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39:赤髪海賊団

「……!?」


突然、何の前触れもなく目が覚めた。
…目が覚めた?つまり、私は眠っていたということになる。いつの間に寝たの?
そしてここは知らない場所だ。ベッドの上にいる。ハートの船ではない。しかも虎の姿だ。


「ッ……」


起き上がると右腕に痛みが走った。小さな腕にご丁寧に包帯が巻かれている。何故だ。
段々と覚醒してきた意識で記憶を遡っていく。
私はシャボンディ諸島のオークション会場にいて、麦わらのルフィが偉い人を殴って大混乱になって、そんな中シャチのせいでみんなと逸れちゃって、麦わらの海賊団と一緒に行動することになって……


「!!」


そうだ!途中でくまっぽい人が現れたと思ったら本当に「くま」って呼ばれてて、しかもその人がよりによって海軍側の人で、麦わらのみんなが戦っても勝てなくて……!
…ということは、もしかしてここ海軍基地とか?私捕まっちゃったの?いやでもそれなら手錠とかするだろうし、牢屋に入ってるはずだ。んんん?
とりあえずここでじっとしていても何もわからない。部屋から出てみよう。一応虎の姿のままで。こっちの方が何かあった時逃げやすいし誤魔化しやすい。


「んあ?猫なんて飼ってたか?」
「さあ。前の島で紛れ込んだんじゃねーの。」
「にゃー」


どうやらここは船の中のようだ。今すれ違った人たちを見る限り海軍関係者ではなさそうだ。むしろ海賊っぽい気がする。
……いやいや、悪い方向に考えるのはやめよう。まだワンチャンサーカス団とか冒険隊とかの可能性もある。


「お!お前目が覚めたのかー!」


甲板まで出るとたくさんの人がいた。そしてすごく大きい船だってことがわかった。
小さな私に最初に気付いてくれたのは太った男の人だった。肉を片手に持って頬張っている。食いしん坊か。この人を見る限りもしかして本当にサーカス団かもしれない。


「お頭!ネコが起きたぜ!」
「おお、あのネコか!」


そんな淡い期待はあっという間に打ち消された。
「お頭」と呼ばれたその人はとてもサーカス団の団長には見えなかったが見覚えのある顔だった。何故なら海賊事情に疎い私が唯一顔と名前を知っていた海賊……


「…!?」


"赤髪のシャンクス"……言わずもがな四皇の一人。赤い髪の毛と目の下の傷がトレードマーク。
恐る恐る上を見上げたら立派なドクロマークが描かれた帆が気持ちよさそうに風を受けていた。
何この展開。こんなの、むしろ牢屋送りにされた方がマシだったんじゃないのかってレベルなんですけど。四皇の船に乗って生きて帰れる気がしないんですけど。


「にゃ、にゃー」
「ん、どうした?腹でも減ってんのか?」


こうなったらもう猫で押し通すしかない。
私の体をひょいと持ち上げて笑顔を浮かべる赤髪さんは正直全然怖そうに見えないけど、この人が四皇であることは間違いないんだ。私なんて小指で殺せるんだろう。


「ネコって何食うんだ?」
「さあ?」
「……はあ。そいつの口から教えてもらったらどうだ?」
「!?」


ギク。目つきが鋭いロン毛の人の言葉に背筋が凍った。
いやいやそんな、猫が喋れるわけないじゃないですかやだー!


「そりゃそーか!お前、元の姿に戻れるか?」


バレてた。





■■
しばらくローさん出てきません。




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