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31:手配された

「あああああああ!!」
「何だよナマエ、朝っぱらからうるせーなァ…」
「だって!シャチ見て!元に戻ったあああ!!」









出航して2日後の朝、ナマエがバタバタと食堂に入ってきたと思ったら、元に戻ったとのことだった。
その言葉の通り、そろそろ見慣れてきたナマエの頭の上にあった猫耳はすっかりなくなっている。


「あーあー猫耳が……」
「ちょ、何で残念がるの!?」
「だってお前……男のロマンってやつがさァ…」
「シャチきもい!」
「…まあナマエ相手にロマンも何もねェか。」
「それはそれでむかつく!でも許す!」


相当猫耳が嫌だったのか、今日のナマエのテンションはやけに高い。


「…で、コントロールできるようになったのか?」
「……さあ?」
「さあって……ちょっとやってみろよ。」
「やだよ。また元に戻らなくなったらどうすんの?」
「いいじゃねーか、猫耳だし。」
「シャチきもい!」


猫耳がなくなって喜んでいるナマエとは裏腹に、シャチは少し残念そうだ。
コントロールできるか促してみるが、もしやろうとして再び戻らなくなったらとんでもないことだ。ナマエは断固拒否した。


「せっかくの悪魔の実の能力なのに勿体ねェだろ。」
「そうかもだけど…」
「それに純粋な力の強化においてはゾオン系は最強なんだ。」
「え、そうなの?」
「ああ。そのゾオン系の中でも虎…しかもスノウタイガーなんて珍しいし、すごいんだぞ。」
「…ちょっとずつ練習しようかな。」


頑なに拒否するナマエに対して、別の角度から説得したのはペンギンだった。
言い回しのうまさは流石と言うべきか。ナマエはその言葉に素直に頷いた。


「ならおれが特訓してやるよ。」
「キャプテン!」
「船長が?やだ!」


そこにいきなり割り込んできたのはロー。
船長直々に特訓だなんて、おそらく他のクルーは声をあげて喜ぶのだろうが、ナマエにとっては嫌な予感しかしない。即答で拒否した。
そんな可愛くないクルーをローは一瞥だけして、別の話題を持ってきた。


「それよりこれを見ろ。面白いもんがあった。」


バサっと乱暴にテーブルに投げ出されたのは今日の新聞。


「新聞?」
「その中身だ。」
「?」


ペンギンが新聞を手に取るとその中に挟んであった紙がはらり、滑り落ちた。
その紙は丁度表を向いてテーブルの上に広がり、一同がそれを確認して目を丸くした。


「「「……!?」」」


それは政府が発行する手配書であり、そこに写っていたのは紛れもなくナマエの姿だったのだ。


「な…な……はあああ!?」
「“白猫”のナマエ、1500万ベリー…」
「やったなアニ!立派な賞金首じゃねーか!」


ナマエの驚愕の叫びと、クルー達の歓喜の声が鳴り響く。
手配書には「白猫のナマエ」という異名と共に1500万ベリーという立派な懸賞金が掲載されている。


「1500万か…なかなかじゃないか。何したんだ?」
「知らないよ!私何も悪いことしてないのに…!」
「中佐ぶっとばしてたじゃねーか。」
「えっあのおっさん中佐だったの!?」


どうやらきっかけは先日立ち寄った島での海軍との戦闘らしい。
写真もその時に撮られたのだろうか、しっかり猫耳が生えている。


「どうしよう…もう街歩けない……」
「堂々としてりゃいいんだ。」
「船長と一緒にしないで!」


こんなのが世間に出回ってしまっては、もう何食わぬ顔で街中を歩くことはできないだろう。
元々一般人だったナマエにとって、自分がお尋ね者になるなんて夢にも思わなかったため相当ショックだった。
さっきまでのテンションがどこへやら、ナマエは頭を抱えた。


「よりによってこんな姿……もうやだ引きこもるうう…」
「何で?可愛く撮れてるよ、ナマエ。」
「ベポのばかあああ」
「え……すいません…。」


こんな状態ではベポの誉め言葉の逆効果。
理不尽な八つ当たりをされてしゅんと項垂れた。


「よーし今日は宴にしよーぜ!いいスか船長?」
「勝手にしろ。」
「シャチなんてハゲればいい。」
「おいおいさっきのテンションの高さはどこいったんだよ?」


可愛い新入りが晴れて手配書デビューしたのだ。これほど嬉しいことはない。
落ち込むナマエとは相反するようにどんどんテンションが上がっていくクルー達。
「宴だ!」と早速酒の準備を始める。


「まあ…よく考えてみろよナマエ。」
「……」
「能力をコントロールしいつでもて虎になれるようにしておけばナマエだとわからないし、追っ手から逃げるのも簡単だぞ。」
「……確かに…。」


落ち込むナマエを効果的な言葉で慰めたのはやっぱりペンギンだった。
手配書が出回った以上、人間の姿でウロウロするよりかは虎の姿になれば、周りは猫だと思って見向きもしないだろう。
…ということは、能力をコントロールできるようにするべきだ。


「…船長!コントロールの仕方教えて!」
「…ああ。」


最終的にナマエは単純だった。







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