銀魂 | ナノ
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10:ルールなんて破られるために作られたようなもんだ



「テメーら迷子はいねーなァ?ここに迷子センターなんて無いからな。」
「……近藤さんは?」
「あ。」









桜満開の春。世間じゃあ花見三昧な時期。それは真選組も同じで今日は仕事無しで毎回恒例の花見にやってきた。


「オイオイまだストーカー被害にあってたのか。町奉行に相談した方がいいって。」
「いや、あの人が警察らしーんスよ。」
「世も末だな。」
「悪かったな。」


毎回真選組が席を置いている場所に移動すると、そこにはもう先客がいた。
万事屋のメンバーと……迷子になったと思われていた近藤だ。何をしでかしたのか。お妙にボコボコにされている。


「オウオウ、ムサい連中がぞろぞろと。何の用ですか?キノコ狩りですか?てゆーか誘拐犯みたいよあんたら。」
「そこをどけ。そこは毎年真選組が花見をする際に使う特別席だ。」


銀時が土方達を誘拐犯扱いした理由はムサい連中の中にポツンと1人だけ女の名前がいるからだ。


「久しぶり〜銀さんに…みなさん。」
「あの、いい加減名前覚えてくれますか!?新八です新八!!」
「ごめんごめん新二くん。」
「もう間違えてるんですけどォォ!!」
「どーゆー言いがかりだ?こんなもんどこでも同じだろーが。チンピラ警察24時かてめーら!」
「同じじゃねぇ。そこから見える桜は格別なんだよ。なァみんな?」
「は?何らしくない事言ってんのよ土方。」
「別に俺達ゃ酒飲めりゃどこでもいいっスわ〜。」
「アスファルトの上だろーとどこだろーと構いませんぜ。酒のためならアスファルトに咲く花のよーになれますぜ!」


場所をとるために隊士達に同意を求める土方だが、全然シンクロしていない。
名前にいたっては立ちながらももう酒のビンを口に入れている。


「うるせェェ!!ホントは俺もどーでもいーんだがコイツのために場所変更しなきゃならねーのが気にくわねー!!」
「じゃあ一緒に入れてもらいましょう。」
「それも気にくわねー!大体山崎場所とりにいかせたはずだろ…。どこいったアイツ?」
「ミントンやってますぜ、ミントン。」
「山崎ィィィ!!」
「ギャアアア!!」


場所をとりにいかせた山崎は場所をとらずにミントンにせいを出していた。
それを見て土方は山崎のもとに走ってタコ殴り。


「お妙さん…ですよね?うちの局長がご迷惑をかけているようですみません。」
「いえいえ、いいんですよ。でも牢屋にぶち込んでおいてくれるととても助かりますわ。」
「わかりました。」
「わかりましたって…ぇえまじで!?」


笑顔でとてもえげつない会話をするお妙と名前。どうやら結構気が合うみたいだ。


「…まァ、とにかくそーゆうことなんだ。こちらも毎年恒例の行事なんでおいそれと変更できん。お妙さんだけ残して去ってもらおーか。」
「いや、お妙さんごと去ってもらおーか。」
「いや、お妙さんはダメだってば。」
「何勝手にぬかしてんだ。幕臣だかなんだかしらねーがなァ、俺たちをどかしてーならブルドーザーでも持ってこいよ。」
「ハーゲンダッツ1ダース持ってこいよ。」
「フライドチキンの皮持ってこいよ。」
「フシュー」
「案外お前ら簡単に動くな。」
「面白ェ。幕府に逆らうか?」
「今年は桜じゃなくて血の舞う花見になりそーだな…」


…という感じで万事屋vs真選組の体勢に入ってしまった。
その時名前は、勝手に万事屋のシートに座り込んで酒をラッパ飲みしていた。


「てめーとは毎回こうなる運命のよーだ。こないだの借りは返させてもらうぜ!」
「待ちなせェ!!」
「!」


刀を抜く土方にストップの声。


「堅気の皆さんがまったりこいてる場でチャンバラたァいただけねーや。ここはひとつ花見らしく決着つけましょーや。」


いつも腹黒い沖田がどうしたのか。まともな事を言った。


「第一回、陣地争奪…叩いてかぶってジャンケンポン大会ぃぃぃぃぃぃ!!」
「「「「花見関係ねーじゃん!!」」」」


…が、花見には全く関係無かった。
ちなみに『叩いてかぶってジャンケンポン』とは、まず普通にジャンケンをして勝ったらピコピコハンマーで相手の頭を殴り、
負けたら殴られる前にヘルメットで頭をガードするというものだ。
勝負に勝つにはジャンケンに勝って尚、相手の頭にピコピコハンマーをヒットさせなければならない。


「いけェェ局長ォ!!」
「死ねェ副長!!」
「誰だ今死ねっつったの!!切腹だコラァ!!」
「まあいいじゃない、死ねくらい。」
「くらいじゃねーよくらいじゃ!!」


試合は3試合。万事屋はお妙さん・神楽・銀時、真選組は近藤・沖田・土方を抜粋。
審判は公平に両軍から新八と山崎で2人。


「勝った方はここで花見をする権利+お妙さんを得るわけです。」
「何その勝手なルール!!あんたら山賊!?それじゃ僕ら勝ってもプラマイゼロでしょーが!!」
「じゃ君らは+真選組ソーセージだ!屯所の冷蔵庫に入ってた。」
「要するにただのソーセージじゃねーか!!いるかァァァ!!」
「こっちが女ならそっちも女よこせよ。」


銀時が言う女とは名前のことだ。


「名前は駄目だ。嫁入り前だから。」
「ふふふ、私も嫁入り前よ?」
「お妙さんは大丈夫。貰い先があるから。」
「いい加減にしねーとその口にハンマーぶちこむわよ。」
「私は別にいいよ。だからソーセージ頂戴。」
「ソーセージだけの為に自分賭けんのかテメェ!?」
「つまみが無いと酒は始まんないのよ。それに私真選組より万事屋の方が向いてる気する。」
「あ〜、確かに。」
「名前ーーー!俺は許さんぞォオ!!そんなどこぞの馬の骨みたいな男!!」
「違うよ近藤さん。銀さんは馬じゃなくて魚。」
「そうだ。俺は魚だ文句あるかコノヤロー。」
「肯定すんなよ!!」
「あの、いい加減始めていいですか?」


これじゃ日が暮れてしまうと思った山崎の一声で、やっと第一戦目が始められた。第一戦目は近藤vsお妙さん。


「ハイ!!叩いてかぶってジャンケンポン!!」


お妙がパーで近藤がグー。


「おーーっとセーフぅ!!」
「セーフじゃない!!逃げろ近藤さん!!」


すぐさまメットを被ってガードした近藤に、新八が叫んだ。
ふとお妙を見てみると何だか禍々しいことを唱えながらハンマーを構えていた。周りには何かのオーラが見える。


「ちょっ…お妙さん?コレ…もうヘルメットかぶってるから…ちょっと?」


ドゴ

ドシャアア


焦る近藤に容赦なくハンマーが振り下ろされた。
その威力はすさまじく、なんとメットがひび割れる程だ。ハンマーも折れてしまった。


「「「(……ルール、関係ねーじゃん。)」」」






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