銀魂 | ナノ
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07:借金はそう簡単には返済できない



「こ奴らがぬし達の周りをかぎ回っていた連中か?」
「ええ。最近少々こうるさくなってきたんで網張ってたら簡単にかかりましてね。大方天人嫌いの攘夷派の連中でしょう。」










…前回までの粗筋。名前と新八と神楽が宇宙海賊“春雨”に捕まった。以上。


バシャ


「ケホッ……ッ」
「オ〜イ起きたか坊主におねーさん?」
「おねむの時間はおしまいだよ〜。」
「まったくこんな若いのに海賊に捕まっちゃうなんてカワイソ〜にねェ。」


いきなり顔に水をかけられ、さっきまで寝ていた新八と名前が起きると目の前には“春雨”の天人達がたくさん。


「(…ああ、そうなんだ。僕…海賊に捕まったんだ。)」
「ハァ…ッ」
「!!」


新八がふと上を見上げると、陀落に今にも落とされそうな神楽が見えた。


「神楽ちゃん!!」
「オジさんはねェ不潔な奴と仕事の邪魔をする奴が大嫌いなんだ。もうここらで邪魔な鼠を一掃したい。お前らの巣を教えろ。意地張るってんならコイツ死ぬぞ。」
「なんの話だよ!!」
「とぼけんな。てめーが攘夷志士だってのはわかってる。」
「はっ!?」


新八達は攘夷志士ではないのだが、海賊達は新八達を攘夷志士だと思い込んでいるようだ。


「てめーらのアジト教えろって言ってんだよ!!桂の野郎はどこにいんだ!!」
「なに言ってんだよお前ら!!僕らは攘夷志士なんかじゃないし桂さんの居場所なんてしらない!!」


いつまでも口を割ろうとしない新八に海賊の1人が荒く迫るが、知らないのだから何をしても何も出てこない。


「神楽ちゃんを離せ!!ここは侍の国だぞ!!お前らなんて出てけ!!」
「侍だァ?そんなもんもうこの国にゃいねっ…!!」
「ほァちゃアアア!!」


新八が叫ぶと、さっきまで寝ていたと思っていた神楽が瞳を開けてニカッと笑った。
…かと思うと、次の瞬間陀落の顔面を思いっきり蹴って、自ら海に落ちていった。


「神楽ちゃ…!!」
「足手まといなるのは御免ヨ。バイバイ。」
「待てェェェ!!待て待て待て待て待て待て待てェェェ!!」


その時。ロープを使って垂直な面を駆ける人物が一人。
そいつは落ちてくる神楽を間一髪で受け止め、ロープの反動で上に上がってきた。


ゴォアァシャッ


「…いでで。傷口開いちゃったよ。あのォ、面接会場はここですか?」


その人物は坂田銀時……なのだが…何故かコスプレしている。
本人談、スパイ潜入のつもりできたらしいがもうバレバレだ。


「こんにちは。坂田銀時です。キャプテン志望してます。趣味は糖分摂取、特技は目ェ開けたまま寝れることです。」
「銀さん!!」
「てめェ生きてやがったのか。」


ドドン


「!!なんだ!?」


すると今度は船内から爆発音が聞こえてきた。
爆発が起こった場所は今回の薬が大量に保管されている倉庫。おかげで薬は一気にパーになってしまった。


「俺の用は終わったぞ。あとはお前の番だ銀時。好きに暴れるがいい。邪魔する奴は俺がのぞこう。」


もちろんその犯人は桂。
桂も参戦して、船上はますます激しく、騒がしくなった。
爆音が響く中銀時は陀落と対峙して、お互いに剣を構えた。


「てめーら終わったな。完全に“春雨”を敵にまわしたぞ。今に宇宙中に散らばる“春雨”がてめーらを殺しにくるだろう。」
「知るかよ。終わんのはてめーだ。いいか…てめーらが宇宙のどこで何しよーとかまわねー。だが俺のこの剣。こいつが届く範囲は、俺の国だ。無粋に入ってきて俺のモンに触れる奴ァ、将軍だろーが宇宙海賊だろーが隕石だろーが…ブッた斬る!!」


ガキィィン


銀時が珍しく真面目なことを言い終わったと同時に剣の交わる音がして、2人が交差した。
ピタ。と2人とも一時止まる。


「オイ、てめっ…便所で手ェ洗わねーわりに……けっこうキレイじゃねーか…」


数秒後、陀落は台詞を残して倒れた。
銀時はそれを音で確認すると、静かに鞘に剣を戻した。

それから数分たつと、宇宙海賊“春雨”は見事銀時と桂に壊滅されてしまった。


「アー、ダメっスね。ホントフラフラして歩けない。」
「日ぃ浴びすぎてクラクラするよ。おんぶ。」
「何甘えてんだ腐れガキども。誰が一番疲れてっかわかってんのか!二日酔いのうえに身体中ボロボロでも頑張ったんだよ銀さん!」
「僕らなんて少しとはいえヤバイ薬かがされたんですからね!」
「………」
「…オイ、大丈夫か名前?」


