なんだ。帰れ。」
「ドッグフードかもしんねーぞ、もらっとけって。」
「そんなもん食うか。」


名前の頭を叩いたわりには銀時も同じくらい失礼なことを言っているのは置いといて、犬威族が払った小包は銀時の手から離れて大使館の柵の中に落ちてしまった。


ドカン


小包が地面に落ちた瞬間、物凄い爆音と爆風が巻き起こった。
ガラガラと瓦礫が落ちてくるのを呆然と見つめる中、とりあえず今するべきことはわかった。


「逃げろォォ!!」


そう、一目散に逃げることだ。


「待てェェテロリストォォ!!」
「!!」


しかし相手もそうやすやすとは逃がしてくれなかった。
まず犬威族が新八の腕を掴み、新八が銀時の腕をつかみ、銀時が神楽の腕を掴んだ。


「新八ィィィ!!てめっ、どーゆーつもりだ離しやがれっ!」
「嫌だ!!一人で捕まるのは!!」
「俺のことは構わず行け…とか言えねーのかお前!」
「私に構わず逝って二人とも!」
「ふざけんなお前も道連れだ!」
「ってアレ………名前さんは?」


3人それぞれが自分が助かるために必死にあがく中、ふと気付くと名前の姿が見当たらなかった。


「あそこアル。」
「って速ァァアア!!」
「名前はなァ、足めちゃくちゃはえーんだぜ。多分人間で一番はえーな。」
「何誇らしげに語ってんすか!なんか恥ずかしいからやめてください!」


神楽が指差した方にはもはや黒い点ほどの大きさになった名前の影が見えた。
これだけ離れていると助けを叫んでもきっと聞こえないだろう。第一名前はこちらを振り返りもせず走っている。


「ぬわぁぁぁ!!ワン公一杯来たァァ!!」


そうこうしているうちに騒ぎを聞きつけた他の犬威族が次々と現れ始めた。
しかし3人とも身動きがとれない状態……絶体絶命だと思ったその時。


「げう゛!!」
「逃げるぞ、銀時。」


犬威族を足蹴にして3人の前に現れたのは、長髪の男だった。









長髪の男の名は桂小太郎。銀時の知り合いらしく、アッパーかましたりしたが親しげである。銀時は彼のことをヅラと呼んだ。
その桂に率いられ、銀時たちはわけもわからず走っていた。
後ろを振り向くと、もう犬威族が追ってくる気配はない。
いったいどういうことかと問いただそうと、銀時が前を走る桂に視線を向けたとき、その奥に名前の姿が見えた。


「やっときたー。」
「テメッ…見捨てたクセによくもノコノコと…!」
「見捨てたなんて人聞きが悪い。気付いたらみんないないんだもん。私軽くブロークンハートだったー。」


自分だけ一目散に逃げたくせに、名前はごく自然に走っている4人の中に溶け込んだ。
名前にしてみれば、銀時が逃げろって言ったから逃げたのにいつの間にか置いてけぼりにされていてショックだった…とのこと。


「……ん?」


名前梨子は銀時と話しているときにチラチラ視界に入っていた長髪の男を見つめた。桂もまた名前に目を向ける。


「コタロー!コタローじゃん!久しぶりー!」
「!」


銀時と幼馴染ということは、必然的に桂とも幼馴染である。
思わぬ旧友との再会に名前は満面の笑みで桂に話しかけた。
桂も名前の昔の面影を辿って彼女の名前を口にしようとした………が、


「名前………………に似ているようだがどちら様だ?」
「何で今胸見てやめた?殴られたい?」


胸を見て思いとどまった。
だって決定的に違ったから。昔と。
しかしいくら胸がでかくなろうと、名前は名前だ。


「何ィ名前か!?手術をしたのガッ!!」
「してねーよ。」


やっとわかったのかと思えばなんとも失礼な言い様だ。
コンマ1秒という速さで名前の頭突きが桂に入った。横からだ。ものすごい速さだった。


「こ、この頭の硬さは間違いなく名前…!」
「だから何でそこでわかんの?」


類は友を呼ぶというのも、あながち間違いではないようだ。




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