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26:彼女の一日 後


喫茶店で食事をした後、名前さんはまたついて来ようとした万事屋の旦那と無理矢理別れて巡回を始めた。
旦那のお陰で1時間も遅れてるよ…。名前さんあんま気にしてないみたいだけど……むしろラッキーって思ってそうだけど……。


「おばちゃんいつもの。」
「あいよ。」


………先程「巡回を始めた」と言いましたが訂正します。名前さん始めていませんでした。
い、いやまだそうと決まったわけじゃないか!一見駄菓子屋に見えるこんな店でも実は武器とかの手入れとか……


「若いのにさきイカ好きなんて変わってるねぇ〜。」
「おいしいから。」


さきイカァァァアア!?名前さん巡回そっちのけで……さきイカァァアア!?


「さーて始めるか。」


しかもさきイカ食べながら!?食べ歩き巡回!?
まあ食べ歩き巡回なら沖田隊長もやってるけど……さきイカってまたシュールなところを…。


「アネゴォォォ!!」
「…あら、神楽ちゃん。」


ドドドド、と明らかに少女から出るわけがない効果音とともに走ってきたのは万事屋のとこのチャイナ娘だ。確か沖田隊長と仲が悪い。
一見普通の女の子だけど、なんでも宇宙最強って言われる夜兎っていう種族の子らしい。
そんなとんでもない子から「アネゴ」と呼ばれる名前さんはやっぱりすごいと思う。


「それ何アルか?白い酢昆布カ?」
「さきイカよ。あげる。」
「ひゃっほーー!」


さきイカをもの欲しそうに見つめるチャイナ娘に、名前さんは一切れのさきイカをあげた。
なんだかんだで名前さんは優しいんだよなァ。…特に子供とお年寄りに。


「あッ!そうだアネゴ!この木刀を見てほしいアル!」
「……それって銀さんのじゃない。」


チャイナ娘が名前さんに見て欲しいと差し出したのは万事屋の旦那がいつも持っている木刀。柄の部分に「洞爺湖」って書いてあるヤツ。
一見汚い木刀だけどアレで近藤さんを倒したっていうんだから相当な値打ちものなのかもしれない。でも何でチャイナ娘が旦那の木刀を持ってるんだ?


「コレって高く売れないアルか?」


売ろうとしてるーーーー!!この子人の刀売ろうとしてるよ!
旦那にとってはどうかわからないけど、刀って武士の魂だよ!?それをこの子……えええ!?


「ちょ、これカレー臭い。」


そしてカレー臭い!?武士の魂である刀がカレー臭い!?旦那まさかこぼしたの!?カレーを、刀に?










チャイナ娘を知り合いの骨董品店に案内した後、(今度は本当に)名前さんの巡回が始まった。


「ちょいと待ちな、お嬢さん。」
「……」


いつものルートにある橋を渡っていると、名前さんはガタイの大きな男に呼び止められた。
その男は…天人だ。どこの星かはわかんないけど顔がゴツゴツしてる。背中に背負っているかごには刀がいっぱい入ってて………
ってもしかしてコイツ、最近噂になってる刀狩りじゃ…!?


「その腰に提げた刀、変わっておるな。もしやそれが長年探してきた星く「これハサミなんで。」


綺麗にあしらったーーーー!!
いやまあ確かに名前さんのは刀じゃなくてハサミだけれども…。
っていうか巷を騒がせてる刀狩りが今目の前にいるんだからここは立場上逮捕するべきなんじゃあ…


「待てェェ!何でもよいわ。その刀、わしがいただ「ハサミだっつってんだろーが。」ごめんなさい。」


…………すごい……名前さん、刀狩りを言葉と殺気だけで謝らせちゃったよ…!











えー、刀狩りを見事にスルーした(でもある意味やっつけた)後は順調に巡回が進んでいます。
今日は何も事件が起きない、ほのぼのとした日だ。毎日こんな感じだったらいいのになぁ。…というか、屯所がこういう雰囲気だったらどれ程居心地が良いことか…。


「…あれ!?名前ちゃんじゃないの!?ちょ、おーい名前ちゃん!オレだよオレ!」


8つ目のさきイカをかじって歩く名前さんに、グラサンをかけた男が馴れ馴れしく声をかけた。
名前さんの知り合いか?


「……」
「ってちょっとォォオ無視ィィイ!?」


これまた見事にスルーしたーーー!!
ちゃんとグラサンの方見たけど、それにも関わらずスルーしたっていうことは名前さん見覚えなかったのか…。
もしかして新手のナンパ?詐欺?



「オレだよ、長谷川!幕府に勤めてたとき1回会っただろ!?」
「……」


そしてまた見事にスルーしたーーー!!
ここまで説明してわかってもらえないって……相当印象に残らなかったんだろうなぁ…。


「ええええマジでェェエ!?」


結局名前さんはグラサンと会話することなくスルーしていった。












「こんなところで会うなんて奇遇ね、エリザベス。」


……えーーー……どうしたらいいんでしょうか……名前さんが得体の知れないものと話しています。
何だアレ。何て説明したらいいんだアレ。…あひるとおばきゅーと足したような…?


「エリザベス、みたらしとよもぎどちらが……名前殿!」
「こんにちは。」


…………ん?


「名前殿もどうですか、団子。」
「ありがとう。よもぎを頂くわ。」


……………あれ、見間違いかな…?


「散歩ですか?」
「んーん、巡回。まったくめんどくさい。桂さんは?」
「仲間と待ち合わせをしてるんです。」


桂ァァァアアァア!!?今明らかに名前さん、「桂」って言ったよね!?何で名前さんが桂とこんな仲良さげに話してんの!?
てか名前さん何やってんの!?桂捕まえる絶好の機会ーーー!!そしてあの生き物何!?オレ何で名前さんの跡つけてんだっけ!?


「ごちそうさま。美味しかった。」
「今度また一緒にそばでもどうですか?」
「是非。」


……とんでもないものを見てしまいました。






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