そういえば先ほどから存在感がまったく無かった名前は、いまだに息苦しそうにしていた。呼吸が少し荒い。


「…ええ……」
「立てるか?」


そんな名前を心配して銀時は名前に肩を貸そうとした。が。


「銀ちゃん、ソレ何差別アル。」
「好み差別ですね。」
「最低だな銀時。名前殿は俺が運ぼう。」


次々とその行動に文句をつける人達。何故かカツーラも降りてきた。


「ったりめーだ。野郎やガキ担ぐより大人のおねーさんおんぶしてーんだよ。」
「うわー言っちゃったよこの人…」
「じゃあ桂さんお願いします。」
「はい。」
「………」


銀時の少し変体的発言を聞くと名前は遠まわしに銀時に担いでもらう事を拒んだ。


「仕事場まで…送ってもらえますか?…銀さんち行く途中にありますから……」
「わかりました。」
「チクショー。結局こーなんのかよー」


ということで、桂は名前を、銀時は新八と神楽をおんぶして春雨の船を出た。










「あ、ここです。」


歩くこと数十分。名前の仕事場に着いたようだ。


「名前殿……仕事というのはまさか……」
「真選組です。ありがとうございました。」


桂は名前を下ろしてから、前を見るとそこは『真選組屯所』。桂の顔が一気に青ざめた。


「名前…お前ここで働いてたのか…?」
「ええ…」
「女中ですか?」
「いや…列記とした隊士。」
「…銀時、後は頼んだ!!」


すると桂は名前を銀時にまかせてとんずらをこいた。
そりゃそうだ。幕府に追われている人間がこんなところに居られるわけがない。


「ごめんくださーい。」
「ごめんくさーい。」
「ちょっとごめんよー。」
「ちっとごめんヨーー。」
「うっせー!1回言えば聞こえんだよ!!」


銀時と神楽が屯所前で言っていると、うざったそうに土方が出てきた。
そして目の前の光景を見て唖然とする。何かと腐れ縁な万事屋メンバーに銀時に寄りかかりながら苦しそうにしている名前。


「な…ッ!馬鹿野郎テメっ…名前から離れろ!!」
「あれ?何で俺怒られなきゃいけないの?ねえ?」
「ヤキモチですかィ。これだからムッツリ土方は…」


土方が慌てて銀時から名前を奪い取った。
その様子を見ていつの間にか来ていた沖田がポツリとつぶやく。


「うっせーーぞそこォ!!オイ、名前大丈夫か!?」
「ん…」
「大丈夫じゃねーだろ!?」
「チッ…じゃあ訊くんじゃねーよ。」
「え…あの名前さん…?こういう事言う人だっけ?」
「旦那、ありがとうごぜーました。」
「お礼は酢昆布1年分でヨロシ。」
「あ?寝言は寝て言えよクソチャイナ。」
「馬鹿神楽。銀さん名前に2万借金してんだぞ!こういう時は切実に金だろ。」
「20万です。」
「………じゃあ20万はこれでチャラに…」
「……1万くらいならひいてあげる…」
「オイちょっとたった1万?銀さんすごい頑張ったんだけどォ?!」
「文句つけてんじゃねーよ100円にされたいの?」
「ごめんなさい。」
「おい名前、本気で何が起こったんだよお前。」


今の名前はいつにも増してかなり怖い。言葉遣いも荒いが、何より有無を許さない何かが感じられる。


「じゃあ僕達帰りますから…」
「おう。二度と来るんじゃねーぞそこの白髪。」
「あん?喧嘩なら買うぞコノヤロー。」
「ちょ、やめてくださいよ銀さん!」
「違うよ。俺は悪くないよ。あっちから仕掛けてきたんだよ。」
「そんなガキの言い訳はいいから!ドラマ始まっちゃいますよ!!」
「……ふ…今回は昼ドラに救われたな…。」
「そりゃこっちの台詞だ。石原さんに感謝するんだな…。」
「ほら、行くよ!!神楽ちゃんも!」
「待つアル!まだコイツとの決着がついてないヨ!!」
「いいから来ォオい!!」


喧嘩する気満々の銀時と喧嘩している神楽は新八に引っ張られて屯所から離れていった。
新八も神楽もヤバイ薬をかがされたというのにもう元気もりもりだ。


「……ッ」
「オイ、ほんとに何があったんだよ?」
「…転生卿の…出所は“春雨”よ…」
「!!」
「名前さん…まさか薬……」
「かがされたのか!?」


土方の質問に名前は声を出さずにうなずいた。


「ばッ…そーいう事はもっと早く言え!!」


それを見ると土方は急いで名前を抱いて屯所内に向かった。


「チッ。ヘタレのクセにでしゃばりやがって…」
「オイ総悟、後で決闘だ。」






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