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28:次の島へ

「島に着いたぞ〜〜〜!!」
「………」
「おいナマエ見ろよあの島!綺麗だなー!」
「………」


確かに地平線に浮かんで見える次の島はピンクやら黄色やら緑やらで色鮮やかに彩られていてすごく綺麗だった。
きっと色んな種類の花や草が育っているんだ。薬草探しにはもってこいの場所だね。
だがしかし…!私は島に降りることはできない。
何故なら、私の体にはまだ耳と尻尾が残っているからだ。









「耳としっぽ……引きちぎれないかな…」
「何怖ェこと言ってんだお前!?」


だって私こんなのいらないもん。男のロマンだか何だか知らないけど引きちぎれるものなら引きちぎりたい。
実際に何回か試してみたけど本気で痛かったら断念した。


「……ほら。」
「!」


頭に何か被せられたかと思ったら帽子だった。
しかもその帽子はキャスケットで、シャチが被っていたものだ。
目の前のシャチは帽子を被っていなくて、ボサボサの髪の毛が丸見えになっていた。


「これで大丈夫だろ?」
「シャチ……初めていい奴だと思った。」
「初めては言いすぎじゃね!?」


だってシャチにこんな男気があったなんて……私初めて知ったよ。


「ナマエ、町に出るのは少し待て。」
「何で?」
「町には海軍がウロウロしてるらしい……チッ、ユースタス屋の奴が暴れやがったせいだな…。」


船長がユースタス屋と呼ぶのはキッドさんのこと。
キッドさん達と航路がかぶったって言ってたから、一足先にこの島を出たということか。
素晴らしい置き土産と共に。なんとまあ余計なことを…!


「森の方はダメ?」
「……あまり遠くへは行くな。こいつを持ってけ。」


それでもこの島には珍しい植物がいっぱいありそうだし、折角シャチに帽子もらったし、森だけでも行ってみたい。
ダメ元で船長に聞いてみたら子電伝虫を渡された。今日の船長は気前がいいなあ。









「珍しい植物がいっぱい…!」


行ってみると本当に珍しい植物がたくさんで、私の目は始終輝きっぱなしだ。
今日中に制覇できるかどうか……ログ溜まる時間聞いとけばよかった。
とにかくできる限り採取しちゃおう!


「うう……」
「ひっ…!?」


張り切って一歩を踏み出した矢先、人の呻き声が聞こえた。
帽子をちゃんと被ってるのを確認してから声が聞こえた方を覗いてみたら、草の上に男の人が倒れていた。


「だっ…大丈夫!?」


キラーさんの時と同じパターンだけど仕方ない。見た限りでは一般人だし、第一怪我人を放っておけるわけないじゃんか。
大きな外傷は見当たらなくて出血もない。でも一箇所、首元に何かに噛まれた跡を見つけた。


「3本……まさか、ウナギ蛇…!」



ウナギ蛇っていうのは穏やかな気候で緑が豊かな…そう、丁度ここのような場所に生息する蛇。
それ程大きくない変わりに3本のキバに猛毒を持っている。神経性の毒で、放っとけば死にいたる危険なものだ。
現時点で薬は持っていないけどこれだけ植物が豊かなんだ、探せば材料が見つかるはず。
とりあえずは応急処置をしようと、常備している簡易調薬セットをポーチから出そうとした、その腕を掴まれた。
男の人を見れば苦しそうな表情で、でもどこか芯のある瞳で見つめられた。


「お、おれは…!まだ死ぬわけには……」
「……大丈夫。絶対助けるから。」








■■
ちょっとしたオリキャラ出ます。





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