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マーク




「おいナマエ、思い直せよ!」
「頼むから!」
「やめとけって!」
「私はもう決めたんです!邪魔しないでください!」



ある昼下がり。
ジョズとサッチとビスタ……3人の隊長が1人の雑用を必死に止めていた。



「おい、どーしたんだ?」
「エースからも言ってくれ!」
「別に強制ってわけじゃねーんだ。」
「それにすっげー痛ェんだぜ!?」
「い、痛いのなんて我慢します!」
「?」



そんなところに出くわしたエースは意味がわからなくて首を傾げる。
隊長格の3人がかなり焦っていて、ナマエは少し怒っているように見えるこの状況……すぐには飲み込めなかった。



「だって私だけ仲間外れみたいじゃないですか!私だって白ひげ海賊団の一員です!」
「そりゃもちろんそうだけどよ…」
「マークのことか?」
「ああ…。」
「ナマエが自分もマーク入れるってきかなくてよ…」



ナマエの言葉を聞いてなんとなく状況がわかってきた。
つまり、ナマエは自分も白ひげのマークを入れたいと言っている。
そして、ジョズとサッチとビスタ……大の大人がそれを必死に止めている、と。
エースには3人が何故そんなに必死に止めるのかがわからなかった。



「別にいーじゃねーか。」
「ほら、エース隊長の許しが出ました!」
「まだおれたちが許してねェ!」
「えー…」



エースの許しが出たことでナマエが瞳を煌かせるが、3人はまだ許すつもりがないらしい。
必死の形相でナマエにつめよった。



「いいかナマエ…これはシールじゃねーんだぞ?」
「わかってますよ!」
「マジックでもないぞ?」
「ば、ばかにしてるんですか!」



まるで小さい子供に言い聞かすかのように説得する3人。
確かにナマエはこの船で妹のような存在だが……さすがにこの扱いは酷い。
ナマエだって刺青の入れ方くらい知っている。



「肌を削るんだ。」
「めちゃくちゃ痛ェんだぞ?」
「我慢できますよ!」
「おまえら過保護すぎだぜ。ナマエが入れたいっつってんだ。自由にさせてやれよ。」
「そーですよ!」
「だってよォ…一生残るんだぞ?」
「ナマエは女だ。」
「嫁に行くときどーすりゃいいんだ…!」
「…おまえらなァ…」



エースがナマエの肩を持っても、それでも3人は譲らない。
何故かと言えば嫁に行く時のことを心配しているらしい。
白ひげのマークは戦闘員なら全員入れているが強制ではない。クルー達が好きでしていることだ。
だから同じ船に乗っていてもナースは入れていない。何故なら、やがて船を降りる時が来るからだ。
家庭を持って島で暮らす時、このマークが入っていたら普通の生活はできなくなってしまう。



「だ、大丈夫ですよ!そんな心配いりません!」
「だっておまえ、嫁入り前の妹がよォ…」
「だからいいんですってば!」
「ほっとけ、ナマエ。」
「でも…」
「確かにナマエはおれたちの妹だけどよ、それ以前に仲間だろ?」
「「「ああ。」」」
「だったら文句ねーだろ。」
「「「……」」」



そう言われると反論ができなくなってしまう。3人はグッと言葉に詰まった。



「…だとよ。行ってこい。」
「ありがとうございます!!」



それを肯定と取ったエースはナマエの背中を押し、ナマエは満面の笑みを浮かべて船医のところに向かった。









「あーあ…ナマエがキズモノに…」
「そーいう言い方はよせ。」
「エースコノヤロー…」
「もう何なんだよおまえら…。」



そして翌日。甲板でうな垂れる大の男が3人。
今頃ナマエの体には白ひげのマークが刻まれているだろう。



「何してんだい。」
「マルコ…」
「エースがよォー」



そこにマルコが現れ、怪訝な顔で3人を見る。まあ、当たり前の反応だ。
そんなマルコにサッチは事の経緯をエースのせいに聞こえるように力説した。



「…別に問題ないだろい。」
「ほらな。」
「マルコまで…!」
「おまえらそれでも兄か!」
「ナマエが可愛くないのか!」
「あのなァ、ナマエだって子どもじゃねーんだ。そのくらい自由にさせろよい。」



が、サッチの訴えも虚しく、マルコはナマエとエース側についた。



「あ!エース隊長にサッチ隊長にジョズ隊長にビスタ隊長に…マルコ隊長!」



そんなところに、律儀に全員の名前を呼んでヒヨがやって来た。
その足取りはどこどなく軽い。機嫌がいいことは顔を見ればわかる。



「よォナマエ。聞いたよい、マーク入れたんだってな。」
「はい!見てください!」
「!?」



ナマエがマークを入れたのは右わき腹。
にこにこと嬉しそうにTシャツをめくってそのマークを見せる。
テンションが上がって見てほしい気持ちはわかるが、年頃の女の子として公衆の面前に腹部をさらすのはいかがなものか。
エース達だけでなく、その場で武器の手入れや釣りをしていた者も反射的にナマエに注目した。
いつもTシャツ短パンというスタイルのナマエが腹部を出すのは珍しい。
意外と女性らしいナマエの体に周りは目を離せなくなった。



「ばっ…!」
「どうですか?かっこいいですか!?」
「あ、ああ…かっこいいから早く隠せ!」









■■
刺青って1日そこらじゃできないもんですか?よくわからんけどまあいいや。





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