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かわいいあの子



「白ひげ様!私をこの船に置いてくださいっ!!」



最初から、面白いやつだとは思っていた。










ナマエ…うちの海賊船に乗っている雑用の一人だ。
理由はよく知らないが、この白ひげ海賊団に一人で乗り込んできたなかなか根性のあるやつだ。
と言っても戦闘に関しては全くの素人。いや…普通の人間よりちょっと鈍臭いかな。
そんなナマエと言葉をかわしたのはつい最近。この船は広いし、しかも隊長と雑用なんてまず接点がなかったからな。
そんで話してみるとこいつがまた面白いのなんのって。
倉庫に閉じ込められたときは人生の終わりみたいに嘆いてた。
感情のままに変化する表情がルフィみたいで、なんつーか…つい見ていたくなる。
今は山のようにつまれた洗濯物を持ってフラフラしてる。見てて危なっかしい。大丈夫か?あいつ…。



「ほっ…」
「おい、一枚落ちたよい。」
「その声はマルコ隊長!」



フラフラしてるナマエの横をマルコが通りかかった。
てっぺんから落ちた誰ともわからないパンツを手近なところに置いてやった。
マルコってなんだかんだ言いながらちゃんとナマエの面倒見てやってんだよな。
つーか…ナマエに甘いよな。この前デザートのプリンあげてたし。



「ありがとうございますマルコたいちょ……」
「バッ…!?」



バサバサバサッ



…マルコに礼を言うためにナマエが腰をまげると、それとともに崩れていく洗濯物の山。
一気にマルコを飲み込んでいった。
…何であいつ、こんなに面白いんだろ。



「ぎゃああごめんなさい!生きてますかマルコ隊長!?」
「パンツで圧迫死なんてごめんだよい…」
「よかったぁ〜…」
「…ったく、ナマエには注意力ってもんが足りねェ。」
「ごめんなさい…」



ほら、そう言いつつもマルコのやつ、崩れた洗濯物を拾ってやってる。



「何やってんだおまえら?」
「こ、これは私の不注意で…」
「そりゃそーだろうな。」
「う…」
「ほら、ちゃんとカゴ持ってろ。」



そこに現れたのがジョズ。
そしてジョズもマルコ同様、洗濯物を拾い始めた。
ん?ジョズもナマエと仲いいのか?



「何見てんだエース?」
「ん?ああ…」



そしておれの背後に現れたのはサッチだ。
サッチはおれの視線を辿ると、「ああ」と呟いた。



「ナマエか…あいつ面白いよなー。今日は何やらかしたんだ?」
「…知ってんのか?ナマエのこと…」



驚いた。サッチまでもがナマエのこと知ってたなんて。
隊長と雑用なんてまるで接点がないと思ってたのに、何でみんなしてあいつと仲良さそうなんだ?



「あいつ、なーんか危なっかしいんだよな。見てないとすぐ転びそうで。まったく手のかかる妹だぜ。」
「…そうだな。」



どうやらおれが思っていたことはみんなも同じなようだ。
手のかかる妹か…なんだか妙に納得できた。



「…ん?エースまさかおまえ…」



ずっとナマエを見つめるおれを見て、サッチがニヤリと笑った。
…なんとなく考えてることがわかる。



「そんなんじゃねーよ。」
「ほんとかァ?」
「ただ…」



視線をナマエの方に戻すと、結局マルコとジョズに洗濯物を手分けして持たれておろおろしてる。



「面白ェって思っただけだ。」





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