銀魂 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



34:記憶を取り戻せ

近藤と名前が気を失った後、記憶を取り戻した銀時によって事件は解決した。
………が。


「君は誰だ?」


近藤の記憶がまた吹っ飛んだ。まさに初期ファミコン並だ。


「ちょっ、近藤さんまた記憶飛んでるんですけどォォ!?どーしてくれんですか旦那ァ!!」
「ああ?俺のせいじゃねーだろ明らかに。じゃ。」
「ほっとけ山崎。頭叩きゃ治るだろ。」
「それより名前さんの方は大丈夫なんですかィ?」
「よし、名前ならウチで面倒みてやるから。」
「ふざけんなテメーさっさと帰れ。」
「ん…ぅ……」
「名前さん!」
「オイ、大丈夫か?」


真選組と万事屋のメンバーが近藤と名前を取り囲んで低レベルな会話をしている最中、名前がゆっくりと目を開けた。
土方や沖田を始め、隊士たちはほっと息をついて名前の顔を覗き込む。たいした外傷も見当たらないし、無事らしい。
名前は自分を見つめる大勢の男たちに驚いて肩を揺らし、一人一人、その顔を確認した。


「…………誰?」


名前が発した言葉に、そこにいた全員が固まった。


「ちょ……、マジかよ…?」
「名前さん、本当に覚えてないんですかィ?」
「オレ!オレ山崎です!」
「……知らない…。」


悪い冗談かと思ったが、名前の表情は真剣だ。むしろ大勢の男たちに怯えてる様子さえある。


「え、うそ、名前まで記憶喪失?」
「大変ですね…。」
「アネゴ大丈夫アルか!?」


名前までもが記憶喪失になったことを知ると、さっきまで帰ろうとしていた万事屋がUターンして戻ってきた。
銀時のやる気のない目と名前の目とが合うと、名前は驚いたように目を見開いて、銀時だけを見つめ始めた。


「や〜そんな見つめられると銀さん照れちゃうんだけど……」
「知ってる……」
「は?」
「私、この人知ってる……気が、する…。」
「……え?」
「「「「はァアァアアア!?」」」」


銀時を見つめながら名前はそう言い放った。
記憶を失って誰一人わからない名前が銀時だけを認識した。
昔から一緒にいる土方や沖田、近藤を差し置いて、比較的最近知り合ったばかりの銀時だけを。
と言っても、口調からして銀時のことを憶えているというわけではないようだ。


「ちょ、ちょちょちょっと待て名前!よーく考えろ!絶対気のせいだから!」
「そうですぜ名前さん。その冗談はちとキツいや。」
「名前さんは真選組にずっといるんですよ!?」
「……」


焦った真選組のメンバーが一生懸命名前を説得するが、名前は首を傾げるばかりだ。


「いーや名前はずっと万事屋で暮らしてたよなァ?」
「そーアル。アネゴは私の自慢のアネゴアル。」
「毎日美味しいご飯作ってくれましたよね。」
「……」


そして万事屋メンバーは自分に都合の良いことばかりを並べていった。
名前はやはり銀時を見つめていて、たどたどしい足で立ち上がったと思うと、銀時の正面に行って手を握った。


「……」
「んーーと……」


流石に手を握られながら無言で見つめられれば、銀時も居心地が悪くて頭を掻いた。


「…ま、記憶が戻るまでウチで面倒みてやるよ。」
「……」


ぽん、と名前の頭に手を乗せると名前は無言で頷いた。


「ちょ、おま、何勝手なこと言ってんだ!名前はこっちに来るのがフツーだろーが!!」
「嫉妬は見苦しいよ大串くん。だいたい名前がこっちがいいっつってんだ。」
「そうアル。アネゴ、むさ苦しいお前らを見て怯えてたネ。」
「ここは名前さんを安心させてあげた方がいいんじゃないですか?」
「ぐ…」


かなり頭にくる言い様だが、事実であるために土方は言い返すことができなかった。
当の名前が銀時の影に隠れてこちらを怯えた顔で見てくるので、尚更である。


「…名前の身に何かあったらタダじゃおかねーからな。」
「ちゃんと記憶戻してやって下さいよ。」
「あーわかってらァ。」


仕方がなく、土方は名前を銀時に任せることに決めた。それが名前にとって最善の方法だと思ったのだ。


「じゃ、帰るぞオメーら。」
「ちょっと待ってください銀さん。」
「何だ?トイレならそこら辺でしとけー。」
「違いますよ!あの、面倒みるって言っても場所がないです。」
「………」


帰ろうとしたところで重要なことに気づいた。
そうだ、銀時の家…つまり“万事屋銀ちゃん”は坂本のせいで木っ端微塵に崩壊してしまっている。


「……私の家でよければ…。」


青い顔をして立ち止まる銀時の袖を引っ張って、名前がボソリと言った。





■■
ここで終了です。
閲覧ありがとうございました。




end≫≫
≪≪prev