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36:合流した

「おい、テメェ何の実食ったんだよ?動物系だろ?ただの猫か?」
「何でもいいじゃないですか。」
「おいキラー、お前はどう思う?」
「……猫科には違いないだろうな。」
「だよな。何だ、トラファルガーの趣味か?」


なんだかさっきからキッドさんは私に興味津々である。うざったいこと極まりないのである。











「……着いたぞ。」


たどり着いたのは1番GRのヒューマンオークション。
もうちょっと禍々しい出で立ちを想像してたけど思ったより普通の建物だった。
でもこの中では人身売買っていう真っ黒なことが行われてるんだよね…。
なんて船長に似合う場所なんだ……じゃなくて、こんなことが海軍に黙認されてるなんて、なんか腹が立つ。


「おい、あれ……」
「ああ…南の海の……」


会場に入るとお客さんの視線が一気に集まる。それほどこの人たちは有名なのだ。
まじこんな人たちと一緒にいたら誤解されそうで嫌なんだけど。
そもそもこんなところ船長に見られでもしたら………私ここで置いてかれるんじゃなかろうか…。


「チャルロス兄さま遅いアマスね……。」
「グズな“人間”などに乗るからだえ。乗るなら魚人に限る。腕力が人間の10倍あるからな。」


そしてもうひとつ、注目を集めている一行がいた。
田舎育ちの私でも知っている…天竜人だ。
一般市民と同じ空気を吸いたくないという理由でつけているシャボンのマスクは誰もが滑稽だと思ってるだろう。だけど言えない。相手が天竜人だからだ。胸くそ悪い。


「欲をかいた権力者の純心に比べたら世の悪党の方がいくらか人道的だ。クズが世界を支配するからクズが生まれる。こんな事もわからねェか。おれ達は悪気がある分かわいいもんだな、キラー。」
「違いない………」
「全くかわいいもんじゃない……」
「ハハハ、言うじゃねーか!」


ついポロっと思ってたことを口に出してしまったけど、キッドさんは笑い飛ばしてくれた。
なんだ、案外言っちゃって大丈夫な感じかな?それなら遠慮なしに言っちゃうけど…


「キッドの頭、アレを…」
「ん?……見た顔だな…。」


モジャモジャの人が指差した方向には見慣れた帽子集団が…


「………!」
「ひっ……」


船長がこっちを向いた瞬間、思わずキッドさんのでかい図体に隠れてしまった。いやあの、反射的に……
その後船長の表情が鬼のようになったのを見てハッとしたが、もう遅かった。不機嫌MAXじゃないかよぉお…!


「クククッ…」
「ちょ、放して…!」
「何だ、トラファルガーに嫌気がさしたんじゃなかったのか?お前なら歓迎してやるぜ、ナマエ。」


手遅れながらもキッドさんから離れようとしたら、離れられない。
キッドさんが私に腕を回して逃げられないようにしてるからだ。
……これ、完璧に私が人質にとられてるようにしか見えないよね。
ああもう船長を煽るようなこと言うのやめてよ!あの人意外と中身ガキなんだから、そんな安い挑発も高く買っちゃうよ!
くそっ、もがいても全然抜けられない…どんな怪力だキッドさん!もうちょい私が細かったら………ああ!


ボフン!


「!?」


キッドさんの目が見開く。へへん、ざまーみろ!
見事な脱走劇を成功してみせた私は人間よりも小さい舌をべーっと出した。
そしてその姿のまま船長たちの方へ向かう。


「ナマエ!無事か?」
「なう!」


一番手前にいたペンギンに飛び込むとペンギンは優しく迎えてくれた。
虎になった私の頭をよしよしと撫でてくれるのがすごく安心する。


「がうっ!?」
「お前は目を離すとすぐにこれだ…」


ペンギンの安心感に浸っていた私の首根っこを掴んだのは不機嫌MAXの船長。
あああ私のオアシスがどんどん離れていく!助けを求めるようにペンギンを見たけど、ペンギンは苦笑するだけだった。
そして私が行き着いた先は船長の膝の上。え、何これどういう状況?
人間の姿に戻りたいんだけど、船長の膝の上なんかで人間になったら私変態じゃないか。


「…本当に売り飛ばされたくなかったらこのままでいるんだな。言い訳は後で聞いてやる。」
「!」


シャレにならないので大人しくしました。
隣で笑うシャチが憎らしくてたまらない。元はといえばシャチのせいなんだぞコノヤロー!
私は心の中でシャチへの復習を誓い、ステージに目を向けた。






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