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33:上司の管理もしっかりと


ある日、いつものようにストーカーに行った後、近藤が行方不明になった。


「……うん……そう、問答無用で引っ張ってきて。」


………見つかった。
いつもより少し低い声でそう言ったあと、名前は電話を切った。


「…何だって?」
「山崎が潜入捜査してる工場で働いてたって。」
「………。」












山崎の情報によると、近藤が発見された工場の工場長は過激テロリストであるという噂があり、捜査の結果黒であることが判明した。


「ここね。」


ガン


その工場に着くとものすごい爆発音が響いていた。
車から降りた名前めがけてコンクリートの塊が飛んできたが、名前はそれを余裕でかわして、次に車から降りた土方の顔面に見事に当たった。
土方は頭から血をダラダラと流しているが無表情を貫いている。


「は〜い危ないから下がりなさ〜い。この人のようになるよ〜。ポーカーフェイスを気どってるがものっそい痛いんだよ〜。恥ずかしいんだよ〜。」
「沖田、せっかく土方がかっこつけようと痛くないふりしてるのに可哀想でしょ。これはアレ、マヨネーズ足りなすぎて頭からケチャップ出してんのよ。」


沖田と名前に何と言われようが、尚も土方はポーカーフェイスを決めていた。


「エライ事になってるな。」
「土方さんもエライ事になってますぜ。」
「コレ山崎の野郎死んだんじゃねーのか。」
「土方さんも死ぬんじゃないですか。」


鳴り止まない爆音を聞きながら低いテンションで会話する土方と沖田。
2人が今考えていることはおそらく同じだろう……「面倒くさいから山崎を見捨てて帰ろう」。


「ダメよ。この中に近藤さんもいるんだから。」


そんな2人の考えを見通して名前が言った。


「オイオイ、山崎一人なら見捨てようかとも思ったが近藤さんがいたんじゃそうもいかねーな。」
「土方さん、俺笛家に忘れたんでちょっととりに帰ってきまさァ。」
「ああ、二度と戻ってくるな。情けねェ。もういい、俺一人でいってくるからてめーらそこで待ってろ。」
「土方、アレ見て。」
「あ?」


そんなやり取りをしている中、名前が煙の向こうを指差した。
その先には工場があり、そこから機械音をあげて大きな筒状のものが出てきた。
見る限りそれは大砲だ。しかも、一発で江戸の街を吹き飛ばすくらいはできそうな。
彼らが秘密裏につくっていた兵器とはまさにこの大砲のことだったのだ。


「総悟、俺分度器家に忘れたからちょっととりに帰ってくる。」
「土方さん、大丈夫でさァ。分度器ならここにあります。」
「三角定規もあるから安心して。」












「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


なんやかんやで工場を包囲すると、工場長のマムシと呼ばれる男が息子の日記片手に語り始め、それが終わるとその日記を真っ二つに引き裂いた。


「もう少しだ!!あとちょっとで息子も更生できたのにリストラはねーだろ!おかげでお前、息子はひきこもりからやーさんに転職だよ!北極から南極だよお前!」
「最高の酒の肴じゃねーか。」
「飲み込めるかァァ!!デカすぎて胃がもたれるわァ!!」


それが原因でマムシは幕府を恨むようになり、十年もかけてこの大砲を作り上げたのだと言う。
もはや興奮しきったマムシは何を言っても無駄なようで、土方は応戦するために大砲の用意を指示した。


「いやそこじゃなくて。何びっくりしてんだァァ!!こっちがびっくりだわァ!!」
「! 土方!アレ…!」


しかし沖田が大砲を用意した場所は土方の頭の前。
まあそんなことはいつもの事として、だんだんと工場の周りの煙が晴れてきて見えたのは大砲のすぐ近くに縛られた山崎と近藤と、何故か銀時だった。


「クク、こいつらがてめーらの仲間だってことはわかってる。俺達を止めたくば撃つがいい。こいつらもこっぱみじんだから。クックックッ。」


ドゴォン


「総悟ォォォォォ!!」


……沖田は何のためらいもなしに撃った。


「昔近藤さんがねェ、もし俺が敵につかまる事があったら迷わず俺を撃てって、言ってたような言わなかったような。」
「そんなアバウトな理由で撃ったんかィ!!」
「私も聞いたことがあるわ。近藤さんはバズーカくらいじゃ死なないって。」
「だったら何で死ぬの?ってオイ名前!」
「土方は指示を。」
「……ったく。」


そう言ったあと、名前は工場の方へ走り出した。
煙の向こうにはまだ3つの人影が動いている。名前の言ったとおり、バズーカぐらいでは死ななかったようだ。


「おわァァァァァ!!」


銀時を救出した際に3人が勢いよく工場の屋根から落ちてくると、名前はニヤリと笑ってハサミを抜いた。


「今だ撃てェェェ!!」


それを見た土方が指示を出すのと同時に、名前が3人の縄をハサミで切った。


「名前さん!」
「名前!ありがとな!」
「君は……」
「早く。行くよ。」


自由の身になった3人は、名前を先頭にみんながいるところに向かって走り出した。


バォォン


「うおわァァァァァァ!!」


が、マムシがそれを簡単に見逃すはずがなく、走る4人に向かって大砲を撃ちはなった。
なんとかギリギリなところを避けているが所詮は人間と機械。その差はあっという間に縮まり、逃げ切れそうになくなった時だった。


「るああああ!」
「近藤さ…ッ!!」


ゴォォォ


近藤が右側を走る銀時と山崎に体当たりをして2人を大砲の軌道から抜けさせた。
左側にいた名前は左手で突き出そうとしたが、近藤の考えに気づいた名前はそれを交わして逆に近藤を庇おうと彼の腕を握る。


「局長ォォ!!名前さァァん!!」


その瞬間に大砲によって2人の姿は見えなくなった。







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