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弟の話



「ほぶっ!?」



洗濯物を干し終わって、隅っこでお昼寝をしている私の顔面に、バサッ!!と、何かが降ってきた。
紙みたいだけど、結構厚みがあるそれはなかなか痛かった。



「…新聞か。」



私の顔面に降ってきたのは今日の新聞。
起き上がった私の頭に、今度は新聞屋さん…つまり鳥さんがとまった。こんな遠いところまでわざわざ大変だなあ。
「ありがとう」とお礼を言うと、鳥さんは一鳴きして私の頭から肩に飛び移った。
そして私の顔の前に羽を差し出して、何かを催促してくる。



「…あ!お金!」



そう言うと、2,3回頷く鳥さん。
そうだよね、お仕事で来てくれてるんだからお金を払わないと!
でも私今お金持ってない……というか、新聞のお金っていつも誰が払ってるんだろう?
まあ、新聞くらいなら私でも払えるからいっか。



「よォナマエ。肩に鳥なんて乗せて何してんだ?」
「エース隊長!」



お金を取りに行こうと立ち上がると、正面からエース隊長が歩いてきた。



「新聞屋さんです!」
「ああ、なるほどな。ご苦労さん。」
「あ…」



納得すると、エース隊長はポケットをごそごそして、中から取り出した硬貨を新聞屋さんに渡した。
それを受け取ると新聞屋さんは颯爽と空へ戻っていってしまった。



「ありがとうございます!」
「何でだ?」



私が払おうと思ってたのに…エース隊長に払わせてしまった!
今度からは私もエース隊長みたいに、ポケットにお金入れとこう、そうしよう。



「お前新聞読むのか?」
「たまには…。あ、でもエース隊長お先にどうぞ。」
「いや、おれは読まねェよ。眠くなる。」



確かに、エース隊長が新聞を読むなんて違和感があるけれど……え、じゃあ自分は読まないのにお金を出してくれたんですか!?
ななななんていい人なんだエース隊長…!!



「おれが興味あるのはこっちだ。」
「?」



そう言ってエース隊長は私の手から新聞を取って、ペラペラとめくりだした。
めくると言っても、内容は全く無視で何かを探しているみたい。



「…あ。」
「おっ。」



バサッ、と、新聞の間から別の紙の束が落ちてきた。
これは、新しい賞金首リストの束だ。エース隊長のお目当てはこっちみたい。
なるほど!海賊としてライバルの動向は常に知っておこうというわけですね!



「〜〜♪」
「……?」



…と思ったけど、あれ?エース隊長、特に注視することなくペラペラと捲っていきます。
顔だけ見てめくってるような……興味ないのかな…?



「おおお!!」
「!?」



急に大声をあげるエース隊長。一枚の手配書を手に、わなわなと震えている。
一体どうしたんだろう……エース隊長の顔がすっごくキラキラしてる。



「おいナマエ!見ろよこれ!!」
「はい?」



エース隊長は眩しい程の笑顔で、私の目前にその手配書を突き出してきた。
ちょ、近すぎて逆に見えないですよ!離れてみると、そこに映っていたのは麦わら帽子をかぶって満面の笑みを浮かべている男の子。



「………?」



すごくいい笑顔だ。でも、それが何なんだろう?
手配書の向こうのエース隊長の顔を覗いてみたら、やっぱりキラキラした笑顔だった。



「これ、おれの弟なんだ!!」
「!」



手配書の写真を指差して、より一層笑みを深くする。
な、なんと…!この人がエース隊長の弟さん…!?
弟がいるっていうのは聞いてたけど……うん、なんか納得!笑顔がキラキラしてるし!



「モンキー・D・ルフィ……さん?」
「ああ。おれの3つ下の弟だ!!」



エース隊長の3つ下……ということは、私の2つ下か。
懸賞金は………三千万ベリー!!……この笑顔で三千万!?



「三千万か……最初の額にしては上出来だな!!」
「………」



弟さんの話になると、エース隊長はすごく楽しそうになる。弟さんのことが大好きなんだなあ…。



「ルフィさんは、今どこにいるんですか?」
「さァなァ…。ルフィはおれより3年後で海に出たから……まだイーストブルーか…グランドラインに入ったところじゃねェか?」
「それで三千万…!?」



グランドラインに入ったばかりで三千万だなんて……さすが、エース隊長の弟さんは大物だ…!!



「ほら、ここに刀傷があるだろ?」
「…あ、はい、あります。」
「これ、自分で刺した傷なんだぜ。」
「ええーー!?自分で!?」
「ああ!」



その後、エース隊長からたくさん……本当にたくさん、弟さんの話を聞いた。
ちょっと、正直、まだ続くのかなー…とか、洗濯物取り込まなきゃなんだけどなー…
とか、思ったけど、エース隊長があまりにも楽しそうに話すものだから途中で止められるわけもなく…。
結局エース隊長の話を終わらせてくれたのはマルコ隊長だった。
後でマルコ隊長に、「エースの弟の話は長いから気をつけろよい」って言われた。
……ちょっと、心がけようと思いました。
でも!エース隊長の弟、ルフィさん…!いつか会ってみたいなあ!!






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