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40:ルフィの友達

前回までのあらすじ。
私、四皇の船にて絶体絶命。
以上。


「ん?心配するな。何もしない。」


「元の姿に戻れ」と言われて動かなくなった私に赤髪さんが優しく続けた。確かに敵意や殺意は感じなくてむしろ温かい感じさえするんだけど、人間の姿に戻ったところで私はどうなってしまうんだろうか。…いや、それはこのままでも同じか。
だったら言葉でコミュニケーションがとれた方がいいのでは。


「…がうっ」
「!」


人間の姿に戻る決心をした私は無礼を承知の上で赤髪さんのスカーフを拝借して距離をとった。
だってこのまま人間の姿に戻ったら真っ裸だもの。さすがにこのアウェーの中で裸は晒せない。


ボフンッ


「は、初めまして…。」


まあ裸にスカーフってのもなかなか無礼な恰好だけれども。
おかしいな、私年頃の娘のはずなのに人前で裸晒すことへの抵抗が薄れていってる気がする。船長のせいかもしれない。


「女だったか。悪いな、男ばっかで。」
「あ、ありがとう、ございマス…」
「おい、何か着るものを。」
「自分取ってきます!」


私の姿を確認した赤髪さんはさり気なく自分が羽織っていた上着をかけてくれた。え、何このイケメン対応。こんなことされたことなくて変にドキドキしてしまった。








「あの、ありがとうございます。」
「気にすんなって!」


下っ端っぽい人から渡されたTシャツ短パンを着て、話を再開した。
「気にするな」と言ってくれた赤髪さんの笑顔はどこか少年のようで警戒心を解いてしまいそうになる。


「知ってるかもしれないが、俺はシャンクス。そんでここは俺達の船の上だ。」
「はいお名前はよく…。あ、ナマエっていいます。」


デスヨネー!さすがにここまで来て他人の空似でした、なんてことはないですよねー。


「ナマエを見つけたのは新世界の無人島…パガラ島だが、そこに来るまでのことは覚えてるか?」
「一応。でも何が何やら……私、シャボンディ諸島にいたんです。」
「シャボンディ?かなり離れてるな。」


そう、まずはそこだ。どうやら今この船はシャボンディ諸島とはかなり離れた位置にいるらしい。私一人の力でそんなことができるとは思えない。誰かにこの島まで吹っ飛ばされた?いやいや不可能でしょ。


「…くまにやられたのか?」
「くま……!そう、七武海の"くま"って言ってた!」
「そうか…」
「お頭、くまっつーと…」
「…ああ、少し気がかりだな。」
「?」


確かにここに来る直前の記憶は七武海の一人らしい"くま"との戦闘で途切れている。
そういえば気を失う直前、私はくまに触れられた瞬間姿を消した麦わらの面々を見た気がする。他人をどこか遠くへ飛ばす能力がその人にあったとすれば、辻褄が合う。赤髪海賊団の人は"くま"という人を知ってるようだ。


「くまにやられたってことは、お嬢ちゃんお尋ね者かい?」
「い、一応…。その時はルフィと一緒にいて…」
「「「ルフィ!?」」」
「へっ、あ、はい。」


何気なく出したルフィの名前にものすごく食いつかれた。え、四皇ルフィのこと知ってんの?


「お嬢ちゃん、ルフィの仲間なのか!?」
「あ、いや、私は別の海賊団で、でもはぐれちゃったから一時的に一緒にいただけで…」
「じゃあルフィの友達か!」
「そう…なのかな?」


裏表がなくてフレンドリーな人だったから、友達って思われてたら嬉しいな。


「俺もな、ルフィと友達なんだ。」
「……え!?」
「つっても最後に会ったのはガキの頃だけどな!」
「懐かしいなー!」


四皇と友達って何。はて、「ともだち」とは?私の知ってる友達の他に違う「ともだち」があるのではなかろうか。とてもじゃないけど信じられない。


「…ちょっと待て……つーことは、ルフィ達もくまに…?」
「! そ、そうなんです!なんかよくわかんないけど、くまって人が触れる度にみんな、消えちゃって…!」
「…そうか。まあ…大丈夫だ。」


ルフィ達の悲痛な表情を思い出してしどろもどろに説明する私に対して、赤髪さんは落ち着いた様子で私の頭にぽんぽんと手を置いた。
「大丈夫」の根拠を聞いたわけでもないのに、何故か赤髪さんの言葉は信用できて不安が少し取り除かれた気がした。


「とりあえずお嬢ちゃんは仲間のもとに帰らないとだな。」
「!」


そ、そうだった!
ルフィ達も大変だろうけど私も私で大変な状況だった。


「どこの海賊団だ?」
「ハートの海賊団っていう…」
「誰か知ってるか?」
「2億の首、"死の外科医"トラファルガー・ローの船です!」
「トラファルガー……聞いたことあるな。」


うわ、船長四皇に名前知られてる。本人が知ったら喜びそうだ。


「じゃあ仲間は今シャボンディってわけか。」
「おそらく…。」
「送ってやりたいのは山々だが…なんせ俺達もお尋ね者なんでね。今のシャボンディにわざわざ行くことはできねェ。」


そりゃそうだろう。ルフィが偉い人を殴った事件によってシャボンディには今海軍がわんさわ集まっている。そこに四皇の一人が現れたとなっては更に大混乱になってしまうだろう。


「だが……おそらく近いうちに世界が大きく動くことになる。時期を見て必ず送り届けてやるから安心しろ!」
「ほ、ほんとに!?」
「ああ、約束する。」
「っ、ありがとうございます!!」


私が唯一覚えていたイケメンのシャンクスさんは性格までもがイケメンだった。






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