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16:お勉強の時間

「ナマエ、勉強の時間だ。」
「は?」








私の島での義務教育は15歳までだ。私は19歳。とっくに義務教育は終えている。
生きていくのに最低限必要な計算とか一般常識とかはちゃんと備えてるつもりだ。
百歩譲って今の言葉が船長のものなら構わない。だって、医学の勉強なら私だってしたい。
でも「勉強だ」と言ってきたのはアホのシャチ……奴に教えてもらうことなんでないと思うんだが。


「お前今すっげー失礼なこと考えてんだろ。顔に出てるぞ。」
「シャチに教えてもらうことなんてない。」
「バッ、口に出すな!傷付くだろ!」
「医学の勉強じゃない。世の中の勉強だ。」
「?」


世の中の勉強?そんなの義務教育でやったってば。ペンギンまで何を言い出すんだろう。なんか分厚い紙の束を持ってる。
言っとくけど私は勉強が大嫌いだ。医学は別。興味があるから。
でも興味ないことのために何時間も座りっぱなしなんて耐えられない。


「あのなナマエ。おれ達の敵は海軍だけじゃねェ。」
「他の海賊もみんな敵だ。」
「ふーん。」
「海兵は見た目でわかるけど海賊はわかんねェだろ?」
「厳つい顔してたら海賊じゃないの?」
「どんな偏見?今は女海賊だっているんだぞ。」
「そっか。……で、それが何?」
「お前戦えないだろ。でも逃げ足は速い。」
「その言い方失礼。」
「だから、海賊だって判断したら即逃げろ。」
「……つまり海賊の勉強ってこと?」


ばん、とペンギンが机に広げたのは手配書の数々。
うわーすごい数。海賊ってこんなにたくさんいたんだ…。
まあ私だって危険な目には極力遭いたくない。危険人物の顔を知っておいて損はないよね。


「じゃー早速だが……四皇って知ってるか?」
「ナメてんの?そんくらい知ってるよ。」
「おー、名前言ってみろ。」
「赤髪のシャンクス、白ひげ……あと何だっけ?」
「知らねーんじゃん!」
「聞けばわかるもん!」


四皇なんて今や世界の常識だ。
赤髪のシャンクスはなかなかのイケメンだから記憶に残ってる。白ひげはゴールド・ロジャーの戦友だっていうし。
でもあとの2人は名前忘れちゃった。ていうか四皇とかまだ遥か彼方先だから知らなくても大丈夫だっつーの。


「他に知ってる海賊は?」
「えーっと……火拳のエース!」
「……だけ?」
「……うん。」
「マジかよ…」
「逆になんで火拳のエースだけ知ってんだよ…」
「イケメンだから。」
「「………」」


火拳のエースも、私と同じくらいの歳でしかもイケメンだからよく覚えてる。
こうして聞くと私がイケメン好きな女のように聞こえるけど、一般人の海賊に対する認識なんてこんなもんだ。
顔を見てこの人怖いとか、かっこいいとか、そんな感想を持っておしまい。


「注意すべき海賊は数え切れねェけど、とりあえずまずは遭遇する確率が高い奴から覚えていけよ。」
「…わかった。」
「まずはコイツだ。」
「何これこわッ!!」


1枚目からいきなりとんでもない顔を見せられてしまった。
真っ赤な髪を逆立てて、眉無しでこちらを睨む顔は悪魔のようだ。


「こいつはユースタス・“キャプテン”キッド。南の海出身で、3億1500万の賞金首だ。」
「さささ3億!?船長より上じゃん!」
「懸賞金はな。派手に暴れまわってるだけで実力が上なわけじゃねェ!」
「ああ、絶対船長の方が強い!」
「あーはいはい。」
「こいつとは目も合わすなよ。」
「うん。…帽子かぶってる分船長の方がまだ可愛いもんだね。」
「………」


シャチとペンギンの船長大好き病は軽くスルーして、この人は本当に要注意だ。
船長の人相怖い怖いって思ってたけど、この人に比べたら全然マシだったんだなぁ…。


「あとこいつの右腕が……“殺戮武人”キラーだ。」
「もう名前からして怖すぎるんですけど。何で仮面なの?」
「知らねーよ。こいつとも目ェ合わすなよ。」
「いやわからないよ、目が合ったかどうかなんて。」
「気配で察しろ。」
「無理だよ。てかこの人ご飯どうしてんの?パスタ?」
「お前変なところ気にするよな…」


赤髪悪魔の右腕は顔面全てをマスクで覆った人。
まず名前からして怖すぎる。顔が見えないってのも怖すぎる。そしてこの人の私生活が少し気になった。
シャチの話によればこの他にも口から火を噴く人なんてのもいるらしい。怖すぎるぞ、この海賊団。絶対会いたくない!


「あとは……バジル・ホーキンス。」
「…別の意味で怖い。」
「カポネ・ヘッジ。」
「…ただのおっさんじゃない?」
「スクラッチ・アプー。」
「…調子乗ってる感が前面に表れてるね。」
「お前口だけは達者だよな。」


最初に見せられたのが怖すぎたせいか、その後の人たちはなんだか可愛く見えてしまった。
オカルトチックなお兄さんに、葉巻を咥えたおっさん、売れない芸人みたいな人……
みんな1億を超えていたから注意するに越したことはないか。


「あと……今話題のルーキーっつったらこいつらだ。」
「…麦わら、モンキー・D・ルフィ?」
「ああ。」
「この人も船長より懸賞金が上だね。」


次は一気に8枚の手配書を並べられて、真ん中のすごくいい笑顔を浮かべた少年が船長らしい。
懸賞金は3億。これまた船長より上をいくけど、この人はいい人そう。
船長やさっきの赤髪悪魔の笑顔がニヤリという凶悪な笑顔だとすると、この人の笑顔はニカッという爽やかな笑顔だ。


「こいつらは相当頭イカれてるって話だぜ。」
「世界政府に堂々と喧嘩を売ったんだってよ。」
「ふーん……なんかいろんな人いるね。この人とか酷い顔。」
「ああ、黒足のサンジな。こいつだけ写真撮れなかったらしいけど……これだけ特徴のある顔だからな。見りゃわかるだろ。」
「そっちより注意すんのはこいつ…ロロノア・ゾロだ。」
「なんかこの人の方が船長っぽいね。悪そうだし。」
「麦わらの一味はたった7人だが全員が賞金首だ。」
「え、うそこれで全員?てかこのたぬき可愛い!いーなー!」


麦わらの一味にはたぬきみたいなマスコットがいてすごく可愛い。
その名も「わたあめ大好きチョッパー」!うわー、何これ可愛すぎる…50ベリー払ったらくれないかな…。


「あ、女の人もいるんだね。」
「ああ、泥棒猫とニコ・ロビンな。」
「ああ、2人とも超レベルたけーよな。」
「2人とも鼻の下伸びてますけど。」
「だってこんな美人と同じ船に乗ってんだぜ!?」
「羨ましすぎるぜ麦わら…!!」
「………」


さて、そろそろ勉強もおしまいかな。








■■
ハートの海賊団は美人に飢えてるはず。




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