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15:勤務中の飲酒はよろしくない



「あーあつい。なんでオレたちの制服ってこんなカッチリしてんだ?世の中の連中はどんどん薄着になってきてるってのに。」


とある仕事で町を巡回している土方が自販機でコーヒーを買いながらブツブツ呟いている。
真選組の制服の上着を脱いで肩にかけているが、それでも相当暑そうだ。
それもそのはず。周りの人々は半袖だというのに、真選組の制服は上着を脱いでも長袖。


「おまけにこのクソ暑いのに人捜したァよ。もうどーにでもしてくれって。」
「そんなに暑いなら夏服つくってあげますぜ、土方さん…」
「!」


土方が缶コーヒーを開けて一口それを飲むと、背後から聞きなれた声が…


ドゴォォ


「うおおおおおお!!」
「あぶねーな。動かないでくだせェ。ケガしやすぜ。」


真選組の隊長である、沖田だ。
沖田は振り返った土方にいきなり刀を振ってきた。
その勢いはものすごく、地面をも破壊するほどだった。


「あぶねーのはテメーそのものだろーが!何しやがんだテメー!!」
「なんですかィ。制服ノースリーブにしてやろーと思ったのに…」
「ウソつけェェ!!明らかに腕ごともってく気だったじゃねーか!!」


沖田は袖を切ろうとしたと言うが……今のは腕ごと斬りそうな勢いだった。


「実は今俺が提案した夏服を売込み中でしてね。土方さんもどーですか。ロッカーになれますぜ。」
「誰が着るかァ!明らかに悪ふざけが生み出した産物じゃねーか!!」


沖田は片手に両袖が刀でノースリーブにされた制服の上着を土方に見せた。
ノースリーブはノースリーブだが……刀で切った所為で切り口がボロボロだ。


「おーうどーだ、調査の方は?」
「…………」


そこへその沖田が開発したノースリーブの上着を肌に直接来た近藤がやってきた。
それを見て土方は押し黙ってしまう。確かに着てみるとロッカーっぽい。
が、突っ込むのは我慢した土方。


「あーーー…暑いったらありゃしない。」
「! なッ…お前まで…!!」


と、そこへ更に名前が片手にセンスを持ってきた。肩には先日かったシャム猫の紅が乗っている。
そして何故土方が名前を見て驚いたのかというと……名前の着物の両袖もごっそりなくなってノースリーブになっていたからだ。
名前のノースリーブは自分でやったため切り口は綺麗に繕ってあった。


「何?暑っ苦しいわね土方。」
「お前は肌出しすぎだ馬鹿野郎!!」


土方の言う通り、これで更に肌の露出度が上がった。
肩から下、太腿から下が見えていて、着物は元から3分の1くらいになってしまっている。


「…そんなのあたしの勝手じゃない。」
「名前さん、土方さんはむっつりですから。名前さんの生肌が見れて嬉し恥ずかしげへへへへなんでさァ。」
「ふーん。そんなに見たいの?」
「んなワケあるかァァア!!」
「シャーッ!」
「近づくなだって。」
「何でわかるんだよ!?」


紅はすっかり名前に懐いた様子。そして、土方への敵対心も深まっているようだ。


「ねえ名前、どーしたら紅さんに懐いてもらえると思う?」
「(猫にさん付けーー!?)」
「んー……顎撫でてあげたら…」
「よーし!」


ガブ


「…あれ?なんか痛い。ものっそ痛い。」


近藤が名前の言ったように紅の顎を撫でようと手を伸ばすと、紅は容赦無くその手に噛み付いた。


「……それ以前に生理的に受け付けないものを好きになれってのは無理な話よね。」
「あ…そうですか……。」


とどめに名前の言葉が胸に突き刺さり、ノックアウト。


「おい。言っとくけど今仕事中だからな。」


ここでやっと土方が話しを仕事に戻した。


「自分だってつられてたくせにねィ。」
「ね。」
「うるせェ!!つったのはそっちだろーが!」
「土方さんはエロい話で簡単につれますぜ。」
「剣を抜けェーーーッ!!」


