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23:突然の変化

その変化は突然起こった。










恐ろしいキッド海賊団のみなさんは昨日この島を出たということで、私は心置きなく薬草を探しに出かけた。
船長の話によれば、そろそろグランドライン前半の海も終わりだから航路が重なったんだとか。
それってつまり、これからあの人たちと遭遇する確率が増すってこと?冗談じゃない、あんな怖い人二度と会いたくない!
でもキラーさんは優しかったな。しかしいかんせん見た目がホラーだ。
……って今はそんなことどうでもよくて!私が今考えなきゃいけないのはもっと別のことだ。


「がう……」


「どうしよう」と発したつもりだったのに、私の口から出てきたのはたった二文字。
いろいろ試してみたけどどうやらこの口はア行とガ行とナ行くらいしか発音できないらしい。
次に手を見てみる。それは人間のものではなくて、真っ白の毛むくじゃらに覆われている。…ベポみたいに。
先っちょには鋭い爪。力を入れると伸びるみたい。そして手の平には柔らかそうな肉球。
触ってみたけど毛が邪魔して感触はよくわからなかった。
首をできる限り捻って後ろを見れば、やっぱり毛むくじゃらの体に、ゆらゆらと揺れるしっぽ。


「にゃー…」


どうやら私は猫になってしまったらしい。


「………」


いやいやいやなってたまるかッ!!
気付いたら猫になってました、なんて冗談笑えないし、現実ならもっと笑えない!
だがしかし私の体を多い毛むくじゃら、小さい四肢、しっぽ……それらは全て私の目に現実として映っている。
何かの病気だろうか?猫になる病気なんて聞いたことないけど、ここはグランドラインだからありえない、とは言い切れない。
私がオロオロしてる間にすっかり日は暮れてしまった。確か出発は明朝って言っていた…。
このまま置いていかれるなんてご免だし、船長なら何かわかるんじゃないかと思って、私はこの姿のまま船に帰ることにした。









「にゃー」
「おっ、何だお前、迷いこんだのかー?」


甲板の上にいたシャチの名前を呼んだつもりが、私の口から出て来たのはやっぱり猫の声。
シャチは私に気付くと顔をデレッとさせて私を抱き上げた。き、気持ち悪い…。


「シャチ、どーしたんだその猫?」
「知らね。いつの間にか乗ってた。」
「お前野良か?かわいーなー!」
「猫にしてはちょっとでかくね?」
「おれコックからミルクもらってくる!」


すると甲板に散り散りにいたクルー達がシャチのところにわらわらと集まってきて、デレデレである。この私に。
いつもと180度違うみんなの対応に鳥肌が立つくらいに寒気がした。残念ながら今の私の腕は毛むくじゃらで確認できないけど。
それにしてもこの船の人たちって白くてもふもふした動物に目がないのかな…。ベポとか…ベポとか。


「おい何してんだよ。」
「お、ペンギンも来いよ!こいつすっげー可愛い!」
「…ったく……こんな大変な時に…」
「ペンギンは心配しすぎなんだよ。」
「…もうナマエが出てから6時間も経った。」
「ブラブラしてんじゃねーの?」


能天気なシャチに対してペンギンは深刻な表情。
私のことを心配してくれてるんだ…。さすがペンギン。


「……さっき船長が探しに行った。」
「!?」
「もし見つからなかったら……」
「お、おおおおれも探してくる!」
「ちくしょう、子電伝虫くらい持たせりゃよかった…!」
「にゃう!がう!」


船長が自ら探しに行った…!?
それを聞いて私はもちろん、他のクルー達も慌て出した。
だって、あの船長がわざわざ探しに行くなんて……!私見つかったら殺されるんじゃ…!?


「…あ!いーこと思いついた!こいつにナマエの私物のにおいを嗅がせりゃわかるんじゃねーか!?」
「私物か……何にする?」
「パンツとかぶっ」


変態シャチにはとりあえず猫パンチ。






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なかなか話数稼いだところで能力者にします。





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