25:半分戻った
「………」
次の日のAM11時。目を覚ましたローは自分の目を疑った。
何故なら目の前で行方不明のはずのナマエがスヤスヤと眠っていたから。
しかしローを驚かせているのはそんなことではない。
珍しく大きく開かれたローの瞳はナマエの頭上を凝視している。
その視線の先……漆黒のナマエの髪から、一際目立つ真っ白の猫耳が生えていたのだ。
「ん……ロー……」
「!」
「……ール、キャベツ…」
「……おい。」
甘い声で思いっきり期待を裏切られたのはこれで2回目になる。が、今はそんなこと気にしてる場合ではない。
昨日あれだけ探したナマエが何故目の前にいるのか。……何故、猫耳なんてものが生えているのか。
とりあえずゆるみきった寝顔を晒すナマエにイラッとして、ローは額を小突いた。
「いたっ……船長!?あれっ、私……」
「………」
「ああああ元に戻ってるううう!!」
朝起きて目の前にローがいることよりも、ナマエにとっては自分の喉から言葉が出て来たということの方が重要だった。
上体を起こして確認してみれば人間の顔に、髪の毛に、手。ナマエは歓喜のあまり声を張り上げた。
しかしナマエの感情に呼応するようにピコピコと動く耳と尻尾にナマエはまだ気づいていない。
「船長っ私にもよくわかんないんだけど、私さっきまでひぎゃあああ!!?」
「………」
「う、あ…ひああああ!!」
言葉の途中で叫んだのはローに猫耳を掴まれたから。
その後また叫んだのは自分が真っ裸だということに気付いたから。
慌ててシーツで体を隠すがローにはばっちり見られていた。
「あっ、う…!?なななな何これ…!?」
「おれが聞きたい。」
裸を見られたうえに、更なる衝撃がナマエを襲う。
ローに掴まれたと感じた自分の頭の上の異物に恐る恐る触れてみると、もふもふの感触。
紛れもなく、猫の耳だった。
「ひゃっあああ!」
「…しっぽもか…。」
「やっやだやだ!触らないでよ!!」
3回目の悲鳴は、ローがシーツからはみ出ていたしっぽを握ったことが原因だった。
しっかりと神経が通っているらしいそこから、ぞくぞくとナマエの背中を何かが駆け巡った。
今まで感じたことのない感覚にナマエは身を捩るが、ローはその手を放そうとしない。
「キャプテン!今アニの声が……!!」
「なっ…!?」
「ええ!?」
「「………」」
そんなところにお約束というか、ベポとシャチとペンギンが入って来た。
3人の目に映ったのはベッドの上で裸で戯れるナマエとローの姿。
そして顔を真っ赤にして目に涙を溜めるナマエには猫耳としっぽ。
「船長………どんなプレイっすか…!」
「…バラすぞ。」
「出てけええええ!!」
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