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26:ビックリ人間の仲間入り

「お前そりゃあ、悪魔の実だよ!!」
「えええ!?」








シャチの話によると、私はどうやら悪魔の実を食べてしまったらしい。
悪魔の実というのは一口食べれば不思議な能力を得られ、その代わりに一生カナヅチというリスクを追うという、キチガイが食べるようなものだ。
そんなものを食べてしまうなんて…!あああ数日前の私のバカ!


「晴れてアニも能力者の仲間入りだな!」
「なっ……!」
「…ショックで声も出ないか。」


当たり前だ!私を船長みたいなビックリ人間と一緒にしないでほしい。
こんな能力なんていらないから、私は平穏に暮らしたいんだよおお!
…なんて、海賊船に乗ってる時点で諦めた方がいいのかなあ…。


「…で、何の実だ?」
「ネコネコの実だろ。」
「モデルは?」
「…猫じゃね?」
「猫にもいろいろあるだろ。」
「真っ白。おれとおそろいだね。」


ああもう種類とかどうでもいいよ!おそろいとかどうでもいいよ!
この船にはベポも含めて私の心中を察してくれる人なんていないのか…!


「ネコ科だが猫じゃねーな。」
「じゃあ何スか?」
「トラだ。」
「トラ?ま、まさかホワイトタイガー…!?」
「マジか!ナマエすげーぞ!珍しいやつじゃねーか!」


珍しいから何だ。能力者ってだけでもう十分な規定外だよ。
でもトラかー……なんか普通の猫の方がよかったな。可愛いし。


「ホワイトタイガーでもねェ。こいつには模様がなかった。」
「確かに…ホワイトタイガーっつってもトラの模様はありますからね。」
「じゃあ何なんスか?」
「スノウタイガー……知ってるだろ?」
「なっ…!?」
「北の海では絶滅したとされてる幻のトラじゃないスか!!」
「すっ…げーなァナマエ!おれ達の故郷じゃスノウタイガーは神聖な生き物なんだぞ!」
「嬉しくない。」


どうやら私が食べたのはネコネコの実、モデル:スノウタイガーということで落ち着いたらしい。
なんかよくわからないけどシャチとペンギンのテンションが上がった。その相乗効果で私のテンションはどんどん下がっていく。
だって…能力者……トラ……あああ私普通の女の子のはずなのに!


「にしても…猫耳っていいなァ…」
「な……いきなりキモいんだけど!」
「いいかナマエ。普段4点の子がいるとするだろ?それが猫耳をつけることで7点にアップすぶっ」
「サングラス叩き割ってやろうか。」
「今のでヒビ入った!」


まったく最近シャチの変態ぶりが酷いったらありゃしない!
もはや顔の一部らしいグラサンにヒビを入れられてもなお、「猫耳は男のロマンだ!」と意味のわからないことを叫んでいる。
もうひと思いに叩き割ってやった方がいいのかな。


「ナマエの耳もこもこしてて気持ちいいね。」
「あっ…、ベポ、触っちゃ、だめ…!」
「えっ…すいません……」
「「(おおお……)」」


ベポの毛むくじゃらの手が私の耳をふにふにと触った。
残念なことにこの耳も私の体の一部らしく、しっかりと神経が通っている。しかもけっこう集中しているらしい。
したがって、触られると、こう…くすぐったいといいますか、変な感じがするから触られたくない。


「とにかく……そんな恰好じゃ締まらねェだろ。早く戻れ。」
「戻れるならとっくに戻ってるよ!!」
「は?」
「え、コントロールできねーの?」
「どうすれば元に戻るの!?」
「……さあ?」
「おれ能力者じゃねーし。」
「おれクマだし。」
「船長!」
「おれは動物系じゃねェ。」
「えええ!?」


何それ結局どうやって元に戻ればいいのかわかんないじゃん!
一生このままなんて私イヤだよ!


「イメージすりゃいいんじゃね?」
「そーだよ。」
「イメージ?…んんんー……」
「(ピコピコ耳動いてる…)」
「(顔真っ赤にしちゃって…)」
「「(可愛いなァ〜〜〜)」」


………結局その日は戻らなかった。








■■
スノウタイガーは実在しません。
船長がトラファルガーなだけにトラにしたかったんです。それから真っ白が良かったんです。ホワイトタイガーは模様が入ってるので。
見た目は真っ白な少し大きい猫です。





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