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35:悪夢と再会

「お前は一回オークションに売り飛ばされなきゃわかんねーみてェだなァ……ナマエ。」
「ひっ……」


その後も歩き回っていた私は遊園地帰りのシャチたちに保護され、そして船長のもとまで連行されて今ものすごい形相で睨まれてる。
私だって好きで迷子になってるわけじゃないのに。そもそも別行動を取らせたのは船長じゃんか。
……なんていつもの口ごたえができない程、船長の怒りはすさまじかった。
…こんなことならあの優しいお兄さんについていけばよかった…。


「いいか、今度無断でいなくなってみろ……首輪を繋げてやる。」


この人なら本当にやりそうだと思いました。














そんなやり取りをした矢先、みんなとはぐれました。
……これが世に聞く死亡フラグ!?いやいや、不可抗力だよ!
シャチがボンチャリ漕ぐのに必死で私が落ちたのに気づかないのがいけないんじゃん!私1ミリも悪くないんじゃん!
しかしそんな弁解、今の船長が聞いてくれるとは到底思えない。
…となると、自力で船長たちに追いつくしかないのか…!
虎になればすぐ追いつけるだろうけど……ここじゃあ人が多すぎるから変身できない。
適当なお店に入ってトイレでも借りようそうしよう。


ドガシャァン!!


「わあ〜〜〜!!」
「キャーーーー!!」
「………」


目に止まった酒場のドアを開けようとした瞬間、隣の壁が吹っ飛びました。
何これどんな演出?客入る度こんなことやってんのこのお店?


「ケンカなら“壁”の向こうへお預けにしようぜ。」


悲鳴の中に混じって聞こえた声に振り向けば、異様に手が長い人がいた。
あ、この人手配書で見たことある。髪型とか歯とか調子乗ってるなーって思ってたけど、直に見てみると……うん、調子乗ってるよね。
こんな調子乗ってる人でも確か懸賞金は1億を超えてた気がする。
どうやらケンカしてこの有様みたいだけど、相手はどんな命知らずな……


「だったらジロジロ見てんじゃねェよ。ムナクソ悪ィ野郎だぜ……今、消してやってもいいんだ。」


命知らずは調子乗ってる人の方でした!
ていうか、ケンカするんだったら相手選びなよ!なんつー化け物を相手にしてんだよ!
百歩譲ってケンカするにしても人の迷惑にならないところでやってよね!


「ん?お前……」
「ひひひ人違いですさようなら!」
「まだ何も言ってねェだろーが。」


ほらみろ人様に被害が出ただろーがよぉおおお!!
あーもうケンカとわかったらすぐに逃げればよかった!普通壁壊れたら即逃げるよね。
海賊船に乗ってからというものの、バイオレンスな日々で感覚がおかしくなっちゃったのかも。


「いずれ会うとは思っていたが、まさかこんな早く再会することになるとは……運がいいぜ。」
「私は運が悪いと思いました。価値観の相違ですね、私達終わりにしましょうさようなら。」
「つれねェこと言うなよ。」
「ぐえっ」


会話の流れでさようなら作戦失敗!
キッドさんは私の襟元を掴んで放さない。強行突破しようにも首が絞まるし、そもそも力で敵うはずがない。
つまり、逃げられない。


「お前、命拾いしたな。コイツに免じて見逃してやるよ。」
「命拾いしたつもりはねーけど…まあ、新世界で会おうぜ。」
「こら待て私を助けてから行け!!」


調子乗ってる人は悪の塊に捕まってるいたいけな少女を無視して行ってしまった。
なんて奴だ…!酷い、酷すぎる。困ってる人を見過ごすなんて………あ、海賊だから別に助ける義理もないのか。
船長も迷わず無視しそうだもんな、うんうん。


「お前に聞きたいことがあったんだ。」
「答えたら放してくれますか。」
「これ……どういうことだ?お前能力者だったのか?」


私の質問を当たり前のようにスルーして、キッドさんが懐から出したのは私の手配書。
そう……しっかり猫耳と尻尾が映っている私の手配書。もうやだ死にたい。何度見ても……ああ死にたい。
ていうか何でキッドさん私の手配書なんか懐に入れてんの?ファンなの?


「………」
「…まあいい。とりあえず……」
「キッド。」
「よォ、キラー。」
「!?」


キラーさんまで来ちゃった!ツートップ揃っちゃった!
もうこれ、どんな天変地異が起こっても私逃げられないパターンなのでは?


「……久しぶりだな、ナマエ。」
「…どうも。」


しかしキラーさんって見た目ほど悪い感じはしない。
キッドさんが見た目も中身も悪なのに対して、キラーさんは見た目ホラー、中身善人って感じだ。
うちで言うとペンギンポジション的な…。でもペンギンよりクールでかっこいいと思う。


「そういえばナマエ、お前能力者だったのか?」
「!!」


その言葉はつまり、私の手配書を見たということで………ああもうやだ死にたい…生まれ変わるならダニになりたい……


「? 答えたくないならいいが……。」
「そーいや何でお前一人でいるんだ?トラファルガーの野郎はどうした?」
「……!!」


キッドさんのせいで嫌なことを思い出した。
そうだよ、私早く船長のところに行かなきゃ…!
いやでもちょっと待てよ?今さら行ったところで船長の怒りを買うのは必至なのでは…?
え?つまり私にはもう無事でいられる道は残されていないってこと?そりゃあんまりだ!


「ハッハッハ逸れたのか?それともケンカでもしたか?」
「…逸れました。でも私のせいじゃありません。」
「クククッ……トラファルガーのところに案内してやろうか?」
「え……でも、どこにいるかわかるんですか?」
「アイツの行きそうなところは大体予想がつく…」
「?」
「1番GR……人間オークションだ。」
「………」


ごめん船長、否定できないや。







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