……が、またすぐに沖田にはめられてしまうのだった。
いい加減飽きてきた名前は、土方の手から今捜索している人物の写真を奪い取った。


「お姫様ねェ…。」
「…お姫さんが何を思って家出なんざしたんだか…。人間立場変わりゃ悩みも変わるってもんだ。俺にゃ姫さんの悩みなんて想像もつかんよ。」
「立場が変わったって年頃の娘に変わりはない。最近お父さんの視線がいやらしいとかお父さんが臭いとか色々あるのさ。」
「お父さんばっかじゃねーか。」
「あーそれよくわかるわー。」
「何ィ!!名前、誰だ!?誰の視線がいやらしいんだ!?誰が臭いんだ!?お父さんに言ってみろォオ!!」
「おめーだよ。」
「!!」


近藤、2回目のノックアウト。


「江戸の街全てを正攻法で探すなんざ無理があるぜィ。ここは一つパーティでもひらいて姫さんをおびき出しましょう!」
「そんな日本昔話みてーな罠にひっかかるのはお前だけだ。」
「大丈夫でさァ土方さん。パーティはパーティでもバーベキューパーティです。」
「何が大丈夫なんだ?お前が大丈夫か?」
「いや、バーベキューだったら行っちゃうって。」
「行かねーよ!!大体向こうはお姫様だぞ。」
「あーあー、これだから一般人は。お姫様が毎日肉ばっか食ってるとでも思ってんの?金持ちだから?言っとくけどねェ、お姫様はベジタリアン…菜食主義者よ。お姫様が太ったら男のロマンがくずれるでしょ?だから代々そういう教育を受けるのよ。」
「何でそんな自信満々!?お前何者!?」
「あたしはね、月から来たの。竹の中からおじいさんに助けてもらったの。」
「おーい、何でこいつ酒入ってんだー?」
「名前さんの飲酒に昼も夜も勤務中も関係ありませんぜ。」


先ほどから変な事を言うと思ったら、昼間っから……しかも勤務中に飲酒をしていたみたいだ。
名前は酒を飲んでも顔色はあまり変わらないが、少しテンションが上がる性質がある。


「局長ォォ!!」
「!! どーした山崎!?」
「目撃情報が!」


そこに、新たな情報を手に入れた山崎が報告に走ってきた。
やっぱり山崎も沖田作のノースリーブ隊服を着用。
土方はそれを横目に見て呆れるばかりだった。


「どうやら姫様はかぶき町に向かったようです。」
「かぶき町!?」
「よりによってタチの悪い…」
「かぶき町……よーし、久々に賭場でも行こうか沖田。」
「いいですねィ。」
「だから勤務中だっつってんだろ。」
「じゃあパチンコ。」
「じゃあも何もねーよ。仕事しろ仕事。」
「しょうがないなー。むっつりのリクエストにより遊郭ね。」
「コラァァア!!おまっ…!もう帰れ!寝てろ!」
「月には帰らないわ。迎えが来ても絶対帰ってやんない。あのクソ親父が。」
「家出かよ!!」
「いいんだトシ。お父さんはなァ、娘から嫌われるのが宿命なんだよ…!」


何故か涙ながらに土方を説得(?)する近藤。


「ハァ…。本当お前…もういいから帰ってろ。」
「あたしを一人で帰したらどーいう事になるかわかってんの?」
「あ、じゃあ俺が送ってってあげまさァ。」
「テメーは仕事しろ!!」
「もしかしたら無理矢理遊郭に入れられるなんてことも…」
「許さん!許さんぞォォオお父さんはそんなこと…」
「うるっさいなー頭に響くんだけど。」
「ごめんなさい。」
「……じゃあ車で寝てろ。」
「安全運転でよろしく。」
「よろしく。」
「だからお前は仕事だって。」


どさくさにまぎれて車に乗り込もうとする沖田。
なんともう睡眠用のアイマスクを着用していたが、土方に止められてしぶしぶ仕事を続けることに。
その後、無事にそよ姫は保護できたとさ。







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