11:酔ってる人間は馬の耳に念仏
「この勝負、お妙さんの勝ちね。」
「明らかに反則だろこれェェエ!!」
「メットかぶってたじゃん!」
「私の判定に文句あるってわけ?」
「「「「スンマセン!!!」」」」
注意その1。酔っている名前は怖い。
「局長ォォォォォォォ!」
「てめェ何しやがんだクソ女ァァ!!」
「あ゛〜〜〜〜〜やんのかコラ。」
「「「「すんませんでした!!!」」」」
注意その2。お妙は怖い。
「えーー、一戦目は名前さんがお妙さんの勝ちというので万事屋に1ポイントです。」
「まじでいいの!?つーか名前さん審判じゃないじゃん!」
新八の突っ込みは軽やかにスルーされて、結局お妙さんの勝ちという事になった。
「二戦目の人は最低限のルールは守ってください…」
「!!」
…と、審判の山崎が言った矢先。
シートの上では既に2戦目の神楽vs沖田の試合が行われていた。
「お゛お゛お゛お゛、もう始まってんぞ!」
「速ェェ!!ものスゲェ速ェェ!!」
「あまりの速さに二人ともメットとハンマーを持ったままのよーに見えるぞ!!」
「ホゥ。総悟と互角にやりあうたァ何者だ、あの娘?奴ァ頭は空だが腕は真選組でも最強をうたわれる男だぜ…。」
「互角だァ?ウチの神楽にヒトが勝てると思ってんの?奴はなァ、絶滅寸前の戦闘種族“夜兎”なんだぜ。スゴイんだぜ〜。」
「なんだと。ウチの総悟なんかなァ、Sに目覚めたら敵う奴なんて…」
「オイッ!ダサいから止めて!!俺の父ちゃんパイロットって言ってる子供なみにダサいよ!!」
それを見て土方と銀時が我が子を自慢するかのように言い争い始めた。
「Sなら沖田より私の方が勝るね。」
「まじで?俺ちょっとM磨いてみるかな〜。」
「何言ってんですか銀さん!!っていうかアンタら何!?飲んでんの!?」
「あん?勝負はもう始まってんだよ。」
「よし次はテキーラだ!!」
「上等だ!!」
言い争いからいつのまにか飲み比べに。
名前は争いは関係無しに、土方や銀時が持ってくる酒を次々と飲み干していった。
そうこうしているうちに神楽と沖田の試合は急展開。
…というか、もう2人ともメットつけたままだしハンマーもってないし、ジャンケンもしていない。
ただの殴り合いに発展していた。ルールも糞もあったもんじゃない。
「しょーがない。最後の対決で決めるしかない。銀さっ…」
「「オ゛エ゛エ゛!!」」
「2人ともだらしないね〜。こんぐらいで吐いてどーすんのよ。」
新八が3戦目で決めようと銀時を呼ぶが、銀時はどうやら飲みすぎたようで土方と同時に吐いていた。
それを見て思わずずっこけてしまった新八。
名前も顔は赤いが、まだまだ平気そうだ。
「オイぃぃぃ!!何やってんだ!このままじゃ勝負つかねーよ!」
「心配すんじゃねーよ。俺ァまだまだやれる。シロクロはっきりつけよーじゃねーか。」
銀時はまだまだやれると言うが……正直、説得力が全く無い。
「じゃあここは“斬ってかわしてジャンケンポン”ね。」
名前が2人の勝負の仕方を提案した。ジャンケンで勝ったら相手に斬りかかって、負けたら避けるという事だ。
今の2人には特に危ない勝負内容になってしまった。
本当に斬ってしまったら洒落にならない。
「だな。」
「上等だコラ。」
「お前さっきから『上等だ』しか言ってねーぞ。俺が言うのもなんだけど大丈夫か!?」
「上等だコラ。」
「じゃー始めてー。」
名前の合図で2人は同時に刀と左手をかまえた。
自分から提案したわりには、名前は興味無さ気に言って酒の続きを楽しむ。
「「いくぜ!斬ってかわして、ジャンケン……ポン!!」」
土方がパーで、銀時がチョキ。
「とったァァァァ!!」
ザン
それを見ると銀時はすぐさま刀を振った。
「心配するな。峰打ちだ。まァこれに懲りたらもう俺にからむのは止めるこったな。」
が、真っ二つにしたのは土方ではなくてただの木だった。やはり相当酔っているらしい。
「てめェさっきからグーしか出してねーじゃねーか!ナメてんのか!!」
土方も土方で定春を銀時と勘違いしているようだ。
「お互い妙な上司がいて大変ですね。一緒に飲みましょーか。グチを肴にして。」
そんな2人を傍観しながら、山崎が新八に言った。
「山崎。あんた自分が変じゃないとでも思ってんの?」
「すいません!!」
そんな山崎に容赦無く名前が言った。
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