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08:猿とゴリラを一緒にするな


「名前ーーー!!」









名前の名前を叫びながら廊下を走り、襖をバァンと開けて登場したのは昨日は仕事で出かけていた近藤。


「名前さんは今お休み中でさァ。静かにしてくだせえ。」
「名前ーーー無事かァァア!?」
「オイコラ聞こえてたか?」


近藤は涙を流しながら名前が寝ている布団に駆け寄った。心配そうに名前の顔を覗き込むと、名前は静かに寝息をたてて寝ている。


「……可愛いなあもう☆」
「あんた何しに来たんだよ?」
「おぅそうだ!大丈夫か名前ーーー!!」
「だから静かにしろっつってんだろーがァァァア!!」
「そういう土方さんも煩いでさァ。」


がば


近藤が来た事で一気に室内が騒がしくなると、名前は布団からがばっと起き上がった。


「名前!大丈…」
「うっせーんだよ。」


そして無表情で、ドスのきいた声で一言。その一言は近藤の頭に見事に突き刺さった。
言い終えると、名前はまた何事もなかったかのように布団に入った。


「………」
「あーーーもういい年して泣くなよ!」
「どうしようトシ……名前が反抗期だ……」
「誰だってあるだろそーいう時期。つーか名前は寝起きすっげーワリーの忘れたのか。」
「俺この前起こしに行ったら抱きつかれましたぜ。」
「なッ!?え?……抱きつかれたって……え?」
「ぷッ。やっぱりアンタはムッツリだ。」
「………総悟、そういや決闘がまだだったな…」
「お願いやめてくれる!?障子もう代えがないから!お願いだから!」


土方vs沖田が勃発したり近藤が泣き叫んだりして、また煩くなる部屋。
案の定名前の逆鱗に触れてしまい、3人とも痛い目をみた。










「こんの野郎は…」


それから数日後。真選組に仕事が入った。何でも幕府のお偉いさんの護衛だとか。
そのお偉いさんの屋敷でかれこれ3日ぶっとおしで護衛を続けているが、テロリストは一向に来る気配無し。
…という事で、仕事をサボっている輩が1人。


「寝てる時まで人をおちょくった顔しやがって。オイ起きろコラ。警備中に惰眠をむさぼるたァどーゆー了見だ。」
「なんだよ母ちゃん、今日は日曜だぜィ。ったくおっちょこちょいなんだから〜。」
「今日は火曜だ!!てめーこうしてる間にテロリストが乗り込んできたらどーすんだ?仕事なめんなよコラ。」
「俺がいつ仕事をなめたってんです?俺がなめてんは土方さんだけでさァ。」
「よーし!!勝負だ剣を抜けェェェェ!!」


ガン ガン


言い合っている(?)2人の頭に2つのげんこつが落ちた。


「仕事中に何遊んでんのよ。」
「お前らは何か!?修学旅行気分か!?枕投げかコノヤロー!!」


げんこつを落としたのは近藤と珍しく隊服を着ている名前。


「あれ?名前さんもう体の方はいいんですかィ?」
「ええ。心配かけたね。」
「本当に大丈夫なのか?」
「俺はさ〜、まだ安静にしてた方がいいって言ったんだけどさ〜、名前がさ〜…」
「私が大丈夫なんだから大丈夫なの。」
「それでも俺は名前が心配なんだよォォオ…い゛っ!!」


涙ながらに叫ぶ近藤に1つのげんこつが落ちた。落としたのは今回護衛している禽夜というガマみたいな天人。


「うるさいわァァァ!!ただでさえ気が立っているというのに!」
「あ、スンマセン。」
「まったく役立たずの猿が!」


ガマは吐き捨てて行ってしまった。


「なんだィありゃ。こっちは命がけで身辺警護してやってるってのに。」
「お前は寝てただろ。」
「全く。猿じゃなくてゴリラなのに。」
「え……名前ちゃん?もしかしてまだ寝ぼけてる?」
「幕府の高官だかなんだか知りやせんがなんであんなガマ護らにゃイカンのですか?」
「総悟、俺達は幕府に拾われた身だぞ。幕府がなければ今の俺達はない。恩に報い忠義に尽くすには武士の本懐。新選組の剣は幕府を護るためにある。」
「だって海賊とつるんでたかもしれん奴ですぜ。どうものれねーや。ねェ土方さん?」
「俺はいつもノリノリだよ。」
「え…どこが?」
「アレを見なせェ。みんなやる気をなくしちまって。山崎なんかミントンやってますぜ、ミントン。」


沖田が指をさす方にはやる気のなさそうな隊士達と…ミントンにハッスルしてる山崎の姿。


「山崎ィィィてめっ何やってんだコノヤロォォ!!」
「ギャァァァアア!!」
「ああ、ノリノリね。」
「総悟よォ、あんまりゴチャゴチャ考えるのは止めとけ。目の前で命狙われてる奴がいたらいい奴だろーが悪い奴だろーが手ェ差し伸べる。それが人間のあるべき姿ってもんだよ。」


なんか良い事を言っている近藤。いつもとはすごいギャップだ。


「あ゛っ!!ちょっと!勝手に出歩かんでください!!ちょっとォォ!!」


護衛無しに勝手に出歩いているガマを発見して、近藤はガマのところに走っていった。


「……私は悪い奴っていうか嫌いな奴は絶対助けないね。」
「気が合いますねィ名前さん。俺もでさァ。底無しのお人好しだあの人ァ。」
「良い奴も危ういところよ。」
「俺もでさァ。」
「気が合うわね、沖田。」
「ですねィ。俺達似たもの夫婦になれますぜ。」
「そうね。」
「………」


ドオォォン


名前と沖田が話していると、屋敷内に銃声の音が響いた。
テロリストがやっと動いてきたのだ。ガマを狙った弾は、ガマを庇った近藤の左肩に当たった。


「局長ォォォ!!」


テロリストと思われる男は、失敗したのがわかるとこそこそと逃げ出した。
それを見逃さず、山崎が追跡しに行く。隊士達は急いで近藤に駆け寄った。


「近藤さん!!しっかり!」
「近藤さん…」
「局長ォォ!!」
「フン、猿でも盾代わりにはなったようだな。」
「!」


ガマが吐き捨てた瞬間、名前はハサミに手をかけ、沖田は刀に手をかけた。


ガッ


「!!」


が、刃を全て引き抜く前に土方に止められてしまう。


「止めとけ。瞳孔開いてんぞ。」
「……土方にだけは言われたくないわ。」
「…まったくですねィ。」






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