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30:脱走と衝突

森の中で助けた青年、メロは町の富豪の息子で、どんなシンデレラストーリーかと思いきや彼は海軍を目指しているということで……
そうなると、海賊船に乗っている私に長居は無用なわけです。
きっちりと高級ディナーをいただいて、大浴場で体を洗って、広すぎる客間に案内されたところで脱走。
部屋は3階にあったけど、半トラのおかげか難なく降りることができた。


「おい、どこに行っていた。」
「ひっ…」


深夜にそろりそろりと船に戻ると、船長が仁王立ちで待ち構えていた。
そんな、いきなりラスボスと対面だなんて私心の準備が…!


「…まあいい。明日町に出るぞ、付き合え。」















「探せェ!奴らはまだ出航してないはずだ!」


一方的な約束どおり、次の日町に出ると海軍が血眼で船長を捜していた。
私たちがここに来る前にユースタスさんが問題起こして海軍の警備が強化されてるって言ってたけど……明らかに船長狙ってんじゃん。
昨日の倍くらいは海兵がうろついていて、堂々と道を歩けたもんじゃない。
…いや、狙われてる張本人は堂々と歩くつもりだったらしいけど私が必死に止めて、今は人通りの少ない道を通っている。


「船長まじ何やったの…」
「問題を起こした覚えはねェ。」


まあ、用事はもう済ませちゃったからいいんだけど……船に近づくについて警備が厚くなっていて、なかなか戻れないでいる。


「だから正面突破するしかねェだろ。」
「そんな恐ろしいことできるか!」
「お前はおれの後ろにいればいい…」
「ト、トラファルガー・ロー…!!」
「! メロ!?」


ぎゃあああ見つかってしまった!!
海兵に囲まれると思ったら、目の前にいたのは昨日の青年、メロ一人。


「ナマエさん!やっぱり海賊に捕らわれていたんですね…!」
「え?」


腰にさしていた短剣を抜いてローを睨むメロ。
……もしかして、昨日の夜私が抜け出したのを、海賊に攫われたんだと思ってる…?


「トラファルガー・ロー!その人を解放しろ!じきに海軍が集まってくる!」


更に、もしかして、今日の海兵の数が増えたのって……私のせい?


「おい、何だこいつ。」
「えーっと……昨日ちょっと…」
「ナマエさんを放せ!!」


なんて説明したらいいものか……非常にややこしいことになっている。
メロは私がハートの海賊団にいることを知らない。つまり私がトラファルガー・ローに拉致されたと思っている。
うーん……「海兵になれるといいね」なんて言ってしまった手前、本当のことを言いにくい…


「何を勘違いしてるか知らねェが……こいつはおれのクルーだ。」
「なっ…!?ふざけるな!!」


…と私が思ってるのを知ってか知らずか、船長があっさりバラした。まあ、いいけどさ…。
船長が説明したにも関わらず、メロはそれを信じようとしないで船長に向かって短剣を振りかざした。
まあ、海兵を目指している若者の攻撃を2億の賞金首が避けられないわけもなく……船長は最小限の動きでそれをかわした。
私が心配なのはメロの方だ。メロにはご飯をご馳走してもらったし、いい人だし、船長にバラされるのなんて見たくない。


「船長…!」
「…戦う気はねェよ。行くぞ。」
「…うん!」


よかった、船長も一般人相手に能力を使うとか、そこまで鬼畜じゃないみたい。
海軍が来る前に逃げなきゃ。私も船長もメロ一人撒くくらいなんてことない。
でも、やっぱり誤解は解いておかなきゃ。


「メロ!!」
「ナマエさん…っ!」
「心配してくれてありがとう!でも、私は自分の意思で…自分の夢のために、この人についていくって決めたの!」
「!!」
「だから大丈夫!メロも頑張ってね!」


私の言葉を聞いたメロは、その場から動かずなんとも言えない表情で見送ってくれた。
またいつか会えたらいいな。その時は戦うことになっちゃうかもしれないけど。
海賊だろうと海軍だろうと、夢を追って頑張ってることには変わりないんだな。


「いたぞ!トラファルガー・ローだ!!」
「撃てェーーー!!」
「チッ……自分の身は守れるか?」
「このくらいなら平気!」


チラっと振り返ると海兵が5.6人追ってくるのが見える。撒くには少し面倒な距離だ。
このくらいだったらなんとかなる、かな!










無事に追っても撒いて船に戻ったところで、船長に怒られた。
なんでも「今後一人での外出を禁止する」とのことだった。


「私に自由はないのか…!」
「お前って本当船長怒らすの得意だよなー。」
「船長が勝手に怒ってるだけだもん!」
「あ、そーいやおれの帽子は?」
「………あ。」
「…え?」


吹っ飛んだ。







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